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ものごと

2013-08-17 | 日本語百科
ものごと

もの こと 物事である。一切の有形、無形の事柄と辞書にある。又此れを、ある行動の対象・客体となる有形のものと無形のことの一切、というふうに、有形のもの、無形のこととを対比する。この語の用例は、日本国語大辞典によると、咄本まで時代を下げる。それにより、もと話し言葉に現われるか、もの と、こと との、捉え方には、一方で、ものごと 物毎 武毎 を宛てる例を、それぞれの物や事柄として、*万葉〔8C後〕二〇・四三六〇「山見れば 見のともしく 川見れば 見のさやけく 母能其等(モノゴト)に 栄ゆる時と 見(め)し給ひ 明らめ給ひ〈大伴家持〉」 *源氏〔1001~14頃〕初音「わざとめきよしある火桶にじじゅうをくゆらかして、ものごとにしめたるに」を挙げる。なお、補注に、もの が物体・事柄など、それ自体をいうのに対して、こと はそのはたらき、性質、関連などを表わすのに用いる、とある。項目は、もの による。



もの‐ごと 【物事】〔名〕
物と事。また、いろいろな物や事柄。
*咄本・昨日は今日の物語〔1614~24頃〕上「物ごとにこばしだてなる人、歴々夜ばなしの座敷にて」
*咄本・軽口露がはなし〔1691〕二・六「うなづく斗にて物事済ば、しぜんおれが目が見へずばその風俗は見へまひし」
*滑稽本・浮世床〔1813~23〕初・中「性根が江戸にかなふものかナ、まづ物事(モノゴト)が素早いはな、上方の達引のざまを見たがいい」
*人情本・英対暖語〔1838〕二・八回「しきりに工風も物事に、こり性なりける岑次郎」

もの‐ごと 【物毎・武毎】〔名〕
(1)それぞれの物や事柄。
*万葉〔8C後〕二〇・四三六〇「山見れば 見のともしく 川見れば 見のさやけく 母能其等(モノゴト)に 栄ゆる時と 見(め)し給ひ 明らめ給ひ〈大伴家持〉」
*源氏〔1001~14頃〕初音「わざとめきよしある火桶にじじゅうをくゆらかして、ものごとにしめたるに」
*日葡辞書〔1603~04〕「Monogoto (モノゴト)、または、monogotoni (モノゴトニ)〈訳〉それぞれの物。または、それぞれの物に」
*浮世草子・西鶴織留〔1694〕五・一「内証せはしき世につれて、おのづから物毎(ものゴト)いやしげになりぬ」
(2)軍事に関するすべての事。
*伊佐早文書‐天正六年〔1578〕五月二一日・上杉景勝書状「武毎油断無之様に入念簡要候」

ふつう、「もの」が、形を備えた物体、この世に生起するあらゆる現象のもとになる持続的な存在をいうのに対し、「こと」は、その「もの」の働きや性質・状態、変化の過程、「もの」と「もの」との関係などをとらえる語とされるが、実際には、ある対象を「もの」ととらえるか「こと」ととらえるかは、話し手の対象への対し方によって揺れがあり、必ずしも固定したものではない。→「こと(言)」の語誌。

古く、「こと」は「言(こと)」をも「事(こと)」をも表わすとされるが、これは一語に両義があるということではなく、「事」は「言」に表われたとき初めて知覚されるという古代人的発想に基づくもの。時代とともに「言」「事」の意味分化がすすみ、平安時代以降、「言」の意には「ことのは」「ことば」が多く用いられるようになる。→ことば・ことのは。


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