用務員室は、入口の引戸がキチンと閉まっている。
そっと手をかけると、びくともしない。
「開かないよ…」
「鍵掛かってるんじゃない?」
「鍵?」
鍵がある部分のガラスが割られていて、手を差し込めるようになっている。
「開けてみるよ」
正人が割れたガラスの隙間に手を差し込んだ。
「あ、ホントだ。鍵が掛かってる。」
しばらくカチャカチャ…と、何やら確認している。
「鍵…。スライドして開けるタイプのやつだ」
再びカチャカチャと試行錯誤していると、カチャン…と、軽い音がした。
「…開いた…」
「よし!」
松田が扉に手を掛けて重い扉をズルズル…と、鈍い音を立てて引いた。