その日、夕方遅くに、原田が七美の家を訪れた。
そして、アパートの通路に面した台所の窓を念入りに見て、少し開けた。
「ここに、コレを置いてもいいかな?」
そして、小さなカメラのようなものを置いた。
「これ、昔、自宅の自転車を2度盗まれる事があってね。その時に、防犯の為にネットで買ったカメラなんだ。このカメラ、小さいし、見つかりにくいし、だけど、わりと画質がいいから犯人の顔がハッキリ映ると思うよ。」
確かに…、しっかり見ても気づかないほど小さい。
これなら、玄関先に現れて、謎の音を立てる犯人が映るかも知れない。
「まぁ、今夜来るかどうかわからないけど、とりあえずこれを仕掛けて、犯人を確認しようと思うんだ。坂元かも知れない…って、言ったけど、違ったら大変だしね。明日回収しに来るよ。」
「いろいろとありがとうございます」
「いいんだよ。だけど、本当に危険を感じたら110番するんだよ」
「はい。」
原田は心配そうな顔をしながら帰っていった。