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「『エムポックス』新型どう防ぐ ~アフリカで感染拡大 WHOが緊急事態宣言~」(8月20日付け東京新聞[朝刊])
「エムポックス」という耳慣れ無い感染症に付いて、世界保健機関(WHO)が緊急事態を宣言した。重症化し易いタイプのウイルスが、主にアフリカ中部で拡大している。最近迄
日本では、「サル痘」と呼ばれていた此の病気。感染拡大を防ぐには、どうすれば良いのか。
「コンゴ(旧ザイール)に於けるエムポックスの流行は急速に進展しており、緊急な状況です。」。
同国で活動する国際NGO「国境なき医師団」のジャスティン・エヨン医師は、ウェブサイト等を通じてこう訴える。今年、アフリカで1万5,000件以上の感染が判明、500人以上が死亡した。より重症化し易いタイプの「クレード1」が流行していると言う。
14日、WHOのテドロス事務局長が、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言。エムポックスを巡るWHOの緊急事態宣言は、2022年7月以来、2度目となる。
15日には、スウェーデンでクレード1の感染者が確認されたと発表された。アフリカ以外でクレード1の感染が確認されるのは初めて。タイプは不明だが、16日にはパキスタン、19日にはフィリピンでも、感染者の確認が発表された。
日本でも16日、関係省庁による対策会議が開かれ、出入国者への情報提供や注意喚起の実施を確認した。厚生労働省の担当者は、「新しい知見を踏まえて、適切に対応して行く。」と話す。
日本でエムポックスの患者が初めて報告されたのは2022年。以降、今月16日迄に248例(今年は15例)が確認されている。厚労省によると、クレード1は確認されていないと言う。
エムポックスの症状は、発熱や頭痛の後、顔面や手足等に発疹、水膨れが出来る。大抵は2~4週間で回復するが、小児で重症化する事が多い。人から人への感染は、飛沫や接触感染が中心と考えられている。
「サル痘」(英語でモンキー・ポックス)の名は1958年、デンマークで研究用に飼育されていた猿から初めてウイルスが発見された事に因む。然し、誤解や差別を招き兼ねないとして、WHOは2022年、名称を「エムポックス」(エムはモンキーの頭文字)に変更する様、推奨した。
実際、自然宿主ははっきりしないものの、猿では無く、アフリカに生息する鼠等の齧歯類が疑われている。1970年に、コンゴで初めて人への感染が確認された。
収束に向けて鍵となるのは矢張り、ワクチンだ。然し、流行地では充分に供給されていない。
前出のエヨン医師は、「コンゴで入手出来るワクチンは極めて限られている為、普及に関する国家戦略計画は、既に大幅に後退している。」と指摘。更に、「ワクチンへのアクセスが改善されなければ、何千人もの人々が無防備の儘、放置される可能性が在る。あらゆる手段を、早急に講じる必要が在る。」と強調する。
エムポックスは天然痘ワクチンが有効とされるが、天然痘は既に撲滅されている。其の為、東邦大の舘田一博教授(感染症学)は、「天然痘ワクチンの数は、何処の国も其れ程多く無い。専用ワクチンの開発が、臨床段階迄進むのを待つしか無いのではないか。」と厳しい見方を示す。日本国内でも水面下で或る程度、感染が広がっていると見るが、感染力や致死率は極端に高く無い為、疑わしい症状が在れば早めに検査を受けつつ、冷静に対応する様に呼び掛ける。
「新型コロナウイルスと同じ様に、街中で感染する訳では無い。症状を見逃さない事を医療現場で徹底し、病原性が高いウイルスが国内に入らない様、水際対策をする事が大切だ。」。
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「サル痘」に付いては病状を含めて知っていたが、「エムポックス」というのは初めて知る言葉だった。「今年、アフリカで1万5,000件以上の感染が判明、500人以上が死亡した。より重症化し易いタイプの『クレード1』が流行している。」という事で、此の感染者数全てが「クレード1」という事では無いだろうが、死亡者数が「500人以上」という事は、致死率「約3.3%」という計算になる。
元記事に「感染力や致死率は極端に高く無い。」、「新型コロナウイルスと同じ様に、街中で感染する訳では無い。」と記されている様に、エムポックスを“極端に”恐れる必要は無さそうだが、用心するに越した事は無いだろう。
「エムポックスは天然痘ワクチンが有効とされるが、天然痘は既に撲滅されている事から、何処の国でも天然痘ワクチンの数は其れ程多く無い。」という事で、1つの大きな病気が“駆逐”された事自体は非常に喜ばしいのだが、其の結果として他の感染症にも流用出来る天然痘ワクチンの絶対数が少ないというのは、何とも皮肉な話だ。