NHK大河ドラマの第64作「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」【動画】の初回が、昨夜放送された。「江戸時代中期から後期に掛けて活動した浮世絵の版元・蔦屋重三郎の生涯を描いた作品で、主人公・蔦屋重三郎を演じるのは横浜流星氏。」なのだが、一昨年の記事「『黄金の日日』の例も在るし」でも書いた様に、自分は蔦屋重三郎の事を、其の存在も含めて全く知らなかった。
蔦屋重三郎は、今風に言えば"江戸のメディア王"だ。「そんな凄い人物なのに、恥ずかし乍ら全く知らなかった。」という事から、興味津々で初回の放送を見る事に。
重三郎は1750年2月13日に生まれ、1797年5月31日に47歳で没している。現代よりも格段に平均寿命が短かったと言われている時代とはいえ、「随分若くして亡くなったんだなあ。」という思いが在る。「太く短く」という人生だったのだろう。因みに、死因は脚気とか。
江戸時代の文化は大きく分けると、「京都や大坂を中心に興った『元禄文化(17世紀後半から18世紀初頭に掛けて。)』と、江戸を中心に興った『化政文化(1804年頃~1830年頃。)』。」の2つ。何方も"町人文化"で在るが、重三郎は江戸日本橋の版元として化政文化隆盛の一翼を担い、大田南畝、恋川春町、山東京伝、曲亭馬琴、北尾重政、鍬形蕙斎、喜多川歌麿、葛飾北斎、東洲斎写楽等、多数の作家、浮世絵師の作品刊行に携わった。
重三郎が生まれたのは新吉原とされており、初回放送では吉原遊廓が舞台と成っている。吉原遊郭、身も蓋も無い言い方をしてしまえば"風俗街"で在り、男性が女性を買う場所という事で、「人の世のドロドロした物が集積している場所」と言えるのかも知れない。そんな場所で両親から捨てられた重三郎は、引手茶屋(客に女郎を紹介する案内所)の「駿河屋」を営む駿河屋市右衛門(高橋克実氏)の養子と成り、育てられて行く。
女郎を"商売道具"としてしか見ず、使い捨てる様な遊郭の主達に憤りを覚える重三郎だったが、偶々目通りが叶った田沼意次(渡辺謙氏)の一言により、"自身が本当にすべき事"を思い知らされる。"江戸のメディア王として開眼した瞬間"と言えるだろう。
予想はしていたけれど、主に描かれるのは"町人文化"。自分が大河ドラマに期待するチャンチャンバラバラの"武士の世界"は、メインで描かれる事は無いだろう。何しろ、時代は"太平の世"なのだから。そういう意味では物足り無さをどうしても感じてしまうが、町人文化に付いて大して詳しくは無いので、「知識を深める。」と割り切って、1年間見続けたいと思う。
そんな感じで、初回を見る限りでは、「少々退屈さを感じた。」のは確かだが、主人公を務める横浜流星氏は、5年前のTVドラマ「私たちはどうかしている」【動画】で主役を演じていた際、「存在感の在る、面白い俳優だなあ。」と思った事も在り、今回も期待している。