ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

小説を書くのは大変だ

2025年01月16日 | 其の他

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幼少期から今に到る、本のジャンルで一番好きなのは、一貫してミステリー。最初に触れたミステリーは、日本の作品が金田一耕助シリーズのジュヴナイル版「金色の魔術師」、そして海外の作品がシャーロック・ホームズ・シリーズの「まだらの紐」だった。記憶違いで無ければ、「金色の魔術師」は小学校に入る前、「まだら」は小学校低学年の時に読んだと思う。
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8年前の記事「シャーロック・ホームズ・シリーズのベスト10」の中で書いた文章だ。大好きなシャーロック・ホームズ・シリーズで最初に読んだ作品「まだらの紐」の"まだらの紐"とは、ネタバレに成ってしまうけれど"凶器"で在る"毒蛇"を意味している。作品が発表された1892年当時では、実に斬新発想だったろう。

だが、毒蛇を使って人を殺すという此のトリック以下の理由から「実際には、非現実的で在る。」というのが定説と成っている。

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① 加害者のグリムズビー・ロイロット博士は、ミルクをにして毒蛇を手懐け口笛の音で毒蛇を操っていた事に成っているが、実際にはミルクを餌とする蛇は確認されていないし、蛇は耳が聞こえない、口笛の音で蛇を操る事は不可能。又、実際の蛇は紐を伝って上り下りする事も出来無いので、作中のそういう設定は非現実的。

② グリムズビー・ロイロット博士は蛇を金庫の中に隠して飼っていた事に成っているが、実際には蛇に限らず、生きている動物を金庫の中に入れ扉を閉めると窒息死するのは明らかな事から、非現実的な設定とされている。

③ 蛇は群れを作らず、単独で生活する"非社会的動物"で在り、(作中の設定の様に)飼い主の指示や合図に従う性質は無い。

④ 作中で「グリムズビー・
ロイロット博士は、毒蛇に咬まれてから10秒以内に死んだ。」事に成っているが、人間が咬まれてから10秒以内に死亡する様な毒蛇は、現実には確認されていない
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そういう非現実的な設定だったとしても、ストーリー的には非常に面白い作品なのだが、何しろ133年という大昔に書かれた物なので、「蛇の実態が良く判っていなかった。」という面も在るのだろう。

以前にチラッと記した事が在るけれど、自分は昔、「小説を書いてみようかな。」と思い立った事が在る。今考えると、実に思い上がった事だが、原稿用紙で40枚程書いた時点で断念した。「書いている内に、昔読んだ小説と似通った感じに成ってしまった。」というのは凡人たるがの事だが、書いた内容を読み直してみると、"瑕疵"が幾つも見付かって、に成ってしまった。というのが大きい。

瑕疵の殆ど"明らかな事実誤認"で、例えば初冬に使われるべき"小春日和"を、春先の状況で使った。り、スポーツのルールを、勘違いして記していた。りとかだ。

多分"知識の乏しさ"起因している事からだが、他にも其の設定では、絶対に起こりない事を書いていた。」とか、「誰が話している事なのか、全く判らない記述だった。」とか、「文章の前後で、整合性が取れていなかった。」等が在り、「小説を書くのは大変だ。」と痛感させられた。

『このミステリーがすごい!』大賞」や「江戸川乱歩賞」等、有名な文学賞を受賞した小説が上梓された際、当該本の巻末選考委員達の"選評"が載っている事が在り、個人的には「作品自体を読む前に、選評を読む程好き。」だ。で、受賞を逃した作品のみならず受賞した作品ですら"設定の矛盾"が指摘されている事は珍しく無いそういう瑕疵は在るものの、補って余り在る程の魅力が作品には在るからこその授賞で在り、「そういう瑕疵を修正補筆する事を前提に上梓する。」というのが必ず書かれている。

プロでは無いものの、書き手としては"手練れ"と言って良いレヴェルの人達の作品でも、そんな瑕疵が在るのだから、小説を書くのは本当に大変な事だ。


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2 コメント

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Unknown (悠々遊)
2025-01-16 13:52:09
こんにちは
小説を書くという行為は(ほぼ)個人作業なので、書く前に多くの資料を当たったり、矛盾の無いストーリーを考えて話を構築したつもりでも、どこかしら「瑕疵」は避けられないものだと思います。
だからこそ掲載の運びになる前には、必ず編集者の存在が必要になるのでしょう。
作者にとって一番最初の読者でありアドバイザーなのが編集者という訳ですよね。
いわば小説は作者と編集者の共同作業と言えるのかもしれません。

giants-55さんは自分で書いたものを読み返して、いろんな瑕疵に気が付かれたとの事、それだけでもすごいことですよ。
自分で書いたものにはそれだけ思い入れが強く、なかなか自分では瑕疵に気が付かないものです。
編集者の目を通したうえで上梓されたプロ作家の作品ですら、話を広げ過ぎて収拾がつかなくなり、不自然な形の結末に持って行ったり、伏線が回収されないまま強引に終わる作品がありますからね。
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>悠々遊様 (giants-55)
2025-01-17 17:19:03
書き込み有難う御座いました。今回は、此方にレスを付けさせて貰います。

昨日午前中より、gooブログが不具合を発生しておりました。具体的に言うと、「ブログ自体にはアクセス出来るものの、編集画面に飛ぶ事が出来ず、故にコメントを頂戴しているのか否かの確認も、又、記事のアップ自体も出来ない状態。」が延々と続いていたのです。gooブログの"障害情報"を確認すると、「そういう症状が続いていたものの、昨日の午後一には全面的に改善された。」との書き込みが。「当方は全く改善されていないのに、どうして?」とgooブログに問い合わせをするも梨の礫で、「土日を挟んでしまうので、暫くは記事のアップ出来無いのかなあ・・・今日は『阪神・淡路大震災』から30年目という事で、是が非でも記事をアップしたいのだけれど・・・。」とヤキモキ。漸く改善され、ホッとした次第です。そんな訳で、レスを付けるのが遅くなってしまい、申し訳在りませんでした。

きちんとした文章を書くというのは、本当に難しいですね。当ブログの様に、大した量の文章では無く、且つきちんと中身を確認した上でアップしている″積り"でも、結構間違いが在ったりする。暫く経って読み返してみると、"てにをは"がおかしくて、慌てて修正する事も珍しく無い。

編集者の存在って、本当に大きいと思います。作家と二人三脚をする間柄でしょうね。でも、「編集者の厳しいチェックが在っても、上梓された本に明らかな間違いやおかしな文章が在ったりする。」のですから、人間の行う事に完璧という物は無いのでしょうね。
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