多くの女性が50代を超えて長生きするようになったのは、歴史的に見れば最近のことです。更年期を乗り越え、子供達が独立した後で、第二の人生を満喫する機会はありませんでした。
現代医学と生活環境の改善により、現在のアメリカにおける女性の平均寿命は80.5歳です。1 つまり、50歳を過ぎてからの人生がまだ何十年もあるのです。
人生を気持ちよく輝かせ、美しく年を重ねるにはどうすればよいのでしょうか?そのためには、賢いライフスタイル作りが重要です。定期的な運動、喫煙者は禁煙、ストレスの軽減、飲酒は避けるか控えめにすることに加え、適切な食生活を心がけましょう。
50歳を過ぎたら食生活を見直すことで、気分も見た目も年の取り方も大きく変わるでしょう。
50歳を過ぎた女性の体に起こる変化とは?
人の体は何兆個もの細胞でできていて、そのすべてが協力し合って生きています。しかし、これらの細胞はすべて、年齢を重ねるにつれて変化します。細胞は大きくなり、正常に機能しづらくなったり、分裂や増殖の能力が衰えてきます。また、DNAを修復する機能も低下し、病気のリスクが高まります。
組織や臓器はすべて細胞からできているため、影響は全身に及びます。皮膚や骨、筋肉、関節、内臓など、あらゆるものが変化していきます。神経系、免疫系、生殖器系、内分泌系、消化器系、筋骨格系、循環器系などのすべてが加齢の影響を受けるのです。
老化の進行には、遺伝、ライフスタイル、周囲の環境が影響します。加齢を止めることはできませんが、健康的で栄養価の高い食事は老化を遅らせてくれることが期待できます。反対に、高カロリーや加工食品、飽和脂肪酸の多い食生活は老化を促進させてしまうでしょう。
体の中で一番に老化する部位はどこか、気になりませんか?肌だと思われるかもしれませんが、実はバストなのです。Genome Biology誌に掲載された研究によると、乳房組織は体の中で最も老化の影響を受ける部分なのだそうです。
更年期に伴うエストロゲンの減少により乳腺組織が縮小し、バストサイズが小さくなります。また、乳房を支える結合組織もゆるむため、乳房が垂れ下がるようになります。首回りと胸元、いわゆるデコルテの部分も日光にさらされると老化していきます。ですから、広域スペクトラムの 日焼け止めで保護することが大切なのです。
栄養と量のジレンマ
50歳を過ぎると、 タンパク質、 カルシウム、 ビタミンB群の一部や ビタミンDなど、特定の栄養素はより多く必要となる一方で、カロリーは減らしたいというジレンマに直面します。そのため、栄養価の高い食事を摂ることがこれまで以上に重要になります。
Institute of Medicine(米国医学研究所)によると、31歳から50歳の中程度に活発な女性の必要カロリーは約2,000カロリー、51歳以降ではたったの1,800カロリーです。体重を維持するために必要なカロリーが50歳以降で1日約200キロカロリー少なくなるのには、いくつか理由があります。
まず、筋肉は脂肪とは違い代謝が活発で、1ポンド(約453グラム)あたり7〜10キロカロリーを消費します。つまり、筋肉量が多ければ多いほど、安静時、活動時、睡眠時それぞれの消費カロリーは増えることになります。
しかし、筋肉の量は30代から10年ごとに3~8%ずつ減少していきます。また、多くの人では年齢とともに運動量も減っていきます。Centers for Disease Control(米国疾病管理センター)によると、50歳以上のアメリカ女性の約30%は定期的な運動をしていないそうです。
必要な栄養素が多くなる理由は?胃酸の分泌は年とともに少なくなります。そのため、 ビタミンB12、 カルシウム、 鉄、 マグネシウム. などの重要な微量栄養素の吸収が低下します。
さらに、女性は閉経(12ヶ月連続で生理がない状態)に近づくと、エストロゲンのレベルが低下します。このため、骨密度や筋肉量が低下し、 タンパク質や カルシウム、 ビタミンD の必要量が増加します。
50を過ぎた女性に最適な食事とは?
栄養補給、健康維持、そして炎症を抑えるのに最適な食事は、ホールフード・プラントベース(WFPB)と呼ばれる食事法です。逆に、砂糖や精製された炭水化物、ファーストフードや揚げ物を多く含むバランスの悪い食生活は、老化を早める可能性があります。
DASHや地中海式のような野菜中心の食事は慢性疾患のリスクを下げる可能性があることが、多くの研究で示されています。色とりどりの植物性食材を組み合わせることで、さまざまな植物化学物質が摂取でき、アンチエイジング効果が期待できるかもしれません。
ポリフェノール
抗酸化作用のあるポリフェノールを含む食品は、炎症を防ぐ効果が期待できます。たとえば玉ねぎ、ベリー類、葉物野菜、赤ブドウ、 緑茶 などがよいでしょう。
野菜中心の食事は更年期太りの予防にも
WFPBの食事はコレステロール値を下げ、更年期太りを予防する効果も期待できます。こういった食生活には農産物が豊富に含まれ、標準的なアメリカの食事(SAD)よりも低カロリーになる傾向があるからです。植物性食品には水分や食物繊維も含まれているので、太る心配をせずに満腹感が得られます。少ないカロリーで満足感が得られるので、食べる量も減ります。
ナッツ・種子類
ただし、 ナッツや種子類は例外です。健康的な老化をサポートする脂肪を豊富に含みますが、カロリーが高いのが難点です。軽く手のひらにのる1.5オンス(約42g)程度の量にとどめ、ほどほどに食べるようにしましょう。
水溶性食物繊維
植物性食品に豊富に含まれる水溶性 食物繊維 悪玉のLDLコレステロール値を下げ、栄養の吸収を良くする働きがあります。水溶性食物繊維は血流に取り込まれるコレステロールの量を減らします。
同時に、腸内で溶けて消化をゆっくりにしてくれます。これによって、消化管に生息する腸内細菌が栄養素を抽出することができ、体にしっかりと吸収される機会を作れます。
水溶性食物繊維は豆類、 オートミール、りんご、梨、芽キャベツなどに多く含まれています。
大豆食品はホットフラッシュを抑える効果が期待できる
さらに、野菜中心の食事で大豆食品をしっかりと摂取すると、更年期に起こるほてりや寝汗の回数を減らす効果が期待できます。
Menopause誌に掲載された12週間の研究によると、低脂肪のヴィーガン食に加えて毎日カップ半分の煮た大豆を食べた閉経後の女性では、中程度~重度のホットフラッシュが1日5回近い頻度から1回未満まで減少しました。2 研究期間中、60%近い被験者は中等度~重度のホットフラッシュを経験しなくなりました。また、多くの被験者が、性的症状、全体的な体力と気分が改善されたと述べています。
肉はほどほどに
ホールフード・プラントベースといっても、完全な菜食主義になって肉、鶏肉、魚、卵、乳製品を排除するわけではありません。動物由来の食品も利用しつつ、量を減らすだけです。
肉類は食事の中心ではなく、足りない部分を補うものと考えましょう。スープ、シチュー、キャセロール、炒め物などの味付けに少量の肉を使うエスニック料理に目を向けてみてください。週に一日とか一食を肉なしにしてみましょう。または、動物性食品の一部をヴィーガンの食材で代用するのもいいでしょう。たとえば、牛乳を豆乳に変えたり、牛肉をベジバーガーに変えたりします。
赤身の肉やチーズなど、飽和脂肪を多く含む動物性食品の摂取を控えることも、カロリーと心臓病のリスクを下げるのに役立つでしょう。
十分なタンパク質を
筋肉量と筋力を維持するためには、十分なタンパク質の摂取が重要です。
50歳を過ぎると、1日に必要なタンパク質の量はそれまでの体重1kgあたり0.8gから、1~1.2gへと増えます。つまり、50歳以降では体重1ポンドあたり0.45~0.55gのタンパク質が必要で、これは体重150ポンド(約68キロ)の女性なら67~83gに相当します。
タンパク質を多く含む食品には、豆類、肉類、鶏肉、魚類、卵、乳製品などがあります。十分な量を確保するには、毎回の食事やおやつで少しずつ摂るようにするのが一番です。
たとえば、朝食には卵1個か牛乳1杯、または朝のスムージーに エンドウ豆 もしくは大豆の プロテイン を一杯分加えます。昼食には七面鳥のサンドイッチや、豆腐や サーモン缶 をサラダにプラスしましょう。夕食には、3~4オンス(85~113グラム)の鶏胸肉、ベジタブルバーガー、豆のブリトーなどを食べるとよいでしょう。高タンパクのおやつには、枝豆、果物と ナッツバター、低脂肪ヨーグルトなどがあります。
さらに、筋肉量と筋力を維持し代謝を高めるため、週に数回の筋力トレーニングを行うようにしましょう。ダンベルやレジスタンスバンドを使ったり、腕立て伏せやランジなどの自重運動を日課にするとよいでしょう。定期的なヨガも筋肉と体力をつけるのに役立ちます。
骨を丈夫にする食事
50歳を過ぎたら、骨粗鬆症を予防し、骨を丈夫にするためにできることがいくつかあります。
カルシウム
第一に、十分なカルシウムを摂取しましょう。50歳以降では、 カルシウム の必要量が1日1,000ミリグラムから1,200ミリグラムに増えます。低脂肪の乳製品、カルシウム入り飲料、枝豆、豆腐、骨ごと入った イワシ缶や鮭缶などを取り入れるとよいでしょう。
マグネシウム
閉経後は、骨量の減少を防ぐために マグネシウム を多めに摂る必要があるかもしれません。3 成人女性の1日あたり推奨摂取量 (RDA)は、310~320ミリグラムです。マグネシウムは多くの食品に含まれています。例としては アーモンド、ピーナッツ カシューナッツ、 豆類、 豆類、大豆食品、葉物野菜、栄養強化 シリアル、ダーク チョコレート、全粒穀物などです。
ビタミンD
カルシウムの吸収を助けるため、十分な量の ビタミンD を摂取することも大切です。ビタミンDの不足は、心血管疾患やその他の慢性疾患と関連していることを示唆する研究が増えています。
ビタミンDの供給源は太陽光ですが、特に北国に住む女性の多くは十分に浴びられていません。アメリカの成人の4割ではビタミンDが不足しているという研究結果があります。4
米国医学研究所では1日平均400〜800 IU(国際単位)の摂取を推奨していますが、より多く、安全な上限値である1,000〜4,000 IUを推奨する研究もあります。適量を判断するためにも、体内のビタミンD量を測定してもらうとよいでしょう。
ビタミンDを多く含む食品には、マグロ、イワシ、サケ、タラの肝油などがあります。また、アメリカではシリアル、牛乳、豆乳、オレンジジュースなど、多くの食品にも添加されています。サプリメントを使って必要な量を補うこともできます。
コラーゲン
食事に コラーゲン を取り入れてみましょう。コラーゲンはタンパク質の摂取に役立つだけでなく、閉経後の女性の骨密度を向上させる可能性があることも研究で示されています。 5, 6
メラトニン
メラトニンは体内で自然に作られるホルモンで、睡眠を促しますが、閉経後の骨量減少を防いでいる可能性もあります。3つのランダム化比較試験のメタアナリシスでは、メラトニンは閉経前後の女性の骨密度を向上させる安全な栄養補助食品として使用できると結論付けられていますが、その有効性を確認するためにはさらに研究が必要です。
サプリメントで栄養を補い、さらなるサポートを
アンチエイジングには適正な食生活が第一ですが、サプリメントを上手に利用することで、栄養を全体的にカバーし、健康的な加齢をサポートすることができます。
マルチビタミン
まずは50歳以上の女性向けに作られた マルチビタミン・ミネラル コンプレックスをお試しください。月経がなく、出血による鉄分の損失がない場合は、鉄分が含まれていないか、含有量の少ない製品を探しましょう。
オメガ3脂肪酸
The Dietary Guidelines for Americans(アメリカ人のための食事摂取基準)では、1週間に少なくとも8オンス(227グラム)の魚の摂取が推奨されています。魚を食べない、もしくは食べる量が少ないという方は、 オメガ3サプリ を取り入れてみるか、 亜麻仁油 のようなオメガ3脂肪酸を多く含む油の利用を検討してみましょう。
オメガ3系脂肪酸に代表される体に良い脂肪類は更年期症状を軽減する可能性があることが研究で示されています。また、脳と心臓の健康をサポートするほか、炎症を抑えることが分かっています。
炎症を抑えるサプリメント
炎症は体が回復する際に重要な正常なプロセスですが、慢性化すると組織、関節、血管に損傷を与える場合もあります。このダメージが関節炎、心臓病、アルツハイマー病を引き起こすこともあります。慢性炎症があるかどうかは、C反応性蛋白と呼ばれる肝臓の化学物質を測定する血液検査で判断することができます。
魚油のほかにも、いくつかのサプリメントが炎症を抑えるのに役立つことがあります。
- クルクミン:ウコンに含まれる クルクミンはC反応性蛋白を減少させる可能性があることが研究で示されています。
- ショウガ: ショウガ の摂取もC反応性蛋白の減少に寄与する可能性が示されています。
- レスベラトロール:ブドウやブルーベリーなどの紫色の果物に含まれる抗酸化物質である レスベラトロール は、サプリメントとして摂取すると炎症を抑える効果が示されています。
- スピルリナ:藍藻類の一種である スピルリナが炎症を抑制する可能性が示唆されています。
- ビタミンC:強力な抗酸化物質である ビタミンC は炎症の低減に役立ちます。
炎症を抑えたり、元気に年を取るためのサプリメントを利用する際には、事前に医師または管理栄養士に相談してください。特に薬の服用中や健康上の問題がある方はご注意ください。
まとめ
適切な食生活で元気に美しく年を重ね、第二の人生を満喫しましょう。50歳を過ぎた女性にとって最も重要な栄養素を知っておくことで、骨密度を維持し、筋肉の減少を抑え、閉経後の体重増加を防ぎ、炎症を抑え、慢性疾患を予防し、人生を目一杯楽しめるようになるはずです。