母はふるさとの風

今は忘れられた美しい日本の言葉の響き、リズミカルな抒情詩は味わえば結構楽しい。 
ここはささやかな、ポエムの部屋です。

夏の忘れ物

2024年09月17日 | 
夏の忘れ物
遠い夏の
忘れていた たより

絵日記の 仔馬のしっぽみたいな
トウモロコシの毛が赤くもつれて
黄色いカンナの丈は高く

9月になると赤とんぼが
物干し竿に休みに来る
高原の初秋
少し疲れた鳳仙花の種がはじけて
乾いた大地にころころ転がった

いきなり高くなった空には 巻雲 うろこ雲
季節を知らせ夕暮れは
静かに早まる

高い山の向こう
まだ入道雲の子供たちが
太陽のご機嫌を伺っている
いつか見た秋のはじまり
うつくしい
季節の交差点


コメント (4)
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