EOS初のバリアングル液晶モニターを搭載
EOS 60Dは、先代のEOS 50D と同じくEOS 7DとEOS Kiss X4の間に位置付けされるカメラである。しかし、EOS 50Dの登場時には、EOS 7Dは存在せず、それ以前のEOS二ケタモデルと同様、APS-Cサイズのトップエンドとしての役割も与えられていた。その後EOS 7Dの登場で、EOS 50DはAPS-Cのトップエンドとしての任は解かれ、よりEOS Kiss X4に近いポジショニングへと変ったのだが、EOS 60Dはそのことを強く反映したモデルに仕上がっている。
ボディを手にしてまず気づくのが、小型、軽量化されていることだ。実寸では幅と高さがEOS 50Dよりも1~2mm程度小さいだけだが、持つとボリューム感の違いが両手から伝わってくる。視覚的にもペンタ部周辺のシェイプはこれまで以上に絞られており、たいへんスマートな印象だ。重さについても同様で、これまでのEOS 二ケタモデルを知る者として、持った瞬間「軽い!」と口にしてしまったほどである。質量は、本体のみで約675g 。EOS 50Dは約730gだから、その差は約55gあるが、これはボディ外装をマグネシウム合金からエンジニアリングプラスチックに変更したことの理由が大きい。ただし、ボディのつくりはプラスチックの外装にありがちな安っぽさは微塵も感じさせず、ミドルクラスに相応しいものである。
バリアングル液晶モニターも目新しい、EOSシリーズとしては初となるもので、同社のPowerShot G11などと同様、カメラを背面から見て左側にヒンジを備えるタイプを採用。三脚を使用した際やバッテリーグリップを装着したときなども可動範囲は変わらない。モニターを内側に向けて収納することも可能なので、移動時も便利だ。液晶モニターはEOS Kiss X4と同じ、アスペクト比3:2の3型ワイドタイプ、約104万ドットとなる。
ボタン類のレイアウトも大きく変わった。まず背面を見ると、EOS 50Dでは液晶モニター下部にあった主に再生に関するボタン類は、サブ電子ダイヤルを中心に上下に配置される。形状も丸ではなく、配置される場所によってさまざまだ。マルチコントローラーも、サブ電子ダイヤルの内周部に移動。バッテリーグリップを装着し縦位置に構えたとき、これまでマルチコントローラーが親指から遠くなってしまっていたが、今回のレイアウトの見直しで横位置と変わらない操作ができるようになった。ちなみに、サブ電子ダイヤルとマルチコントローラーが一体になったこの操作部材の総称を「マルチサブ電子ダイヤル」と呼ぶ。
電源ボタンは、EOS 7Dと同じく撮影モードダイヤルの裾に設置。サブ電子ダイヤルのON/OFFは電源ボタンではできなくなったが、代わりとしてカスタムメニューで同ダイヤルのロックが可能となり、背面の「UNLOCKボタン」で一時的に解除できるようになったのも新しいところだ。
カメラ上面では、表示パネルに沿って並ぶボタンが3つから4つに増えている(照明ボタンを除く)。これまでは1つのボタンに対し2つの機能が割り当てられていたが、EOS 60Dでは単機能となる。4つのボタンは、AF/ドライブモード/ISO感度/測光モードとなる。気になるのがWB(ホワイトバランス)と調光補正の行方だが、WBと調光補正はメニューもしくはクイック設定画面から行なえるほか、カスタム設定でSETボタンに割り当てができるので、両機能の使用頻度の多いユーザーは安心してほしい。撮影モードダイヤルの中央には、新たにプッシュタイプのロックボタンを備えた。これまでダイヤルが不用意に回転してしまうことがあったので、ありがたい配慮といえる。
EOSシリーズとしては初のバリアングルモニターを搭載。ヒンジがカメラ左側面となるので、三脚を使用しても可動範囲は変わらない。3型ワイドタイプのクリアビュー液晶モニターを採用する 表示パネルに沿って並ぶボタンは、照明ボタンを除き4つ。EOS 50Dまでは2つずつ機能が割り当てられていたが、EOS 60Dでは1つとなる。表示パネルの形状は長方形から変形タイプとなる
ロックボタンの付いた撮影モードダイヤル。「C」はカメラユーザー設定で、従来は3つあったが、EOS 60Dでは1つとなった。電源ON/OFFスイッチはEOS 7Dと同様、撮影モードダイヤルの裾の部分に備わる EOS 50Dでは液晶モニター下部にあったボタン類は、その右側に移動。マルチコントローラーもサブ電子ダイヤルのなかに移動した。サブ電子ダイヤルは小振りになり、回した印象も含め操作感はEOS 50Dよりも低下しているように思える
■ 記録メディアがSDメモリーカードに
キーデバイスを見てみよう。EOS 7DやEOS Kiss X4と同じ自社製の有効1,800万画素CMOSセンサーを搭載する。映像エンジンは「DIGIC 4」を一基搭載。常用ISO感度はEOS 50Dの100~3200から100~6400にアップ、感度拡張時にはISO12800での撮影も可能だ。ISOオートでは感度の上限をISO400/800/1600/3200/6400から選べる。測光センサーはEOS 7Dと同じ「63分割iFCL測光システム」を搭載。測距情報と色情報を活用することで、測光の難しい条件でも正確な露出が得られるという。
EOS 50Dよりも劣ってしまうのがコマ速と連続撮影枚数だ。コマ速は約5.3コマ/秒と1コマ遅くなる。連続撮影枚数もRAWのみの場合は約16枚と従来どおりであるものの、JPEG(Large/Fine)の場合で2枚少ない約58枚、JPEG(Large/Fine)+RAWでは3枚少ない約7枚となる。いずれの場合も画素数増加による処理能力の負担が増えたことなどが影響しているのだろう。スポーツなど撮るユーザーには、ちょっと物足りなく感じるかも知れない。
ペンタプリズムを採用するファインダーはEOS 50Dよりも視野率が1%アップし約96%に、倍率は従来と同じ約0.95倍となる。フォーカシングスクリーンはEOS 50Dと共通で、標準装備のEf-Aのほか、方眼タイプのEf-D、開放値の明るいレンズに適したEf-Sが用意される。AFも従来と同じく全点クロス9点センサーを搭載する。EOS 7Dと同じセンサーが搭載されればと期待していたが、残念ながら敵わなかった。
対応するメモリーカードは、これまでのCFからSDXC/SDHC/SDメモリーカードとなった。市場価格や想定されるユーザーを考慮すると、こちらのほうがはるかに実用的である。個人的にはシンクロ接点の廃止とともにこのカメラのポジショニングを象徴するような変更に思われて仕方がない。
使用メディアはSD/SHC/SDXCメモリーカード。EyE-Fiカードの使用にも対応する。スロット上部の白い三角形はメモリーカードのアクセスランプ 使用電池はEOS 5D Mark II、EOS 7Dと同じLP-E6を使用。残容量、撮影回数、劣化度の確認が可能だ。ファインダー撮影で約1,100枚の撮影ができる(CIPA準拠、常温時)
内蔵ストロボのガイドナンバーは13(ISO100・m)。焦点距離17mm相当の画角をカバーする。ワイヤレスマスター機能を装備
■ アスペクト比切替やカメラ内RAW現像が可能に
今までのEOSシリーズにはなかった機能もいくつか搭載され、より多彩に撮影が楽しめるようになった。
表現セレクト機能は、撮影者が考えるイメージを簡単な操作で画像に反映させる機能だ。くっきり鮮やかに/ふんわりやわらかく/暖かくやさしく/しっとりふかみのある/ほの暗くひっそりと/明るく/暗く/モノクローム/標準設定の9種類からなる「雰囲気」、日なた/日かげ/くもり/電球/蛍光灯/夕焼け/標準設定の7種類からの「明かりや状況」から好みの仕上がりを選択する。
「雰囲気」は効果の度合いが3段階から選べるほか(モノクロームは白黒/セピア/ブルーから選択できる)、「雰囲気」と「明かりや状況」を組み合わせて使うことも一部の撮影モードでできる。この機能が使える撮影モードは、簡単撮影ゾーン内のクリエイティブ全自動/ポートレート/風景/クローズアップ/スポーツ/夜景ポートレートと限られているが、色んな表現を楽しみたいビギナーには打ってつけの機能といえるだろう。項目を見ただけでも想像できるかと思うが、「雰囲気」、「明かりや状況」とも、ホワイトバランスやピクチャースタイル、露出補正などを巧みに組み合わせたものだ。
他社では一般的になりつつある「アートフィルター」も新たに搭載された。フィルターは、ラフモノクロ/ソフトフォーカス/トイカメラ風/ジオラマ風の4種類と控えめだが、どれも結果のハッキリとしたものである。ラフモノクロではコントラスト、ソフトフォーカスではぼかし度合い、トイカメラ風では色調、ジオラマ風ではぼかさない部分の位置がそれぞれ調整でき、より好みに応じたフィルター効果が楽しめる。
簡単撮影ゾーン内のクリエイティブ全自動/ポートレート/風景/クローズアップ/スポーツ/夜景ポートレートには表現セレクト機能を備える。「雰囲気」と「明かりや状況」から項目を設定すれば、イメージどおりの描写が得られる 「アートフィルター」には、ラフモノクロ/ソフトフォーカス/トイカメラ風/ジオラマ風の4種類を搭載。どれも結果のハッキリとした楽しめるものである。効果の度合いなどを調整することも可能
同様にアスペクト比切替、RAW現像、リサイズの各機能もEOSシリーズとしては初となる。マルチアスペクト機能はライブビュー撮影時に限られるものの、デフォルトの3:2のほか4:3、16:9、1:1が選択可能。JPEGでは選択したアスペクト比で切り出された画像が得られ、RAWの場合ではアスペクト比の情報が画像データに付加される。
RAW現像機能は、明るさの補正やホワイトバランス、ピクチャースタイルのほか、周辺光量補正、歪曲補正なども備える。撮影後の移動時や宿泊先などでRAW現像を手軽に楽しめそうだ。リサイズ機能は800万画素のMサイズ、450万画素のS1サイズ、250万画素のS2サイズ、30万画素のS3サイズとなる。いちいちパソコンの画像処理ソフトを起動させなくても済むので、ブログなどにアップするときなど重宝することだろう。
さらに、5段階のレーティング機能もEOSシリーズとしては目新しい機能である。しかも、カメラでレーティングしたものは、付属の画像ソフトImage BrowserもしくはZoom Browser EXに反映されるのはたいへん便利に感じる。画像編集機能にはあまり関心を示していなかった同社であるが、今回これだけの機能が搭載されたことには正直驚かされた。
アスペクト比切替はデフォルトの3:2のほか4:3、16:9、1:1が選択可能。ライブビュー撮影時のJPEG画像のみに機能する カメラ内でRAW現像も可能だ。調整できる内容は、DPP(Digital Photo Professional)に比べれば限定されるが、カメラ内現像としては不足のないもの。旅先などちょっとしたときに手軽に現像が楽しめそうだ
レーティングがカメラで行なえるようになった。格付けは5段階で、EOS 60Dに付属する画像ソフトZoom Browser EXもしくはImage Browserに反映される 撮影した画像をリサイズできる。Mサイズ(約800万画素)、S1サイズ(約450万画素)、S2サイズ(約250万画素)、S3サイズ(約30万画素)の4つから選択できる
水準器機能は左右方向のみに有効。ライブビューや動画撮影時も表示することが可能だ サブ電子ダイヤルをメニューからロックすることもできる。撮影中にサブ電子ダイヤルを使いたい場合は、同ダイヤルの下部にあるUNLOCKボタンを押せば、一時的にロックが解除される
EOS 60Dは、先代のEOS 50D と同じくEOS 7DとEOS Kiss X4の間に位置付けされるカメラである。しかし、EOS 50Dの登場時には、EOS 7Dは存在せず、それ以前のEOS二ケタモデルと同様、APS-Cサイズのトップエンドとしての役割も与えられていた。その後EOS 7Dの登場で、EOS 50DはAPS-Cのトップエンドとしての任は解かれ、よりEOS Kiss X4に近いポジショニングへと変ったのだが、EOS 60Dはそのことを強く反映したモデルに仕上がっている。
ボディを手にしてまず気づくのが、小型、軽量化されていることだ。実寸では幅と高さがEOS 50Dよりも1~2mm程度小さいだけだが、持つとボリューム感の違いが両手から伝わってくる。視覚的にもペンタ部周辺のシェイプはこれまで以上に絞られており、たいへんスマートな印象だ。重さについても同様で、これまでのEOS 二ケタモデルを知る者として、持った瞬間「軽い!」と口にしてしまったほどである。質量は、本体のみで約675g 。EOS 50Dは約730gだから、その差は約55gあるが、これはボディ外装をマグネシウム合金からエンジニアリングプラスチックに変更したことの理由が大きい。ただし、ボディのつくりはプラスチックの外装にありがちな安っぽさは微塵も感じさせず、ミドルクラスに相応しいものである。
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バリアングル液晶モニターも目新しい、EOSシリーズとしては初となるもので、同社のPowerShot G11などと同様、カメラを背面から見て左側にヒンジを備えるタイプを採用。三脚を使用した際やバッテリーグリップを装着したときなども可動範囲は変わらない。モニターを内側に向けて収納することも可能なので、移動時も便利だ。液晶モニターはEOS Kiss X4と同じ、アスペクト比3:2の3型ワイドタイプ、約104万ドットとなる。
ボタン類のレイアウトも大きく変わった。まず背面を見ると、EOS 50Dでは液晶モニター下部にあった主に再生に関するボタン類は、サブ電子ダイヤルを中心に上下に配置される。形状も丸ではなく、配置される場所によってさまざまだ。マルチコントローラーも、サブ電子ダイヤルの内周部に移動。バッテリーグリップを装着し縦位置に構えたとき、これまでマルチコントローラーが親指から遠くなってしまっていたが、今回のレイアウトの見直しで横位置と変わらない操作ができるようになった。ちなみに、サブ電子ダイヤルとマルチコントローラーが一体になったこの操作部材の総称を「マルチサブ電子ダイヤル」と呼ぶ。
電源ボタンは、EOS 7Dと同じく撮影モードダイヤルの裾に設置。サブ電子ダイヤルのON/OFFは電源ボタンではできなくなったが、代わりとしてカスタムメニューで同ダイヤルのロックが可能となり、背面の「UNLOCKボタン」で一時的に解除できるようになったのも新しいところだ。
カメラ上面では、表示パネルに沿って並ぶボタンが3つから4つに増えている(照明ボタンを除く)。これまでは1つのボタンに対し2つの機能が割り当てられていたが、EOS 60Dでは単機能となる。4つのボタンは、AF/ドライブモード/ISO感度/測光モードとなる。気になるのがWB(ホワイトバランス)と調光補正の行方だが、WBと調光補正はメニューもしくはクイック設定画面から行なえるほか、カスタム設定でSETボタンに割り当てができるので、両機能の使用頻度の多いユーザーは安心してほしい。撮影モードダイヤルの中央には、新たにプッシュタイプのロックボタンを備えた。これまでダイヤルが不用意に回転してしまうことがあったので、ありがたい配慮といえる。
EOSシリーズとしては初のバリアングルモニターを搭載。ヒンジがカメラ左側面となるので、三脚を使用しても可動範囲は変わらない。3型ワイドタイプのクリアビュー液晶モニターを採用する 表示パネルに沿って並ぶボタンは、照明ボタンを除き4つ。EOS 50Dまでは2つずつ機能が割り当てられていたが、EOS 60Dでは1つとなる。表示パネルの形状は長方形から変形タイプとなる
ロックボタンの付いた撮影モードダイヤル。「C」はカメラユーザー設定で、従来は3つあったが、EOS 60Dでは1つとなった。電源ON/OFFスイッチはEOS 7Dと同様、撮影モードダイヤルの裾の部分に備わる EOS 50Dでは液晶モニター下部にあったボタン類は、その右側に移動。マルチコントローラーもサブ電子ダイヤルのなかに移動した。サブ電子ダイヤルは小振りになり、回した印象も含め操作感はEOS 50Dよりも低下しているように思える
■ 記録メディアがSDメモリーカードに
キーデバイスを見てみよう。EOS 7DやEOS Kiss X4と同じ自社製の有効1,800万画素CMOSセンサーを搭載する。映像エンジンは「DIGIC 4」を一基搭載。常用ISO感度はEOS 50Dの100~3200から100~6400にアップ、感度拡張時にはISO12800での撮影も可能だ。ISOオートでは感度の上限をISO400/800/1600/3200/6400から選べる。測光センサーはEOS 7Dと同じ「63分割iFCL測光システム」を搭載。測距情報と色情報を活用することで、測光の難しい条件でも正確な露出が得られるという。
EOS 50Dよりも劣ってしまうのがコマ速と連続撮影枚数だ。コマ速は約5.3コマ/秒と1コマ遅くなる。連続撮影枚数もRAWのみの場合は約16枚と従来どおりであるものの、JPEG(Large/Fine)の場合で2枚少ない約58枚、JPEG(Large/Fine)+RAWでは3枚少ない約7枚となる。いずれの場合も画素数増加による処理能力の負担が増えたことなどが影響しているのだろう。スポーツなど撮るユーザーには、ちょっと物足りなく感じるかも知れない。
ペンタプリズムを採用するファインダーはEOS 50Dよりも視野率が1%アップし約96%に、倍率は従来と同じ約0.95倍となる。フォーカシングスクリーンはEOS 50Dと共通で、標準装備のEf-Aのほか、方眼タイプのEf-D、開放値の明るいレンズに適したEf-Sが用意される。AFも従来と同じく全点クロス9点センサーを搭載する。EOS 7Dと同じセンサーが搭載されればと期待していたが、残念ながら敵わなかった。
対応するメモリーカードは、これまでのCFからSDXC/SDHC/SDメモリーカードとなった。市場価格や想定されるユーザーを考慮すると、こちらのほうがはるかに実用的である。個人的にはシンクロ接点の廃止とともにこのカメラのポジショニングを象徴するような変更に思われて仕方がない。
使用メディアはSD/SHC/SDXCメモリーカード。EyE-Fiカードの使用にも対応する。スロット上部の白い三角形はメモリーカードのアクセスランプ 使用電池はEOS 5D Mark II、EOS 7Dと同じLP-E6を使用。残容量、撮影回数、劣化度の確認が可能だ。ファインダー撮影で約1,100枚の撮影ができる(CIPA準拠、常温時)
内蔵ストロボのガイドナンバーは13(ISO100・m)。焦点距離17mm相当の画角をカバーする。ワイヤレスマスター機能を装備
■ アスペクト比切替やカメラ内RAW現像が可能に
今までのEOSシリーズにはなかった機能もいくつか搭載され、より多彩に撮影が楽しめるようになった。
表現セレクト機能は、撮影者が考えるイメージを簡単な操作で画像に反映させる機能だ。くっきり鮮やかに/ふんわりやわらかく/暖かくやさしく/しっとりふかみのある/ほの暗くひっそりと/明るく/暗く/モノクローム/標準設定の9種類からなる「雰囲気」、日なた/日かげ/くもり/電球/蛍光灯/夕焼け/標準設定の7種類からの「明かりや状況」から好みの仕上がりを選択する。
「雰囲気」は効果の度合いが3段階から選べるほか(モノクロームは白黒/セピア/ブルーから選択できる)、「雰囲気」と「明かりや状況」を組み合わせて使うことも一部の撮影モードでできる。この機能が使える撮影モードは、簡単撮影ゾーン内のクリエイティブ全自動/ポートレート/風景/クローズアップ/スポーツ/夜景ポートレートと限られているが、色んな表現を楽しみたいビギナーには打ってつけの機能といえるだろう。項目を見ただけでも想像できるかと思うが、「雰囲気」、「明かりや状況」とも、ホワイトバランスやピクチャースタイル、露出補正などを巧みに組み合わせたものだ。
他社では一般的になりつつある「アートフィルター」も新たに搭載された。フィルターは、ラフモノクロ/ソフトフォーカス/トイカメラ風/ジオラマ風の4種類と控えめだが、どれも結果のハッキリとしたものである。ラフモノクロではコントラスト、ソフトフォーカスではぼかし度合い、トイカメラ風では色調、ジオラマ風ではぼかさない部分の位置がそれぞれ調整でき、より好みに応じたフィルター効果が楽しめる。
簡単撮影ゾーン内のクリエイティブ全自動/ポートレート/風景/クローズアップ/スポーツ/夜景ポートレートには表現セレクト機能を備える。「雰囲気」と「明かりや状況」から項目を設定すれば、イメージどおりの描写が得られる 「アートフィルター」には、ラフモノクロ/ソフトフォーカス/トイカメラ風/ジオラマ風の4種類を搭載。どれも結果のハッキリとした楽しめるものである。効果の度合いなどを調整することも可能
同様にアスペクト比切替、RAW現像、リサイズの各機能もEOSシリーズとしては初となる。マルチアスペクト機能はライブビュー撮影時に限られるものの、デフォルトの3:2のほか4:3、16:9、1:1が選択可能。JPEGでは選択したアスペクト比で切り出された画像が得られ、RAWの場合ではアスペクト比の情報が画像データに付加される。
RAW現像機能は、明るさの補正やホワイトバランス、ピクチャースタイルのほか、周辺光量補正、歪曲補正なども備える。撮影後の移動時や宿泊先などでRAW現像を手軽に楽しめそうだ。リサイズ機能は800万画素のMサイズ、450万画素のS1サイズ、250万画素のS2サイズ、30万画素のS3サイズとなる。いちいちパソコンの画像処理ソフトを起動させなくても済むので、ブログなどにアップするときなど重宝することだろう。
さらに、5段階のレーティング機能もEOSシリーズとしては目新しい機能である。しかも、カメラでレーティングしたものは、付属の画像ソフトImage BrowserもしくはZoom Browser EXに反映されるのはたいへん便利に感じる。画像編集機能にはあまり関心を示していなかった同社であるが、今回これだけの機能が搭載されたことには正直驚かされた。
アスペクト比切替はデフォルトの3:2のほか4:3、16:9、1:1が選択可能。ライブビュー撮影時のJPEG画像のみに機能する カメラ内でRAW現像も可能だ。調整できる内容は、DPP(Digital Photo Professional)に比べれば限定されるが、カメラ内現像としては不足のないもの。旅先などちょっとしたときに手軽に現像が楽しめそうだ
レーティングがカメラで行なえるようになった。格付けは5段階で、EOS 60Dに付属する画像ソフトZoom Browser EXもしくはImage Browserに反映される 撮影した画像をリサイズできる。Mサイズ(約800万画素)、S1サイズ(約450万画素)、S2サイズ(約250万画素)、S3サイズ(約30万画素)の4つから選択できる
水準器機能は左右方向のみに有効。ライブビューや動画撮影時も表示することが可能だ サブ電子ダイヤルをメニューからロックすることもできる。撮影中にサブ電子ダイヤルを使いたい場合は、同ダイヤルの下部にあるUNLOCKボタンを押せば、一時的にロックが解除される