ゐん 韻は、ねいろである。音声のひびきである。韻を踏む、韻書、韻律、韻文などと使う。音韻という語で音韻学が捉えられた。音韻学は中国漢字音の渡来とともに始まり、主として僧侶や儒学者によって仏典、漢籍の解読と漢詩文作成という営みに伴って発展、進化した、と説明される。また音韻論は、言語学の分野として、言語において単語を構成する要素として音節、音素など音声を扱う。古来、文学での押韻、平仄そして反切、反音により、中国語の発音、日本語の発音を分析した。中国で反切は梁の顧野王の玉篇から見える。
ウイキペディアより。
韻(いん)とは、
古代中国語において音節内の主母音・尾音、声調の部分。
漢詩や賦で押韻される字のこと。句末で押韻されるものは特に韻脚という。
詩文で、一定の間隔あるいは一定の位置で並べられる同一もしくは類似の響きをもつ語。
デジタル大辞泉の解説
いん 〔ヰン〕 【韻】
1 漢字の表す1音節のうち、頭子音を除いた部分の声調の違いによって、平(ひょう)・上(じょう)・去(きょ)・入(にゅう)の四声に分類した区別。これをさらに分けて、古くは206韻としていたが、のちに整理されて106または107韻となった。
2 詩歌で、同一または類似の音を、一定の位置に繰り返し用いること。
いん 【韻】
[常用漢字] [音]イン(ヰン)(慣)
1 言葉のひびき。また、物の出す音。「松韻・神韻・余韻」
2 風流な趣。「韻事・韻致/気韻・風韻」
3 漢字音で、声母(頭子音)を除いた部分。韻母。「韻字・韻書/音韻・畳韻・平水韻」
4 詩や文章で、同一または類似の音を、特定の場所に繰り返して用いること。「韻律/押韻・脚韻・頭韻・和韻」
5 詩歌。「韻文」
◆「韵」は異体字。
[名のり]おと
韻を押す ⇒韻を踏む
韻を探る
多人数が集まって詩を作るとき、各人が韻字本を無心に開き、そこに出た韻字をその人の詩の韻とする。探韻(たんいん)する。
「貴ぶ所これ賢才といふ題にして―・らるることあり」〈神皇正統記・村上〉
韻を踏む
同韻の字を詩句の特定の場所に用いる。韻を押す。
大辞林 第三版の解説
いん【韻】
①詩文で,同一もしくは類似の響きをもつ言葉を,一定の間隔あるいは一定の位置に並べること。
②漢字音で,頭子音を除いた他の部分。韻母。
③同一の韻母,または類似した韻母をもつ漢字を分類したもの。中国の韻書における漢字分類の単位。 ↔ 音
[句]
韻に次す ・ 韻を押す ・ 韻を探る ・ 韻を踏む
世界大百科事典内の韻の言及
【韻律】より
…
【詩歌と韻律】
文を形づくる音韻の配列に一定の人為的な規則を設け,これによって律動感や音の響き合いなど,聴覚上の美感をもたらそうとすることは,古くから行われていた。こうした規則の総体を韻律と呼ぶ。…
【音韻学】より
…中国語の語は原則として単音節から成り,その音節は一般に頭子音+介母音+主要母音+末子音(+声調)の構造をなしている。中国人はこの音節構造を頭子音と介母音以下の二つの部分に分析し,前者を音と呼び,後者を総括して韻と呼んだ。そこでこの音構造を研究する学問を音韻学と称した。…
日本国語大辞典
いん[ヰン] 【韻】 〔名〕
(1)音声の響き。音色。
*申楽談儀〔1430〕音曲の心根「あなたの云をさめの字のゐんを、能能(よくよく)心えべし」
*六書故「韻、音響相 也、声相応為韻、凡詩必有韻、今文字書以音相 為部曰韻書」
(2)漢字音で、漢字一字の表わす音節の、最初の子音を除いた部分。また、それを類別したもの。声調の違いによって平・上・去・入の四声に分けられ、古くは二百余韻、のちに整理されて百余韻に類別される。前者を古韻または広韻、後者を今韻または平水韻という。また、平声に属する韻を平韻、上・去・入の三声に属する韻を仄韻(そくいん)と呼んで、二大別することもある。→四声(しせい)・平仄(ひょうそく)。
*源氏〔1001~14頃〕賢木「難きゐんの文字どもいと多くて、おぼえある博士どもなどの惑ふ所々を」
*徒然草〔1331頃〕二三八「『花の外に夕を送れば、声百里に聞ゆ』と云句あり。『陽唐の韻と見ゆるに、百里あやまりか』と申たりしを」
*南史‐陸厥伝「皆用宮商、将平上去入四声、以此制韻」
(3)文学作品とくに詩歌で、各句の頭あるいは末に反復して置かれる同一または類似の音。また、それを用いた文章。
*菅家文草〔900頃〕七・未旦求衣賦一首「以秋夜思政、何道済民、為韻依次用之」
*本朝文粋〔1060頃〕一・春雪賦〈紀長谷雄〉「以盈尺表瑞為韻」
*満韓ところどころ〔1909〕〈夏目漱石〉一四「韻も平仄(ひゃうそく)もない長い詩であったが」
(4)「いんじ(韻字)」に同じ。
*俳諧・三冊子〔1702〕白双紙「留を韻といふ事、文字にて留るゆへ也」
(5)おもむき。
*愚管抄〔1220〕三・桓武「その儘にたがえず心うべきにて有るを、つやつやとこの韻に入りて心得んとする人もなし」
*陶潜‐帰田園居詩「少無適俗韻性本愛邱山」
おんいん‐ろん[オンヰン:] 【音韻論】〔名〕
({英}phonology {ドイツ}Phonologie の訳語)
言語学の一部門。言語ことに単語を構成する要素として音声を扱う。ある言語や方言の言語音を音素という単位に抽象して、その構造や体系を記述したり、また文や単語を具体的な音声に変換するのに必要な規則を研究したりする。音韻学。音素論。→音素。
*国語のため〔1895〕〈上田万年〉今後の国語学「日本語の沿革、動詞変化の源因、音韻論、また国語学の組織、辞書の組織等につきて攻究する
【韻】 [ヰン]
(1)ひびき。音色。ことばの音。/音韻、声韻/哀韻、神韻、詞韻、松韻、余韻/
(2)おもむき。風流なさま。/雅韻、気韻、風韻、韻致/韻士、韻事、韻度/
(3)漢字の音で、初めの子音を除いた部分。/音韻/古韻、平水韻、百六韻/
(4)詩賦などで、形式を整えるためにとりあげる句末の発音の特徴。/脚韻、頭韻/押韻、畳韻、和韻、次韻/韻語、韻字、韻文、韻律
字通より。
〔名義抄〕韻 シラブ・シタガフ・キホフ 〔字鏡集〕韻 ヒビキ・シラブ・コヱヤハラグ・コヱ・キホフ・シタガフ
ウイキペディアより。
韻(いん)とは、
古代中国語において音節内の主母音・尾音、声調の部分。
漢詩や賦で押韻される字のこと。句末で押韻されるものは特に韻脚という。
詩文で、一定の間隔あるいは一定の位置で並べられる同一もしくは類似の響きをもつ語。
デジタル大辞泉の解説
いん 〔ヰン〕 【韻】
1 漢字の表す1音節のうち、頭子音を除いた部分の声調の違いによって、平(ひょう)・上(じょう)・去(きょ)・入(にゅう)の四声に分類した区別。これをさらに分けて、古くは206韻としていたが、のちに整理されて106または107韻となった。
2 詩歌で、同一または類似の音を、一定の位置に繰り返し用いること。
いん 【韻】
[常用漢字] [音]イン(ヰン)(慣)
1 言葉のひびき。また、物の出す音。「松韻・神韻・余韻」
2 風流な趣。「韻事・韻致/気韻・風韻」
3 漢字音で、声母(頭子音)を除いた部分。韻母。「韻字・韻書/音韻・畳韻・平水韻」
4 詩や文章で、同一または類似の音を、特定の場所に繰り返して用いること。「韻律/押韻・脚韻・頭韻・和韻」
5 詩歌。「韻文」
◆「韵」は異体字。
[名のり]おと
韻を押す ⇒韻を踏む
韻を探る
多人数が集まって詩を作るとき、各人が韻字本を無心に開き、そこに出た韻字をその人の詩の韻とする。探韻(たんいん)する。
「貴ぶ所これ賢才といふ題にして―・らるることあり」〈神皇正統記・村上〉
韻を踏む
同韻の字を詩句の特定の場所に用いる。韻を押す。
大辞林 第三版の解説
いん【韻】
①詩文で,同一もしくは類似の響きをもつ言葉を,一定の間隔あるいは一定の位置に並べること。
②漢字音で,頭子音を除いた他の部分。韻母。
③同一の韻母,または類似した韻母をもつ漢字を分類したもの。中国の韻書における漢字分類の単位。 ↔ 音
[句]
韻に次す ・ 韻を押す ・ 韻を探る ・ 韻を踏む
世界大百科事典内の韻の言及
【韻律】より
…
【詩歌と韻律】
文を形づくる音韻の配列に一定の人為的な規則を設け,これによって律動感や音の響き合いなど,聴覚上の美感をもたらそうとすることは,古くから行われていた。こうした規則の総体を韻律と呼ぶ。…
【音韻学】より
…中国語の語は原則として単音節から成り,その音節は一般に頭子音+介母音+主要母音+末子音(+声調)の構造をなしている。中国人はこの音節構造を頭子音と介母音以下の二つの部分に分析し,前者を音と呼び,後者を総括して韻と呼んだ。そこでこの音構造を研究する学問を音韻学と称した。…
日本国語大辞典
いん[ヰン] 【韻】 〔名〕
(1)音声の響き。音色。
*申楽談儀〔1430〕音曲の心根「あなたの云をさめの字のゐんを、能能(よくよく)心えべし」
*六書故「韻、音響相 也、声相応為韻、凡詩必有韻、今文字書以音相 為部曰韻書」
(2)漢字音で、漢字一字の表わす音節の、最初の子音を除いた部分。また、それを類別したもの。声調の違いによって平・上・去・入の四声に分けられ、古くは二百余韻、のちに整理されて百余韻に類別される。前者を古韻または広韻、後者を今韻または平水韻という。また、平声に属する韻を平韻、上・去・入の三声に属する韻を仄韻(そくいん)と呼んで、二大別することもある。→四声(しせい)・平仄(ひょうそく)。
*源氏〔1001~14頃〕賢木「難きゐんの文字どもいと多くて、おぼえある博士どもなどの惑ふ所々を」
*徒然草〔1331頃〕二三八「『花の外に夕を送れば、声百里に聞ゆ』と云句あり。『陽唐の韻と見ゆるに、百里あやまりか』と申たりしを」
*南史‐陸厥伝「皆用宮商、将平上去入四声、以此制韻」
(3)文学作品とくに詩歌で、各句の頭あるいは末に反復して置かれる同一または類似の音。また、それを用いた文章。
*菅家文草〔900頃〕七・未旦求衣賦一首「以秋夜思政、何道済民、為韻依次用之」
*本朝文粋〔1060頃〕一・春雪賦〈紀長谷雄〉「以盈尺表瑞為韻」
*満韓ところどころ〔1909〕〈夏目漱石〉一四「韻も平仄(ひゃうそく)もない長い詩であったが」
(4)「いんじ(韻字)」に同じ。
*俳諧・三冊子〔1702〕白双紙「留を韻といふ事、文字にて留るゆへ也」
(5)おもむき。
*愚管抄〔1220〕三・桓武「その儘にたがえず心うべきにて有るを、つやつやとこの韻に入りて心得んとする人もなし」
*陶潜‐帰田園居詩「少無適俗韻性本愛邱山」
おんいん‐ろん[オンヰン:] 【音韻論】〔名〕
({英}phonology {ドイツ}Phonologie の訳語)
言語学の一部門。言語ことに単語を構成する要素として音声を扱う。ある言語や方言の言語音を音素という単位に抽象して、その構造や体系を記述したり、また文や単語を具体的な音声に変換するのに必要な規則を研究したりする。音韻学。音素論。→音素。
*国語のため〔1895〕〈上田万年〉今後の国語学「日本語の沿革、動詞変化の源因、音韻論、また国語学の組織、辞書の組織等につきて攻究する
【韻】 [ヰン]
(1)ひびき。音色。ことばの音。/音韻、声韻/哀韻、神韻、詞韻、松韻、余韻/
(2)おもむき。風流なさま。/雅韻、気韻、風韻、韻致/韻士、韻事、韻度/
(3)漢字の音で、初めの子音を除いた部分。/音韻/古韻、平水韻、百六韻/
(4)詩賦などで、形式を整えるためにとりあげる句末の発音の特徴。/脚韻、頭韻/押韻、畳韻、和韻、次韻/韻語、韻字、韻文、韻律
字通より。
〔名義抄〕韻 シラブ・シタガフ・キホフ 〔字鏡集〕韻 ヒビキ・シラブ・コヱヤハラグ・コヱ・キホフ・シタガフ