さすらいの青春(630)
𝓛𝓮 𝓖𝓻𝓪𝓷𝓭 𝓜𝓮𝓪𝓾𝓵𝓷𝓮𝓼
——————【630】——————————
Meaulnes se tourna lentement vers moi :
« Tu entends ? dit-il. Il vient de se bat-
tre et de se faire blesser pour nous, tan-
dis que nous lui tendions un piège ! »
Puis cessant d'employer ce « vous » in-
solite chez des écoliers de Sainte-Agathe :
« Tu es un vrai camarade », dit-il, et
il lui tendit la main.
————————(訳)————————————
モーヌはゆっくりと私のほうを向き言った:
「君、聞いたかい? この男は闘ってきたんだ.
しかもぼくたちが襲う策略を用意していたというの
に、ぼくたちのために流血も惜しまずに闘ってきた
ところだとさ.」
そうして、この他人行儀に相手を呼ぶ「お宅」
という言葉の使用はやめた.このサント=アガット
学院の生徒の間で、お宅という言葉使いは普通では
なかった.
「これで本当に君はぼくたちの仲間だ.」、モーヌ
はそう言って、この男に手を差しのべた.
———————⦅語句⦆———————————
tendions:(直半過/1複) < tendre (他) 張る、
掛ける、仕掛ける、
piège:[ピエージュ](m) ❶罠、❷策略
tendre un piège / 罠を仕掛ける.
insolite:[アンソリット](形) 異様な、突飛な、型破りな.
tu es un vrai camarade:これで君も間違いなく仲間さ.
il lui tendit la main:(直単過/3単) モーヌは包帯男に
手を差しのべた..
Sainte-Agathe:この小説の初め部分で「サント=
アガット」と訳したので、そのままにするが
訳しようによっては「聖アガサ学院」などに
もなるかもしれないので訳本チェックをした:
❶講談社:サント・アガト(校名ではなく地域名として)
❷みすず:サント=アガート
❸パロル:サント=アガート
❹旺文社:サント・アガト
❺岩波 :サント=アガト
❻角川 :サント=アガット
以上、わたくしの気の回しすぎでした.