旅館47

2024-01-30 09:31:14 | 日記
「旅館のオープン前に草刈りをしたけど、こんな奥の方まではしてなかったよね…」

自分たちの背丈ほどの雑草をかき分けて、山沿いに向かった。

夕方近くになっても、夏はまだ明るい。
しかし、雑草のせいで薄暗い。

「あったー!」

しばらく探すと、山沿いにひっそりとある薄暗い穴を見つけた。

徹弥を先頭に荒れた防空壕に足を踏み入れた。

パリパリ…と、何か乾いたものを踏む足音と、ピタン…ピタン…と、奥からは、水滴の垂れる音。

思ったより深く、懐中電灯を持ってくるのを忘れたことを後悔した。