君は誰?35

2024-12-25 08:44:50 | 日記
『呪われた鏡』

ブログのタイトルを聞いて、3人は凍りついた。

「大丈夫だよ!そんなブログは、だいたいが作り話なんだよ!」

松田が笑った。

「『その鏡は、学校が建てられた頃からあった。』」

不安になる直樹の表情を気にせず正人はブログを読みはじめた。

「これ、ここの卒業生だな。『階段途中にあるその鏡は、最初は誰も気にも止めず、時々女子が髪型や襟元を直すために覗き込む程度だった。ところがある時、突然、鏡にまつわる怪奇現象の話題が出てきて学校内に噂が広まった。もちろん、そんなこわい話しは、ほとんどの人が気にも止めず、ある一部の学生たちだけが、怪奇話に盛り上がって、夜な夜な鏡を見るためだけに学校に入り込む生徒も現れた』」





君は誰?34

2024-12-21 09:49:51 | 日記
「昭和59年」

「え?」

「新聞紙」

直樹は、鏡に貼ってあった新聞紙を見ていた。

「あ!これだ!」

正人が声をあげた。

「たぶんここの卒業生のブログだと思うんだけど…」

そこまで言うと、正人は黙り込んでしまった。

「なんだよ…。」

「これ、開けちゃまずかったかも…」

「なんで?」

「『呪われた鏡』ってタイトルだよ💦」

「作り話しだろ?」

「そうかも知れないけど…、こんなに厳重に鍵までかけてあるし…」

し…ん…と静まり返る校内にひんやりとした空気が流れてきた。

君は誰?33

2024-12-18 08:22:12 | 日記
バリバリ…。

古びた釘で止めてある扉を力任せに開けた。

「ん?」

「新聞紙?」

扉を開けると新聞紙が一面に貼られていた。

新聞紙をそっと剥がすと…。

「鏡…?」

すぐには鏡とはわからないくらいに曇っている。

「鏡だよな」

剥がした新聞紙で鏡を拭いた。

「扉の中は、部屋かと思った」

「なんで鏡になんて扉付けたんだろう。しかも、新聞紙まで貼って…」

「大事な鏡なんだろ」

「鍵まで付けてるから、よほど大事な鍵なんだな。」

「あ…、なんかで見たことある…」

「なに?」

「学校にある鍵の話し…何で読んだんだろう…。誰かのブログだった気がする…」

正人は、スマホを開いて調べはじめた。



君は誰?32

2024-12-14 09:05:11 | 日記
「考えすぎだよ」

扉を引っ張った。

ギギ…ギギ…。

開かない。

「開かないな…」

「釘…。扉の下の方が釘打ち付けてある」

古びた木の扉の下の方に、かなり錆び付いた釘が2本刺してある。

「これじゃ、開かないな…」

「大丈夫だよ!力任せだ!」

松田は少しだけ開いた隙間に指を入れて、力一杯引っ張った。

バリバリ…バリバリ!

鈍い音がする。









君は誰?31

2024-12-11 08:09:57 | 日記
松田は持っていた鍵を、扉の鍵穴に差し込んだ。

カチャ…。

「開いた…!」

「開けて大丈夫かな?」

正人が急に不安そうな声をあげた。

「大丈夫だよ。たぶんチョークとか黒板消しとか、学校で必要なものが入ってるんじゃない?」

松田が力を込めて開けようとした。

「ちょっと待って!」

思わず直樹が松田の手を止める。

「なんで?」

「チョークとか黒板消しとか、そんなもののために、わざわざ用務員さんが鍵を掛けたりするかな?しかも、その鍵も宝箱みたいな箱にまで入れて…。」

「考えすぎだよ。」

松田は再び取っ手に手をかけた。