この花園にくると空に心は跳び
青い空に向かい駆けてゆくだけ
青い空の果ては暗い宇宙
宇宙は暗くても地球の空は
あおくてあかるくて
地上はいきものの息吹き
色彩の波 形の祭り
この庭を花でうずめ
幸せの形を与え
誰かがどこかで
また新しい計画を立てだす
愁いを幸せに替え
溢れてくるもの
花のひとつひとつに
解けない何かがひっそりと宿り
毎年やってくる季節を祝っている
青い空に向かい駆けてゆくだけ
青い空の果ては暗い宇宙
宇宙は暗くても地球の空は
あおくてあかるくて
地上はいきものの息吹き
色彩の波 形の祭り
この庭を花でうずめ
幸せの形を与え
誰かがどこかで
また新しい計画を立てだす
愁いを幸せに替え
溢れてくるもの
花のひとつひとつに
解けない何かがひっそりと宿り
毎年やってくる季節を祝っている
夏の忘れ物
遠い夏の
忘れていた たより
絵日記の 仔馬のしっぽみたいな
トウモロコシの毛が赤くもつれて
黄色いカンナの丈は高く
9月になると赤とんぼが
物干し竿に休みに来る
高原の初秋
少し疲れた鳳仙花の種がはじけて
乾いた大地にころころ転がった
いきなり高くなった空には 巻雲 うろこ雲
季節を知らせ夕暮れは
静かに早まる
高い山の向こう
まだ入道雲の子供たちが
太陽のご機嫌を伺っている
いつか見た秋のはじまり
うつくしい
季節の交差点
遠い夏の
忘れていた たより
絵日記の 仔馬のしっぽみたいな
トウモロコシの毛が赤くもつれて
黄色いカンナの丈は高く
9月になると赤とんぼが
物干し竿に休みに来る
高原の初秋
少し疲れた鳳仙花の種がはじけて
乾いた大地にころころ転がった
いきなり高くなった空には 巻雲 うろこ雲
季節を知らせ夕暮れは
静かに早まる
高い山の向こう
まだ入道雲の子供たちが
太陽のご機嫌を伺っている
いつか見た秋のはじまり
うつくしい
季節の交差点
茄子
2024年08月16日 | 生
小さな茄子
曲がった茄子
それでも茄子
涼しかった夏のベランダで
紫の花をつけ
実った茄子がありました
猫はなんだなんだとやってきて
ふんふんと匂いを嗅ぎ
首をかしげて去りました
月日去り
茄子を植えても蒸れて育たず
ねこも老いてなくなりました
やさしかった日本の快適な夏よ
あの日の小さな茄子とねこが
けなげに涼風を運びます
曲がった茄子
それでも茄子
涼しかった夏のベランダで
紫の花をつけ
実った茄子がありました
猫はなんだなんだとやってきて
ふんふんと匂いを嗅ぎ
首をかしげて去りました
月日去り
茄子を植えても蒸れて育たず
ねこも老いてなくなりました
やさしかった日本の快適な夏よ
あの日の小さな茄子とねこが
けなげに涼風を運びます
花火
2024年07月17日 | 生
遠い花火
雷鳴のように響く遠い花火
部屋の灯りを消すと
光が空に謳って散る
花火に友は父を見るという
いつもいつも短く散った父を見るという
花火は夜の祭り
夏の夜の祭りは
亡き人人の蘇りか宴か
夏は還ってくる子供の頃のゆめ
果たされずに終わった望みたち
亡き人々の優しいまなざしやこえ
ラジオ体操ヒグラシの夕べ
遠い花火
家々の上に大きく広がり
瞬く間に消えゆく夏の夜の
心なぐさめるひかりの宴
雷鳴のように響く遠い花火
部屋の灯りを消すと
光が空に謳って散る
花火に友は父を見るという
いつもいつも短く散った父を見るという
花火は夜の祭り
夏の夜の祭りは
亡き人人の蘇りか宴か
夏は還ってくる子供の頃のゆめ
果たされずに終わった望みたち
亡き人々の優しいまなざしやこえ
ラジオ体操ヒグラシの夕べ
遠い花火
家々の上に大きく広がり
瞬く間に消えゆく夏の夜の
心なぐさめるひかりの宴
てまりうた(わらべうた)
竹内俊子 作詞 文部省唱歌
てんてんてん 天神様のお祭りで
てんてんてまりを買いました
てんてんてまりはどこでつく
梅のお花の下でつく
下でつく
てんてんてん 天神様の石段は
だんだん数えていくつある
だんだん数えて二十段
段の数ほどつきましょう
つきましょう
https://www.youtube.com/watch?v=JRGbCymN_TM てまりうた
よこみち通りの空き地の古い梅の木を
わざわざ見に来る人もなし
空き地は枯草もまばら
誰の土地かもわからない
閉店したばかりのパン屋のビルは
空き地のそば午後の陽を浴びている
ささやかな空き地にも
春の花は何時かは咲く
そ知らぬ顔で通る人をみおろす
花に纏われた木はしあわせ
人影少ない場所で梅の大樹が
辺りに香りを漂わせ咲いている
わざわざ見に来る人もなし
空き地は枯草もまばら
誰の土地かもわからない
閉店したばかりのパン屋のビルは
空き地のそば午後の陽を浴びている
ささやかな空き地にも
春の花は何時かは咲く
そ知らぬ顔で通る人をみおろす
花に纏われた木はしあわせ
人影少ない場所で梅の大樹が
辺りに香りを漂わせ咲いている
食べるため買った葉
みどり瑞々しい葉から黄色い花が伸びる
菜の花はいのちかけた春の花
南の海辺の街は冬陽射し
気の早い菜の花が春を告げ始めても
北の海辺は哀しみ沈む
この花をじっと見つめると細長い
たおやかな私たちの国の島影その島の中にあるささやかな
営みのあった街街
雪に悶える哀しい家が浮かぶ
春を運ぶ黄色い花に
いのちの喜び悲しみは交差する
蜜の匂いする花に何の罪もないけれど
黄色い菜の花凍る如月
みどり瑞々しい葉から黄色い花が伸びる
菜の花はいのちかけた春の花
南の海辺の街は冬陽射し
気の早い菜の花が春を告げ始めても
北の海辺は哀しみ沈む
この花をじっと見つめると細長い
たおやかな私たちの国の島影その島の中にあるささやかな
営みのあった街街
雪に悶える哀しい家が浮かぶ
春を運ぶ黄色い花に
いのちの喜び悲しみは交差する
蜜の匂いする花に何の罪もないけれど
黄色い菜の花凍る如月
思いっきり疲れた日は青い畳の上に寝転がって
あっちごろごろ
こっちごろごろ
そして腹ばいになり
四肢を思いっきり伸ばして
子供の頃のように猫のように
人目はばからずに伸びをして
また仰向けになり
天井の見知らぬ模様を眺めたり
窓から流れる風をほほに受け
生きた今日の時間をなぞり
大の字になって目を閉じて
ふっと微笑みまた伸びをして
畳の柔らかい厚みの上で思いっきり息を吐き
人間をまた続ける気力をいただくのです
四畳半だけ残った和室の
かけがえのない幸せ時間に
あっちごろごろ
こっちごろごろ
そして腹ばいになり
四肢を思いっきり伸ばして
子供の頃のように猫のように
人目はばからずに伸びをして
また仰向けになり
天井の見知らぬ模様を眺めたり
窓から流れる風をほほに受け
生きた今日の時間をなぞり
大の字になって目を閉じて
ふっと微笑みまた伸びをして
畳の柔らかい厚みの上で思いっきり息を吐き
人間をまた続ける気力をいただくのです
四畳半だけ残った和室の
かけがえのない幸せ時間に
蓮の葉繁り
蓮の花咲く
薄紅いろに開く花
蓮のうてなにじいちゃんが
載って行った遠い日
ねこたちが
葉に載ったあの日
蓮の葉は池を青く覆い生き生き呼吸する
広い葉の上にじいちゃんも猫たちも
見えない姿になり住んでいる
蓮は夏空の下
ここちよい葉を広げ
すがた無くしにぎやかにいきるいのちを咲く
鯉や塩辛トンボらをいつくしむ夏の池に
繁る蓮の葉
蓮の花咲く
薄紅いろに開く花
蓮のうてなにじいちゃんが
載って行った遠い日
ねこたちが
葉に載ったあの日
蓮の葉は池を青く覆い生き生き呼吸する
広い葉の上にじいちゃんも猫たちも
見えない姿になり住んでいる
蓮は夏空の下
ここちよい葉を広げ
すがた無くしにぎやかにいきるいのちを咲く
鯉や塩辛トンボらをいつくしむ夏の池に
繁る蓮の葉
青い花
2023年06月19日 | 生
雨に咲く青い花
空と海を映す青い花
それは心の平安を呼ぶ色
切り取り花瓶に差すと
はなは少し寂しそうに
天を仰ぎ
そよぐ風 落ちる雨 語る仲間を
探して少し体よじり
運命を知り黙って咲いている
切り取った花の声が聞こえ少し悲しい人間は
青い花を傍らに
みどりの茶をすするだけ
青い花の優しさを 感じながら
天平の寺
2023年03月30日 | 生
弥生の空に薄紅の花の木
天平の寺跡は春の陽にあふれる
短い春をめでて人はさくらに
ほのかに寄せる願い
幸せの時間
天平の空千年を超えて
青く広く風はそよぎ
今はない伽藍の芝に
今を生きる春を楽しむ
楡は手を広げ人と共に憩う
静かなる
武蔵の国分寺
スタンド アローン
小山 薫堂 作詞
久石 譲 作曲
小さな光が 歩んだ道を照らす
希望のつぼみが 遠くを見つめていた
迷い悩むほど 人は強さをつかむから
夢を見る 凛として 旅立つ
一朶(いちだ)の雲をめざし
あなたと歩んだ あの日の道を探す
ひとりの祈りが 心をつないでゆく
空に手を広げ 降り注ぐ光集めて
共に届けと放てば
夢かなう 果て無き
想いを明日の風に乗せて
私は信じる新たな時がめぐる
凛として 旅立つ
一朶の雲を めざし
*東京オペラシティコンサートホール 森 麻季 2023.1.24
落 葉 松
北原 白秋
からまつの林を過ぎて
からまつをしみじみと見き
からまつはさびしかりけり
たびゆくはさびしかりけり
からまつの林を出でて
からまつの林にいりぬ
からまつの林にいりて
また細く道は続けり
からまつの林の奥も
わが通る道はありけり
霧雨のかかる道なり
山風のかよう道なり
からまつの林の道は
われのみか ひともかよいぬ
ほそほそと通う道なり
さびさびといそぐ道なり
からまつの林を過ぎて
ゆえしらず歩みひそめつ
からまつはさびしかりけり
からまつとささやきにけり
からまつの林を出でて
浅間嶺にけぶり立つ見つ
浅間嶺にけぶり立つ見つ
からまつのまたそのうえに
からまつの林の雨は
さびしけどいよよしずけし
かんこ鳥鳴けるのみなる
からまつの濡るるのみなる
世の中よあわれなりけり
常なけどうれしかりけり
山川に山がわの音
からまつにからまつのかぜ
秋刀魚の歌
佐藤 春夫
あはれ
秋風よ
情(こころ)あらば伝えてよ
―――男ありて
今日の夕餉に ひとり
さんまを食(くら)ひて
思ひにふける と。
さんま、さんま
そが上に青き蜜柑の酸(す)をしたたらせて
秋刀魚を食ふはその男がふる里のならひなり。
そのならひをあやしみなつかしみて 女は
いくたびか青き蜜柑をもぎて夕餉にむかひけむ。
あはれ、人に捨てられんとする人妻と
妻にそむかれたる男と食卓にむかへば、
愛うすき父を持ちし女の児は
小さな箸をあやつりなやみつつ
父ならぬ男にさんまの腸(わた)をくれむと言ふにあらずや。
あはれ
秋風よ
汝こそは見つらめ
世のつねならぬかの団樂(まどい)を。
いかに
秋風よ
いとせめて
証せよかの一ときの団樂(まどゐ)ゆめに非ずと。
あはれ
秋風よ
情あらば伝へてよ、
夫に去られざりし妻と
父を失はざりし幼児とに
伝へてよ
―――男ありて
今日の夕餉に ひとり
秋刀魚を食ひて
涙をながす と。
さんま、さんま、
さんま苦いか塩っぱいか、
そが上に熱き涙をしたたらせて
さんまを食ふはいづこの里のならひぞや。
あはれ
げにそは問はまほしくをかし。