母はふるさとの風

今は忘れられた美しい日本の言葉の響き、リズミカルな抒情詩は味わえば結構楽しい。 
ここはささやかな、ポエムの部屋です。

十五夜の猫

2020年09月30日 | 
十五夜の月は涼し
十五夜の月は愛し
秋の風ほほをなで
青く深い夜の空に
金いろの月

ごきげんよう
十五夜の月
ごきげんよう
去りし猫たち可愛い
とんがり耳よ 

巡り来る十五夜
まんまるい今宵の月
想い出は
しなやかな姿
青い月の夜の猫のしのび足

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「夏は過ぎ去った」エミリー・ディキンソンの詩界 

2020年09月11日 | 季節
  
  夏 は 過 ぎ 去っ た   

                エミリー・ディキンソン(アメリカ)
           
悲しみのようにひそやかに
夏は過ぎ去った
あまりにもひそやかで 
ついには 裏切りとも思えないほどに―

もうとうに始まったたそがれのように
蒸留された静けさ
またはみずから引きこもって
午後を過ごしている自然

夕暮れの訪れははやくなり
朝の耀きはいつもと違う
ねんごろでしかも胸の痛むような優美さ
立ち去ろうとする客人のように

このようにして翼もなく
船に乗ることもなく
私たちの夏はかろやかに逃れ去った
美しき ものの中に

 
コメント (2)
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