いつもより、少し酔ってしまった。
飲んだ勢いで、実は息子がいることを原田に話してしまったおかげで、
「たけるくんのためにも、早めに帰ろう」
となって、早めの解散となった。
なぜか原田には、気を使わない友人のように何でも話せる。
家に近づくと、見たことのある車がとまっていた。
坂元の車だ。
車の扉が開いて、坂元が降りてきた。
「遅かったね」
「え?…待ってたの?」
「うん。部屋の呼び鈴を鳴らしたけど、誰も出ないんだ…。たけるくんは、実家?」
「あ、ううん…。呼び鈴が鳴っても出ないように言ってあるの」
「飲んでたの?」
「う…ん」
「誰と?」
「同僚と…」
…嘘をついた。