君は誰?21

2024-11-04 09:00:24 | 日記
用務員室は、入口の引戸がキチンと閉まっている。

そっと手をかけると、びくともしない。

「開かないよ…」

「鍵掛かってるんじゃない?」

「鍵?」

鍵がある部分のガラスが割られていて、手を差し込めるようになっている。

「開けてみるよ」

正人が割れたガラスの隙間に手を差し込んだ。

「あ、ホントだ。鍵が掛かってる。」

しばらくカチャカチャ…と、何やら確認している。

「鍵…。スライドして開けるタイプのやつだ」

再びカチャカチャと試行錯誤していると、カチャン…と、軽い音がした。

「…開いた…」

「よし!」

松田が扉に手を掛けて重い扉をズルズル…と、鈍い音を立てて引いた。