ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「禁忌の子」

2025年01月05日 | 書籍関連

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救急医・武田航(たけだ わたる)の元に搬送されて来た、一体の溺死体。其の身元不明の遺体「キュウキュウ12」は、何と武田と瓜二つで在った。

彼は、何故死んだのか?そして、自身との関係は何なのか?武田は旧友医師の城崎響介(きのさき きょうすけ)と共に、調査を始める。然しを握る人物に会おうとした矢先、相手が密室内で死体と成って発見されてしまう。

自らルーツ辿った先に在る、思いも寄らぬ真相とは?
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今回読了した「禁忌の子」(著者山口未桜さん)は、第34回(2024年)鮎川哲也賞を受賞し、「2024週刊文春ミステリーベスト10【国内編】」で3位に選ばれた小説だ。プロフィールを読むと、山口さんは1987年生まれの現役の医師。元々、「小説を書いて生きて行く。」という夢を持っていたが、医学の道に進む、一度は諦めたものの、自身の出産を契機に小説を書き始めたのだと言う。"16年間のブランク"を経て、夢を実現したのは本当に凄い事。

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禁忌忌 み嫌って、慣習的に禁止したり、避けたりする事。又、其の物タブー
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救急医・武田航の元に一体の男性の溺死体搬送されて来るのだが、彼は顔形然る事乍ら、身体的特徴もが航と瓜二つ。でも、航は、便宜的に「キュウキュウ12」と名付けられた彼の事を全く知らないし、亡くなった父母等からも、そんな"兄弟"が居るという話は全く聞いた事が無く、「どういう事なのだ?」と当惑してしまう。其処で航は、中学時代の同級生で、現在は同じ病院で働く城崎響介と共に、"事件"の調査に乗り出す

現役の医師という事も在り、医療現場の描写等が実にリアル謎が明らかに成って行く過程も含めて"読ませる内容"だし、"探偵役”の城崎が実に個性的キャラ立ちしており、ストーリーにどんどん引き込まれて行く。そして、何よりも"犯人の意外性"が際立つミステリーの世界では「犯人=意外過ぎる人物」という設定は常識だが、ミステリーを読み込んで来た自分ですら「えっ!」と驚かされる人物が犯人だったので。

「結局、犯人は野放し状態のでは?」等、其の結末には賛否両論在る事だろう。或る人物と或る人物との"関係性"に付いても、「そんな偶然って在るか?」という声も在りそう。

でも、ミステリーとしては凄く面白いし、「新人作家で、こんなにも完成度が高い作品を書くって凄いな。」と思った。同時に「『2025本格ミステリ・ベスト10【国内編】』及び『このミステリーがすごい!2025年版【国内編】』には、『禁忌の子』がベスト10に入らなかったのは何故だろう?」という疑問も。

「禁忌の子」の「禁忌」に込められた意味合いが、非常に重く伸し掛かって来る結末で、複雑な思いに成る読者も居る事だろう。

今年、シリーズの続編「白魔」の上梓が決まっている。城崎響介も登場する様で、今から楽しみ。

総合評価は、星4つとする。


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