先祖の欲求が子孫の性格や思考、そして運命をも決定すると説いた学者がおりました。それがハッガリーの精神医学
者、リポートーソンディです。
ソンディの理論について知らない人もいるでしょうから、ここで簡単に説明しておきます。
深層心理学はジークムントーフロイト(一八五六~一九三九)に始まりました。彼は「個人の無意識層」につ
いて研究を行い、彼のもとを離反したカールーグスタフーユング(一八七五~一九六一)が「集合的無意識層(群
衆心理学)」の研究を行いました。その次に現れたソンディは「運命分析」という独自の理論と技法によって、「個
人の無意識層」と「集合的無意識層」の中間にある、「家族的無意識層」という無意識層の第三番目の領域を研究
解明しようとしました。つまり、「個人」と「群衆」の間に「家族」を発見したわけです。
「家族的無意識」について、
一この、家族的無意識というのは、個人のなかに抑圧されている祖先の欲求が、恋愛、友情、職業、疾病、およ
び死亡における無意識的選択行動となって、個人の運命を決定する、というのである」
と説明しております。
具体的には、前述のように恋愛、友情、職業、疾病、死亡の形式まで決定
してしまいます。これだけ決定されたならば、個人にとっては運命の自由がないのと同じです。それで、これを
必然運命(または強制運命)と言うわけです。
ソンディ理論では人間の運命を「必然運命」と「自由運命」の二つに分けます。彼は次のように説きます。
I、強制(必然)運命(Zwangsschid)
2、自由運命6Treiheitsschicksa)
を持つ。必然運命は、すでに過去に存在した病的な祖先の存在を繰り返すという選択によって生じ、自由運命
とは、自我による自由な人間形成の選択のことである。
根源的には、運命とは、実際には遺伝の無意識的な選択強制であるが、自我は遺伝を否定し、強制運命から解
放されるようにすることができる」
抑圧された祖先の欲求によって強制される必然運命と、それから脱出した自由運命があるけれども、普通の状
態では前者の力が強いわけです。
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