母はふるさとの風

今は忘れられた美しい日本の言葉の響き、リズミカルな抒情詩は味わえば結構楽しい。 
ここはささやかな、ポエムの部屋です。

ひなまつり

2015年02月28日 | 季節
げに浅き春の雛まつり

三人官女の横顔に

はるのかぜの過ぎていく

髪麗しく黒く濃く

官女の顔のほの白く

木の花の春陽に咲き匂い

畳に射す陽もぬくぬくと

おとめの祝いに集いしを

白酒酌みて時はゆき


三人官女のたたずまい

遠きみやこの春の日の

みやこ大路のにぎわいを

牛車のきしむ輪だちとも

花売る女の手ぬぐいの

紺の意匠もまたおかしく

浅き春の祝いの日

おとこおみなのほほえみを

芽吹く草の葉また緋なる

乙女官女の裾にこそ置く
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二月のひかり

2015年02月20日 | 季節
冬空を明らめ
差し込む
二月のひかり

凍みる大気に
肌は寒く
水は冷たく
すべてが凍る朝の静けさに
差し込み語り始める
春の兆し

水仙の芽黒土を押し上げ
牡丹の赤い目そっとあたりを覗き始め
暖かの季節の到来のかすかなる
はじまり

北風山風刻み吹く二月の末の山麓に
老人のこころ艶めかせ
少年少女らの心高鳴らせ
約束の春の
明るき やわらのひかりよ





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雪の朝

2015年02月05日 | 季節
雪降り
雪降り
雪降り積もると
庭の南天の木立ちが白い雪に埋もれる

赤い実が雪の重さにうなだれて泣く
雪を払え
雪を払え
南天が折れる
南天の木たちは声が出ない
南天の木たちは動けない
南天の赤い実は大切な
野鳥たちのごはんになる
野鳥のために
南天のために
雪を払え

南天の赤い実は友だち
灰色の冬の真っ赤な実はわたしの元気
生きものの命のたわわな赤い実

雪降る朝は忙がしい
ランドセル背負って雪落とせ
手が凍えそうでも雪落とせ
遅刻しそうでも雪落とせ

赤い南天は
わたしがきっと守るよ
マフラー巻いて手袋して
長靴履いて長箒で枝をたたいて
重い雪をやっつける

それから家の路を県道に出て学校に行くと
教室の薪ストーブは赤く燃えてた

雪の朝は
辺りはみな白く雪に隠れしんと静かで
高い樹の梢からドサり
落ちる雪の音だけした
暖かいお湯とごはんで満腹して
ヤギの啼く声もしなかった
むかしむかしの白と赤の
雪の朝

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