母はふるさとの風

今は忘れられた美しい日本の言葉の響き、リズミカルな抒情詩は味わえば結構楽しい。 
ここはささやかな、ポエムの部屋です。

日本の詩人 佐藤 春夫『海辺の恋』

2021年12月07日 | Weblog
         海辺の恋  ー殉情詩集『同心草』よりー

                       佐藤 春夫

こぼれ松葉をかきあつめ
をとめのごとき君なりき、
こぼれ松葉に火をはなち
わらべのごときわれなりき。

        わらべとをとめよりそひぬ
        ただたまゆらの火をかこみ、
        うれしくふたり手をとりぬ
        かひなきことをただ夢み、
          
             入り日のなかに立つけぶり 
             ありやなしやとただほのか、
             海べのこひのはかなさは
             こぼれ松葉の火なりけむ。
              

       
コメント (2)
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