合鍵の交換に難色を示した七美の態度に坂元は不安げな表情を見せた。
「今日は帰るよ」
「あ、うん。」
「………」
坂元は立ち止まった。
「…え?何か…?」
「引き止めないの?」
「引き止める…?」
「原田と飲んでたんでしょ?それなのに、同僚と飲んだ…と嘘をついて…。『家に入っていい?』と言ったら困った顔したよね。そして、合鍵を交換しようと言ったら断られて…。僕としたら、かなりの大ダメージなんだけど…」
「ダメージ……。…ダメージなんだね…。ごめんなさい」
「……」
坂元は、何か言いたげだったが、背中を丸めて帰っていった。