君は誰?31

2024-12-11 08:09:57 | 日記
松田は持っていた鍵を、扉の鍵穴に差し込んだ。

カチャ…。

「開いた…!」

「開けて大丈夫かな?」

正人が急に不安そうな声をあげた。

「大丈夫だよ。たぶんチョークとか黒板消しとか、学校で必要なものが入ってるんじゃない?」

松田が力を込めて開けようとした。

「ちょっと待って!」

思わず直樹が松田の手を止める。

「なんで?」

「チョークとか黒板消しとか、そんなもののために、わざわざ用務員さんが鍵を掛けたりするかな?しかも、その鍵も宝箱みたいな箱にまで入れて…。」

「考えすぎだよ。」

松田は再び取っ手に手をかけた。

君は誰?30

2024-12-07 10:00:05 | 日記
「コトコトコトコト…」

小さめな扉の中から、まるで子供の足音のような音が聞こえる。

松田は、いきなり取っ手に手を掛けて力一杯引っ張った。

「おい!やめろよ!」

直樹が松田の手をつかむ。

「開かない…」

…そう言うと、松田はあきらめた。

「勝手に暴走するなよ」

「大丈夫だよ。開いたからと言って、勝手に入ったりしないし…。」

「あ、鍵!」

正人が叫んだ。

「さっきの用務員室で見つけた鍵、これだったりして!」

小さい扉に鍵穴が付いていた。

「ここの小さい倉庫に何か大事なものが入ってるのかもな。」







君は誰?29

2024-12-04 07:32:43 | 日記
階段の踊り場に置いてあった椅子に座ってふざける松田。

「あ、これはなんだろう?」

松田は、椅子の向かい側にある扉に気づいた。

「部屋?」

「部屋の入口にしては、小さいな」

「物置?」

「うん…そうかも知れないけど、こんな中途半端な場所に?」

直樹も推理に加わった。

「そうだよな。物置にしては、階段途中とか、珍しいよな」

松田が取っ手を引っ張る。

「開かない」

「しっ!…なんか音がする…」

正人が扉に近づいて耳をすませた。