☆ 今はもう使うことなき診察券
猫の体温なつかしむ冬
☆ 遥かはるか高みで舞います黒猫よ
思い出してね雪のふる日は
☆ 歳月はかくのごとくにながれても
窓枠に爪痕白く残りて
☆ 南天の赤き実に来る野の鳥の
何か慕わしうぶ毛のあたり
☆ 黒い帽子座ぶとんに置き回り来ては
黒猫のひる寝かとおりに戸惑う
☆ ぴかぴかと光る金色黒猫の目は
エドガ・アラン・ポーのものの語り部
☆ ドアを開け漆黒の闇に消えるわが猫は
今宵の集会に呼び出されてく
☆ ねこはまたねこ同志の義理あると
母は真面目な顔で説いたり
☆ 黒い色は深い緑に輝いて
獣毛妬まし人肌のかろさ
☆ いのち輝き姿は天使か猫族の
歩きしなやかリズム楽しや