母はふるさとの風

今は忘れられた美しい日本の言葉の響き、リズミカルな抒情詩は味わえば結構楽しい。 
ここはささやかな、ポエムの部屋です。

水仙のかおり

2013年02月26日 | 花(冬)
壺に活けた水仙

すらりと伸びた みどりいろのはっぱ

象牙色のちいさなはなのかたちのいとしさ

その姿は何かを語り合いさんざめく少女たちのよう

それは清らかにあかるく 賑やかで聡明で

甘くかぐわしい香りを漂わせる

その存在は厳冬の室内に暖かいくつろぎと

忘れかけてしまった希望さえ運んでくれるのだ

くつろぎの気配は部屋の隅々まで気を流して

凍える北風を押し返し

愛らしいおしゃべりを静かに続ける 
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冬山

2013年02月03日 | 
大空をふちどる山々はいまプラチナに輝き
おおらかに切り立つ連山
いのちの褶曲にせめぎあう
南アルプスの峰

堅いプラチナの輝き
無機質な地球の皺 突起
歌舞伎役者の舞台上の勢ぞろい
団十郎の見栄 肩のかしぎ
風が一瞬止まった朝の山里

ものみな凍る真冬の大気に
山々は静止する
朝の光を受け
毘沙門の太刀を抱く如き厳しい
輝く峰々は
何億年もの年輪も素知らぬ顔で短い生き物らの生を眺め続ける

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