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ある女子校の決断

その女子校は、良妻賢母を育てるという趣旨で100年以上前に創立されました。

しかし、校地は都内とはいえ、環境的に優れたお嬢様学校になる場所ではありませんし、しかもそれほど広くはない。

女性が社会的進出を続けている以上、ただ良妻賢母を育てるでは、下火になるに決まっている。そう考えた学校は、大学受験でそれなりに実績を出し、進学校にしようと考えます。

だからといって、すぐに大学受験の成果が出るわけではありません。偏差値もそれほど高くはなく、しかもおとなしい女子校だと思われている。

そこで医学部志望の女子に狙いを定めた。

理系の教育に力をいれ、理系に強い女子を入学させる。そのために、すべての校舎に冷暖房を配置し、夏でも冬でも快適に教室で勉強できるようにする。理科の実験室は充実する。教員も大学受験に力を入れ、入試日も工夫をこらし、なるべく多くの優秀な受験生が受けられるようにする。

また入試問題も明確に変えました。

これまでどちらかといえば、特徴のない入試問題であったのが、算数や理科の問題を少しずつ難しくしていく。学校が理系に強い、というイメージを徐々に作っていったのです。

それが達成されるまでにはもちろん相当の時間と多くの人の努力があったでしょうが、この学校は女子の受験校として認知されかなり難しい学校になりました。

なぜ、こんなお話をするかといえば、学校が入試問題を変えた、という点です。

これはほかの女子校でもありました。だいたい、女子校は男子に比べて算数や理科の問題を難しくできない。難しくすると女子に敬遠されてしまう、からです。

しかし、それでは学校の特質が出せない。この学校はそこで、大々的に入試問題の解説を始めました。

こういう問題を出す。合格点はこのぐらいにする。ということをどんどん広報していった。

もちろん、それができない子は、この学校を敬遠することになるかもしれません。しかし、逆にそういう分野が得意な子どもたちはそれに目を輝かせる。

そういう分野が得意だったら、「この学校なら合格しやすいかもしれない」と思ってもらえる。

当たり前ですが、それだけで学校の人気は上がりません。その学校も校舎は大々的に改築したし、大学受験のプログラムも新たに作り直したし、大学受験は英語で決まる、と考えて英語教育にも力をいれました。

その結果として、この学校も以前にくらべれば相当難しくなりました。

つまりは入試傾向というのは、学校の意図が明確に表れているのです。

こういう子に来てほしい。こういう問題が得意な子に入学してほしい。

だから入試傾向は研究すべきだし、その傾向に合致するならば、学校の求めている人材である可能性が高くなるわけです。

最近、難関校はさらに学校別傾向を先鋭化しており、その意味でこの後半はしっかり志望校を絞り込んで学校別の対策を考えていってほしいと思います。


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