窓を開けると金モクセイが匂って来る
わたしは猫の匂いを探していた
耳の匂いと肉球の匂い
長い間に壁に天井に沁みついた懐かしい猫の香り
木犀の匂いはしても
猫の匂いも姿もない今年の秋
色づき始めたケヤキの大樹
さやさやゆれるすすきの穂の群れ
でももう金色の目 しなやかな手足
ゆらゆら揺れた灰色のしっぽはない
窓辺から流れることしのモクセイの香り
その甘い匂いのなかで
羽をはやして飛び去っていった猫の後ろ姿が浮かぶ
振り返らずに空に上がっていった猫が青い空に溶ける
変わらぬものは何もなくても金モクセイはいつものように匂い
透きとおるような 今年の秋
わたしは猫の匂いを探していた
耳の匂いと肉球の匂い
長い間に壁に天井に沁みついた懐かしい猫の香り
木犀の匂いはしても
猫の匂いも姿もない今年の秋
色づき始めたケヤキの大樹
さやさやゆれるすすきの穂の群れ
でももう金色の目 しなやかな手足
ゆらゆら揺れた灰色のしっぽはない
窓辺から流れることしのモクセイの香り
その甘い匂いのなかで
羽をはやして飛び去っていった猫の後ろ姿が浮かぶ
振り返らずに空に上がっていった猫が青い空に溶ける
変わらぬものは何もなくても金モクセイはいつものように匂い
透きとおるような 今年の秋