日本語が輪郭を表わすのは、漢文の訓読にある。漢文訓読文は日本文である。漢文を書き表す経緯に和化漢文また倭化漢文としての文体を生じるさせる。それを漢文体の日本語化として見るのは漢語文法に則らない日本語の特徴を見せるからである。漢字表記で日本語文を書くものに歌謡があり祝詞、宣命がある。そこに見られる日本語は漢文書きとは異なった、漢文訓読体でもない、日本語表記をしようとしたものである。日本語の起源を探り、古代日本語の形成を議論する。それは、いわば、先日本語とでもいうべきものを構築する。起源があり、形成があり、日本語として現れるのはどのように姿かたちを持っていたであろう。書における漢字を草書あるいは行書でまなび、草のこととする手習いには、その行いに日本語文字の実践の現れが見える。漢文と、漢文を訓読することと、それを日本語にする経過において、一つ一つの漢字、漢語を発音と文字の工夫によって真字と仮字にして日本語の訓義を読み与えてきている様子がある。それは古辞書に集められた日本語であり、訓詁を施した歌謡の日本語表記に現れる。時を経て都の知識人たちによって漢語と日本語は対比されていく。古今集の序文に仮名書きがあり、真名書きの漢文体が対置される。漢文が中国語のものであり、仮名書きが日本語であるとするあらわれである。そして漢字仮名交じりの姿である日本語の輪郭を現すようになる。
日本語起源について、ウイキペディアより。
>現在、主流の見解は、南島語を基層とし、アルタイ系言語が上層として重なって日本語が形成されたとするものだが、安本美典や
日本語の形成について、その著作より。
大野晋、2000年5月30日
弥生時代はじめ南インドの文明が日本に到来し,タミル語と縄文語の間に広範な接触が生じ,クレオール現象が展開した.タミル語と日本語の間に500語の対応,係り結びと五七五七七の韻律形式の共通を発見.日本語の形成の核心にタミル語があることを論証する.20年の研究の集成は日本語系統論の歴史に一画期を成す.
本の紹介文
>日本の文明と言語はインダス文明を受けた南インドの古代文明、ついで中国文明という、当時の世界の最高の文明と、それを担った言語及びその文字を、次々に受け入れ、縄文時代以来の音韻体系を基礎としてそれを消化しながら形成されてきた。その意味を深く理解することが「日本」の言語史、文化史を正しく把握する第一歩となるだろう。これが「日本」とは何なのかという課題に対して著者の到達した見解である。
宣命・祝詞などの文体を宣命体といい、その表記法である宣命書とは、体言・用言の語幹を大きな字で書き、助詞・助動詞・用言の活用語尾などは、一字一音の万葉仮名で小さく右に寄せて書く方法である。
日本語起源について、ウイキペディアより。
>現在、主流の見解は、南島語を基層とし、アルタイ系言語が上層として重なって日本語が形成されたとするものだが、安本美典や
日本語の形成について、その著作より。
大野晋、2000年5月30日
弥生時代はじめ南インドの文明が日本に到来し,タミル語と縄文語の間に広範な接触が生じ,クレオール現象が展開した.タミル語と日本語の間に500語の対応,係り結びと五七五七七の韻律形式の共通を発見.日本語の形成の核心にタミル語があることを論証する.20年の研究の集成は日本語系統論の歴史に一画期を成す.
本の紹介文
>日本の文明と言語はインダス文明を受けた南インドの古代文明、ついで中国文明という、当時の世界の最高の文明と、それを担った言語及びその文字を、次々に受け入れ、縄文時代以来の音韻体系を基礎としてそれを消化しながら形成されてきた。その意味を深く理解することが「日本」の言語史、文化史を正しく把握する第一歩となるだろう。これが「日本」とは何なのかという課題に対して著者の到達した見解である。
宣命・祝詞などの文体を宣命体といい、その表記法である宣命書とは、体言・用言の語幹を大きな字で書き、助詞・助動詞・用言の活用語尾などは、一字一音の万葉仮名で小さく右に寄せて書く方法である。