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日本語文法文章論 蓄音機と音楽

2014-10-05 | 日本語文法文章論
現代日本語文法文章論 題材は、タイトルが、蓄音機と音楽 とある。日本経済新聞の文化面、20141005付けである。執筆者は、 黒崎政男 氏である。なお、有料会員サイトであり、著作の全文をこのように言語分析に資料としているので、そのことをお断りするとともに、ここにお礼を申したい。

冒頭の文は、次である。

>  1877年にエジソンの円筒式蓄音機からはじまった〈音〉の記録は、今日では、mp3などデジタル・ファイルの形で存在するようになった。

末尾の文は、つぎである。

>いずれにせよ、蓄音機とSPレコードは今日、音楽が何であったか、何でありうるか、を鮮やかに描き出してくれるように思われるのである。

書き出しの文段は、次のようである。

> 1877年にエジソンの円筒式蓄音機からはじまった〈音〉の記録は、今日では、mp3などデジタル・ファイルの形で存在するようになった。私もネットワーク・オーディオで、主に1950年代以降のステレオ音源を聴く。いわゆるハイレゾ音源で、おどろくほど高音質で目の覚めるような音となり、従来のオーディオとは次元の違うクオリティだ。だが、それと同時に、ほぼ1900年から1950年の50年間に作られた78回転SPレコードを蓄音機で聴く、という行為(もともと長く続いている趣味だが)も、ますます充実した意味を持ってくるように感じている。なぜか、100年も前の過去の遺物である蓄音機とSPレコードが、この21世紀にもなって、私を夢中にさせるのだ。

末尾の文段は、次のようである。

> 時代も移り、〈近代的自我〉や文学も、音楽の意味も大きく変わった。このときに蓄音機で音楽を聴くことは、あたかも、バスやクルマでも行けるのにあえて徒歩の巡礼を選択することと似ているかもしれない。歩くことが唯一のあり方だった時代の巡礼と、今あえて歩く巡礼の違いのように。いずれにせよ、蓄音機とSPレコードは今日、音楽が何であったか、何でありうるか、を鮮やかに描き出してくれるように思われるのである。

段落は、次のようである。

>♪ ♪ ♪
まず、蓄音機で鳴らすSPレコードは音がいい、というか、演奏家がそこで演奏しているような存在感がある。きちんとした整備をすれば、100年近く経(た)っても、蓄音機は鮮烈できわめて実在感のある音を奏でる。私が主に使っているのは、1925年米国製の蓄音機クレデンザだが、当時のレコードを再生すると、まるで、クライスラーやカザルスを自宅に招いて演奏してもらっているような錯覚にさえ陥る。

>♪ ♪ ♪
 個人的思いでしかないのだが、演奏にも、旬の時代、というものがあって、SP時代の演奏が、最上の演奏の時代であったように私には思われる。のちに録音時代が本格的にはじまって、演奏はだんだん精密なもの、ミスタッチややぶれのないいわば客観的な構築物になっていく。自分の演奏も他者の演奏も常に意識され、他者の演奏との〈差異化〉が自分のオリジナリティとなってしまう現状では、演奏は頭脳的、客観的、意識的、反省的にならざるを得ない。メディアに取り込まれてしまう直前の、いきいきと伸びやかな(生(き)のままの、ありのままの)音楽がSPの時代にはある。5分という短い時間に、編集が一切きかない直接吹込みという一発勝負に賭ける精神の凝縮、燃焼。しかも、はじめて歴史に自分の演奏を刻むのだという意気込み。演奏史上に残る、数々の最上の演奏を聴く喜びは、そこから来る。

>♪ ♪ ♪
 そもそも古代ギリシャのプラトンはすでに、音楽が「魂の内奥に浸透し、最も激しく魂を奪う」存在だと語っていた。音楽はつかのまに消え去るものから、録音によって何度も聞き返すことができるものとなって、より深く個人の魂に浸透するようになったのではないか。かつて日本の青年は、哲学書や、ゲーテやトルストイの文学を読むのと同じくらいの重い意味をこめて、ベートーベンやシューベルトのレコードを聴き、自己を見つめ、本質的な人間形成をはかった。人々は自分のためだけの音楽から、生きることの意味、糧、エネルギーを得ていった。




2014/10/5付
日本経済新聞 

 60代ならトップは五木ひろし「夜明けのブルース」。50代は一青窈「ハナミズキ」。2013年にどんな歌がカラオケでよく歌われたか、業界大手が自社のデータを年齢別に集計した結果だ。40代、30代もテレビでなじみの歌が並ぶ。様子が変わるのはその下の世代だ。

 20代、10代とも1位は「千本桜」。歌番組ではまず耳にしない。ヤマハの音声合成技術「ボーカロイド」を使い、有名無名の作り手が自作の歌をコンピューターに歌わせたボーカロイド楽曲、略してボカロ曲の1つだ。かつては「ニコニコ動画」などの投稿サイトで無料公開するしかなかったが、今や人気作はCDになる。

 さらにカラオケでも正式配信され、作り手はきちんと収入を得られるようになった。10代のカラオケランキングをみると、すでに上位20曲のうち半分をボカロ曲が占める。ネットで歌と出会う世代の誕生といえる。若い創作家がパソコンで作品を作り、直接、同じ世代に問う。こうした挑戦が日本文化に厚みを加えている。

 出版・映像のKADOKAWAとニコニコ動画のドワンゴが経営を統合した。昨年度、KADOKAWAの書籍売り上げ首位は「カゲロウデイズ」シリーズだった。同名のボカロ曲をもとに、歌詞の行間や背景を小説や漫画にしたものだ。大きく育つ芽が、まだネットの中に眠っている。新会社の最大の資産かもしれない。



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