12.1型ワイドで13型ワイドクラスの表示能力を実現
ドスパラ(サードウェーブ)から発売された「Prime Note Cresion NA」(以下、Cresion NA)は、NVIDIAのIONプラットフォームを採用したノートPCだ。IONは、AtomにGPU統合型チップセットのGeForce 9400M Gを組み合わせた構成で、Atomの省電力性能とGeForce 9400M Gの高いグラフィックス性能をノートPCで両立することが可能になる。
Atomを搭載するNetbookでは、チップセットにIntel 945Gシリーズ+ICH7Mという構成を採用したものが多い。しかし、この組み合わせによるグラフィックス性能は、HD動画の再生などで性能が不足する感があった。これに対して、IONのGeFroce 9400M GはDirectX 10に対応しているほか、PureVideo HDをサポートするなどグラフィックス性能が大幅に向上している。また、利用できるメモリも、Intel 945GシリーズではDDR2-667までだが、IONではDDR3-1333まで対応する。
Cresion NAは、IONプラットフォームを採用することで、Netbookに近い価格帯でありながら、3DゲームやHD動画の再生などで通常タイプのノートPCに相当するパフォーマンスを実現しているのが最大の特徴といえるだろう。
Cresion NAが搭載するCPUはデュアルコアのAtom 330(動作クロック1.6GHz)、チップセットは前述のとおりGeForce 9400M Gを採用する。メモリは標準でDDR2を2Gバイト搭載し、HDDはSerial ATA接続で容量は320Gバイトになる。本体には光学ドライブを内蔵するが、購入時にDVDスーパーマルチドライブとBD-ROMドライブのどちらかを選択できる。
液晶ディスプレイは12.1型ワイドとモバイル重視のノートPCで平均的なサイズだが、解像度が1366×768ドットと13型ワイドに相当する。もちろん、Netbookと比べて表示される情報量は格段に多い。ただ、重量は約1.92キロとAtomを搭載する2スピンドルノートPCとしてはやや重い。
キーボードのレイアウトはゆったりとしていて、ほとんどのキーで均等ピッチ(実測で約19ミリ)を確保している(右上のバックスラッシュキーとカーソルキーのみ、幅が約15ミリとわずかに狭い)。低価格ノートPCながら打鍵感はしっかりしている。左半分のキーをグッと押し込むと、キーボード全体が沈み込んでたわむものの、気になるレベルではない。「ろ」と右シフトキーの間にカーソルキーの“上矢印”が配置されているのが変則的だが、それ以外は快適にタイピングできる。
ポインティングデバイスはタッチパッドを採用する。最近の低価格ノートPCによく見られる左右ボタンがつながったタイプだが、パッドの横幅が65 ミリと長いので使いにくくははない。また、タッチパッドとパームレストの間に溝があるほか、タッチパッドの周りに段差を設けているので、指先の感触だけでタッチパッドを認識できる。
なお、最小構成ではOSが付属しないが、ユーザーは購入時にWindows Vista Home Basic/同 Home Premium/ 同 Business/同 Ultimate、Windows XP Home Edition/同 Professionalが選択可能だ。今回の記事で用いた評価機材は、DVDスーパーマルチドライブを搭載し、OSにはWindows Vista Businessが導入されていた。
Cresion NAは、価格と性能のバランスが良好なマシンといえる。CPUにAtom 330を採用し、処理速度はAtom N270、またはAtom N280などを採用したNetbookを上回る。またIONプラットフォームを採用したことで、軽い3Dゲームなら実用的なフレームレートで動作する3D グラフィックスパフォーマンを示した。1366×768ドットという高解像度を12.1型ワイドのディスプレイで実現したおかげでフットプリントも大きくならずに済んでいる。重さもギリギリ2キロを切っていて持ち運べるレベルだ。
実売価格はBD-ROMドライブを搭載したWindows Vista Home Premium(SP1)モデルで7万9979円と、平均的なNetbookより3万円ほど高い。しかし、Netbookの「速度の遅さ」「光学ドライブ非搭載」「画面の狭さ」がすべてクリアされており、ストレスなく利用できるならBD-ROMドライブを搭載して3万円も納得できる(OSなしを選択すると 6万4980円になる)。「安いノートが1台欲しいけどNetbookじゃ性能不足」ということが分かるPCユーザーには、ぜひ購入を検討してもらいたい 1台だ。