しょぼい毎日

いつも理想はでっかいが、結果はしょぼい・・・。そんな日常を綴ってみました

蝦夷梅雨紀行(7)静狩再び

2010-08-22 23:56:26 | 北海道

7月18日(日)

1007_547温泉宿から山道を下り噴火湾の海岸淵まで来ました。天気は、曇り。厚く、低い雲が天空を覆っています。本日は、天気が改善する望みが全くない事を物語っています。室蘭本線長万部-静狩間の 長万部起点4キロ程の第一道路踏切付近(国道37号線のオービスが目印)で<北斗星>を待ちうけます。

1007_510

はるか遠く、けし粒の様な点であったものがだんだん青い塊りとなって、やがて大きくなって近づいて来ます。ベストアングルに来る少し手前からシャッターを切り始めます。1枚目・2枚目「良いぞ!そのまま・・・」心の中で呟きます。が、3枚目から、シャッター音がしなくなりました。少しシャッターが切れない!!慌ててカメラのモニターを見ると<レンズとの接点が不良です>とのエラーメッセージが表示されています。《このタイミングで、こんなの有りかよ~!》

慌てて、レンズをいったん外しで、再度カメラに装着すると、何事もなかったようにシャッターが下ります。ほっとしましたが、すでに北斗星は視界の彼方に消えようとしています。

脱力感だけが残ります・・・・!<いったい俺は、北海道に何をしに来たのだろうか?>と自問したりします。とにかく朝から敗北感に打ちひしがれてしまいました。

1007_520

少し、東(静狩駅より)に移動します。前回(2年前)もこの付近で撮影しました。今回は国道がオーバークロスしている場所から俯瞰気味に列車を狙います。

1007_567

                                                              

1007_586

最後に貨物列車を狙います。DF200が来るものとばかり思っていましたが、やってきたのは、室蘭以西では貴重なDD51です。1089号機は、昨日大沼で見た機関車です。悪天候と、カメラのトラブルで凹んでいた心でしたが、思わぬ収穫に、気分が立ち直りかけたようです・・・。


蝦夷梅雨紀行(6)二股ラヂウム温泉

2010-08-20 23:45:16 | 北海道

7月17日(土)その5

1007_502 陽が落ちる前に、今夜のお宿に到着。たどり着いたと言う表現がぴったりの、温泉宿の名前は<二股ラヂウム温泉>。長万部の中心部から車で30分ほど山道を登った場所にあります。すでに携帯電は圏外になっています。キタキツネが、ひとり遅れてきた来訪者を迎えてくれます。湯治客の多い宿では、すでに夕食時間は終了しています。一人、部屋に運ばれたお膳の箸をつけます。贅沢ではないけ

F1000014

ど北海道らしいメニューに舌鼓を打ちます。ここは、何といっても温

F1000019

泉が有名!泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物泉(43℃)です。少し黄色気味のお湯は金属味が少しします。『ラヂウム温泉』と言うものの、温泉法での放射能濃度は基準に達していません。二股ラジウム温泉を語る上で、欠かせないのが露天風呂に隣接する

石灰華!源泉に含まれる石灰分によって形成された、巨大なドーム状の鍾乳石です。北海道の天然記念物にも指定されています。戦前は帝国陸軍の保養施設としても使われていた程の温泉です。

F1000017F1000018

あらゆる傷病に、効果がありそうに感じます。ただ以前は、トーチカの様なコンクリのドーム風呂の中に石灰華自身で出来た湯船の露天風呂があって野趣満点だったようですが、施設全体、小奇麗な宿に変身しています。これも時代の流れなのでしょうが、少し残念ではあります。とにかく、地球のパワーを体に取り込むべく、何度も入浴しました。あまりの長湯は、体に悪いかな・・・・。


蝦夷梅雨紀行(5)五稜郭駅での入替えウオッチング

2010-08-14 23:38:53 | 北海道

7月17日(土)その4

1007_408恵山から函館市内へ戻ります。市街に近づくにつれ、霧が晴れ、夏の日差しが戻ってきました。今から五稜郭駅に向かえば海峡線を渡ってくる数少ないED79が牽くコンテナ列車(3099レ)の到着に間に合うはずです。もはや風前の灯と言ってもよい程に数を減らした、ED79の姿を見ることができれば、朝から続くごたごたも、帳消しになる様に思えます。駅で入場券を買い、ホームで待機していると、有川線からDD51に牽かれたコンテナ車が構内に進入してきます。どうやら有川にある貨物駅で荷役した編成を、DD51を使い構内入れ替えするようです。本来ならDE10クラスがこなす1007_417仕事でしょうがここでは大型のDD51が地味な仕事を行います。大きな車体が行ったり来たりする様は、横綱クラスの力士が反復飛びをしているようで、ユーモラスな様にも見えるし、哀しくも感じたりします。

運転士と構内係とが息を合わせて編成を分割していきます。

1007_441

1007_446

 

輸送の現場という表現がぴったり当てはまる、緊張した光景が展開します。

1007_463

←コキ106 1両だけ、当駅留置されるのか側ブレーキをかけます。ハンドルを手でくるくると回すのかと思っていましたが、実際はハンドルに飛びつき全体重をかけて、ハンドルを回していました。本当にたいへんそうです。

1007_448

DD51による、入れ替え作業が終わると、機関区からDF200が今組成された編成を受け取る為にやって来ます。こちらのほうは、札幌まで牽引していくという、陽が当たるお仕事が待っています。

結構長い時間(40分ぐらい)青函トンネルを渡ってくるED79が牽く貨物列車を待ったのですが、姿を現すことはありませんでした。3連休でウヤになったのか、大幅に遅れているのか、真相はわかりませんが、よくあることなのかも知れません。これ以上ここにとどまることは、今夜のお宿での夕食を諦めることに直結します。潔く諦めます。入れ替え作業とは言え、往年の大スター?DD51の姿をたっぷり拝めることができたのは、予想外のことでしたし・・・。

今度は、車を北に向け長万部方向に走ります。途中、今朝<カシオペア>等を撮影した落部で車を止め休憩します。崖上から線路を見下ろしていると、遠くのほうからスーパー北斗が近づいて来ます。あれからもう10時間以上も経つのに、、まだ少し靄がかかっています。もし次があるのなら、視界に一点の曇りのない時にもう一度来てみたいと思います。

1007_483


蝦夷梅雨紀行(4)つかの間の晴れ間に海中温泉にはいる

2010-08-08 23:48:40 | 北海道

7月17日(土)その3

大沼から函館市街をかすめて、進路を東にとります。やがて道が尽きたと思われる所が、北海道渡島半島の東南端、恵山岬です。この岬のすぐそばにある水無海浜温泉に着いたのが正午を少しまわった頃。ついにやって来ました。一度は訪れたいと思っていた、海の中から湧いている温泉です。海岸へ降りるコンクリで固めた道をずんずんと歩いて行くと。目の前に青い海原が広がります。コンクリで固めたプールのような湯船が2つ海に突き出ている状態です。一方は、バーベキューを楽しむグループに占領されていましたので(水着着用組)、私は

1007_378

人気のないもう一方の湯船に入ります。泉質はナトリウム-塩化物・硫酸塩泉で源泉の温度は約50℃程との事ですが、私の入った時間帯は、海水が流入していたので少しヌルメでした。さすが海の中の温泉です。湯船の中には、巨大な昆布が漂い、底には茹であがった蟹が自らの不明を恥じるように、鋏を空に突き出して無残な姿をさらしています。何か、出汁の効いた鍋の中にいるような感じです。湯船に入っている自身も鍋の具になったみたいで、奇妙な感じです。と1007_383はいえ、朝とは打って変わった快晴の状態に戸惑いつつも、青い空を流れてゆく白い雲と飛び交う海鳥の鳴き声が、疲れた心を癒してくれます。

とはいえ、湯船の淵は、大量の巨大なフナ虫が動き回り、それらを意識し出すと、気持ちが現実に引き戻されるのも事実。イメージと現実との落差を感じさせられました。

岬の上にある灯台付近からの眺めは、まさに絶景でした。とはいえ、遠くのほうから海霧が近づいてくるのが分ります。このすばら1007_396しい晴天も、気まぐれなお天気の悪戯の様です。

1007_391

国道278号を海沿いに車を走らせます。途中の道の駅「なとわ・えさん」にて、根ぼっけ蒲焼丼(900円)をいただきます。

F1000022

通常の回遊しているホッケとは異なり、海の底で殆ど動かずに小エビなどを食べているホッケを根ぼっけと呼び、大型で、肉厚で脂がたっぷりのっている魚との事。そんな根ぼっけを蒲焼風に調理して、ご飯にのっけたのがこれ。確かに、これでもかと思うほど肉厚で、 同じくこれでもかと思うほど脂っこい!たちまち満腹感を覚えます。とはいえ北海道らしい味覚に出会えたと思い、完食します。食事を終えると、外の世界はほんの少し前までの晴天がまるで嘘のような、白い霧に覆われていました。スティーブン・キングの「霧」(数年前公開されたミストの原作)を思わせる世界が広がっています。うかうかしていると、霧の中からモンスターが襲ってくるとも限りません。一刻も早く、白い世界から抜け出すべく、車を東へと走らせます。


蝦夷梅雨紀行(3)小沼にてSLを待つ

2010-08-07 23:58:49 | 旅行記

7月17日(土)その2

結局、今回の旅の第一目的の「朝日を浴びて海岸沿いを進むブルトレ」撮影は悪天候により、絵に描いた餅になってしまいました。とはいえ、旅はまだ始まったばかり。気持ちを切り替えて次なるターゲットを求め1007_281て、国道5号線を南下します。

やって来たのは、これまた有名撮影地!函館本線、七飯-大沼にある、美しい小沼沿いを走る区間です。SL函館大沼号を狙います。嬉しい事に天候が回復しつつあります。すでに多くのカメラマンが道道338号のガードレールに沿ってスタンバイしています。私は、同業者の塊りから少し離れた地点で待機します。今回は、道路横で車1007_3021007_334の通行量も多いことから三脚を使わず、手持ちでチャレンジします。

しばらくすると、私の真後ろに仕事をリタイアしたぐらいの年齢のカメラマンがビデオ撮影の為、三脚を立てます。しばらくファインダーを除いて構図を確認していましたが、「ごめん、しゃがんでくれる。そう。もう少し頭下げて。」後から来たのに、協力するのが当然の口調で少しムッとしましたが、遠くまで来て、同業者同士、角を突き合わすのは適わないし、人生の先輩に対して敬意は、払うべきとと思い、相手の言うとおり、腰を屈めてスタンバイします。けれど当方の構図は明らかに悪くなり、これは適わんと思っていると、ビデオお爺さんは、「やっぱり邪魔になるから、私の後ろで撮ってよ。」と言います。私も、腰を屈めた姿勢では撮影に支障がでそうなので、その言葉通りに、お爺さんの後ろに移動しました。それにしても邪魔になるからは無いよなと思いながら、先ほどの場所で屈んでいるよりは、構図が良くなったので「まあいいか」と気を取り直して、再スタンバイします。すると、ビデオ爺さんがSLが通過したら後追いも撮るから、カメラをパンするのでしゃがむか、すぐさがって」と指示します。さすがに、これには空いた口が塞がりませんでした。<自分だけ良かったら他人はどうなっても良いのか!この野郎!><今度、話しかけてきたら、もう許さんぞ>とアイコンタクトしますが、そういう事を、感じられる御仁ではないようです。自分だけの世界に没入しています。私のほうは<心中、爆発寸前!発火点まで5㎝>といった状態です。同時にこんな人物の言うことに、いちいち振り回されている自分に猛烈に腹が立ってきます。が、そんなストレスがピークに達しようとした時に、C11-171に牽かれた<SL函館大沼号>が思いっきり黒い煙を吐き出しつつ、小型タンク機関車と思えない大音響を響かせながら、近づいて来ました。私は急いで、気持ちを切り替えて、ファインダーに集中します。                                        

1007_347_2

                                                         

1007_352_3

1007_358

1007_3611007_367 夢のような瞬間が終わり、線路沿いに群がった同業者の面々は一斉に撤収作業にかかります。私は、ビデオ爺さんに「お疲れ様でした。 良い絵が撮れましたか?」と不自然な程明るく大きな声で話しかけます。が、ビデオ爺さんは私と目をあわさず、黙々と三脚をたたんでいました。そんな姿を見て、<私も、歳をとればあんな人間になっちゃうのかな?それとも若い時からあんな人間だったのか・・・?趣味は人生を豊かにすると言うけども、そんなのウソだな・・・。>等いろいろ考えてしまいます。

ここでの撮影は、少しイやな思いをしましたが、少し教訓を学びました。

そんなことがあった割には、良い絵が撮れたので、少しほっとしました。