母はふるさとの風

今は忘れられた美しい日本の言葉の響き、リズミカルな抒情詩は味わえば結構楽しい。 
ここはささやかな、ポエムの部屋です。

黒猫の庭

2016年05月18日 | 
空は群青 深い青
りらの花が今年も香る
花の庭に真黒な猫が一匹
初めて過ごす春を紅い牡丹の花の足元で
あたりを眺め
また眺めては身づくろい
金色の瞳の黒い動物のいる
あれは絵のような景色だった

うす紫色のりらの花房空に広がり揺れると
木の下に漂った春の甘い香り
高い甍を超えみどりの風がわたるとき
揺れ揺れ浮かぶ薄緑色の家族の肖像花の庭

陽炎もまだ見えぬ春の午前
花とみどり 金色の瞳の黒猫の庭



コメント (5)
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