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戦国時代から続く名家・福森家の屋敷で起きた一家惨殺事件。死体は何れも人間離れした凄惨な手口で破壊されており、屋敷には何かの儀式を行ったかの様な痕跡が残されていた。福森家と親戚関係の中村亮太(なかむら りょうた)は、或る理由から霊能者の賀茂禮子(かも れいこ)と共に屋敷を訪れ、事件の調査を行う事に成る。賀茂によれば、福森家が収集した名宝・名品の数々が、実は恐るべき呪物で在り、其の何れか1つが、事件を引き起こしたと言う。賀茂の話を信じ切れ無い亮太だったが、呪物が巻き起こす超常的な事象を目にした事で、危機を感じ始める。更に一家の生き残りの子供達にも呪いの魔の手が迫る。一家を襲った真の呪物は?そして、誰が何の為に呪物を仕掛けたのか?
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貴志祐介氏の小説「さかさ星」を読了。当ブログで過去に何度か書いた様に、「凄く面白い作品が在りますよ。」と後輩から強く推薦されたのが貴志作品との出会いで、其の作品は「黒い家」だった。ホラー色が強いけれど、"良質なサスペンス・ミステリー"という同作品にすっかり魅了され、以降、貴志作品を読み漁って来た。
唯、「文壇デビューから28年間で、上梓された小説は『さかさ星』を含めて僅か19冊。」という"寡作"の貴志氏(2020年以降は、次々と上梓されているけれど。)なので、今回の「さかさ星」を読むのが楽しみだった。
一言で言えば、ホラー作品。「黒い家」の様なサスペンス・ミステリー的な要素が無くは無いのだけれど、「良くも悪くも"強い念”が込められた呪物に操られた人々を描き、呪物に関する蘊蓄で溢れた内容。」は、個人的に「ミステリーでは無いな。」という感じがする。
超常的な事象に興味が無い訳では無いけれど、こうもずらずらと取り上げられてしまうと、食傷気味に成ってしまった。好きな人は好きだろうが、「良質なサスペンス・ミステリーが読みたい。」という人には不向きな作品だろう。貴志作品が好きな自分だが、此の作品は「何度も、読み進める気力が失せた。」程。
総合評価は、星2つとする。