韓日の経済力に2、3倍の差がある理由…韓国は不動産の比重が問題
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
2019.08.15 09:01
韓日の経済力に2、3倍の差がある理由…韓国は不動産の比重が問題
日本の輸出規制措置に韓国政府も「対抗」し、2国間の「貿易戦争」が全面戦争の様相を帯びている。
両国は以前に比べてはるかに難しい手続きで貿易をするしかない。
韓国は2730億ウォン(約238億円)規模の補正予算も編成し、日本に依存してきた核心技術・素材開発に着手するなど貿易戦争が長期化する可能性も念頭に置いている。
『孫子兵法』には「敵と対等なら対戦するものの(敵則能戦之)、劣勢ならば避けるべき(不若則能避之)」とある。対等か劣勢かを判断するには「敵を知り己を知る(知彼知己)」という前提も必要だ。
春秋戦国時代に使われた孫子兵法を現代の「貿易戦争」にそのまま適用するのは難しい。
また今回の貿易戦争は避ける間もなく日本が先に始めた。
韓国は自国と日本の経済力を緻密に比較・分析した後、日本を越える「克日の条件」を探すのが急務だった。これを中央日報が14日、両国の国民貸借対照表を通じて分析した。
国民貸借対照表は一国が保有する全体財産(国富、国民純資産)が記録された会計帳簿をいう。
一人が持つ財産を見ると今後どれほど裕福に暮らせるかが分かるように、国家が持つ財産も国家の経済成長能力を評価する必須資料となる。
韓国では韓国銀行(韓銀)と統計庁が作成する。
戦争が勃発すれば参戦国別の兵力と軍艦・戦闘機・タンクなど軍保有資産目録を比較するように、国家間の経済力もこの帳簿を通じて比較できる。
国際連合など国際機関が共同で設定した国際基準(2008 SNA)に基づき、国が異なっても同じ統計処理方式で作成されるからだ。
まず両国の家計・政府・企業などすべての経済主体の保有資産をすべて合わせた国富(国民純資産)は日本が韓国の2.44倍だ。昨年の韓国の国富は1京5511兆6600億ウォンだったが、日本は3京7832兆270億ウォン(2017年基準、3367兆3666億円)にのぼる。
財産の「量」は日本が韓国に比べて圧倒的に多い。
運送装備・機械・知識財産生産物など生産活動に投入して付加価値を生み出す生産資産も日本がはるかに多い。
韓国の総生産資産は6775兆5569億ウォンだったが、日本は3.07倍多い2京781兆4147億ウォン(1849兆7196億円)分を保有する。
分かりやすく言えば、日本は韓国よりも工場が3倍も多いということだ。
もちろん工場が多いからといって無条件に生産能力が高くなるわけではない。
工場で生産する商品が市場で売れないほど品質が良くなかったり不況で工場が稼働しなかったりすれば、工場の数が多くても経済に役立たないこともある。
「生産手段」の量だけでなく、少ない生産手段で多くの生産物を作り出す生産効率性も重要だ。
しかし生産効率性の側面でも韓国は日本より劣る。
すべての土地・建物・機械・知識財産など国富(国民純資産)を活用していかに多くの国内総生産(GDP)を達成したかを表す、純資産に対するGDP比率は韓国が12.2%だが、日本は16.2%だ。
1000億ウォンの工場・土地・機械を活用しても韓国は年間122億ウォン分を生産する半面、日本は162億ウォン分を生産しているということだ。
韓国が日本より生産効率性が落ちる理由は何か。
専門家は韓国は付加価値を創出する生産資産よりも、土地・建物など不動産への資産の偏りが大きいと指摘する。
韓国は国富全体の85.5%が不動産であり、日本(77.4%)よりもその比率が高い。
半面、国富を純金融資産と非金融資産(非生産資産・生産資産)に区分すると、韓国の生産資産が占める比率は43.7%と、日本(54.9%)より低い。
生産資産を筋肉、不動産を脂肪に例える場合、筋肉量の側面で日本は韓国よりもバランスがとれた体質ということだ。
韓日の経済力に2、3倍の差がある理由…韓国は不動産の比重が問題
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
2019.08.15 09:01
韓国の不動産の比重は世界最高水準だ。
昨年の韓国の不動産資産は国内総生産(GDP)の約7倍だった。
韓国が生産活動で得た富を一銭も使わず7年間貯めてこそ、韓国の全国土の不動産を購入できるという意味だ。
GDP比の不動産倍率は日本が4.8倍、米国が2.4倍、カナダが3.9倍、英国が4.4倍、フランスが5.5倍、オーストラリアが5.8倍。
韓国は他国に比べて相対的に多くのお金が不動産に縛られているということだ。
韓国の国富で不動産が占める比率が高い理由は急激な地価上昇のためだ。
韓国の土地資産が非金融資産(現金・預金・証券など金融資産でない資産)に占める比率は、2013年の53.1%で底点となった後、昨年まで54.6%に上昇した。
非金融資産のうち建物の比率も2015年の底点(20.7%)から上昇して昨年は21.4%となった。
さらに収益を創出する「営業用不動産」より居住目的の住宅資産が増えるという特徴もある。
金洛年(キム・ナクニョン)東国大経済学科教授は「韓国は面積が狭く人口が大都市に集まるため、不動産選好現象が他国より強く表れる」とし「一般家計が保有する不動産資産の場合、住宅は増える一方、田・畑・山林など営業用不動産は相対的に減る特徴もみられる」と説明した。
専門家らは「不動産への資産の集中は企業には土地と建物の確保など生産活動に入る固定費用を増やす結果につながる」と指摘する。
韓国人の国民所得が3万ドルまで高まるなど人件費水準が高まった状況で不動産購入費用まで増えれば、工場を海外に移転するケースが増えるしかないという分析だ。
自営業者も賃貸料上昇の負担を抱えることになる。急激な最低賃金上昇と同時に急激な賃貸料増加は自営業の委縮の原因となる。
さらに需要の軸となる家系も住宅担保貸出の償還、家賃の増加など住居費用の増加で可処分所得(家計収入のうち自由に使える金額)が減れば、内需不振につながると、専門家らは主張する。
現在のように不動産に国富が偏った構造を放置した状態では、拡張財政や通貨政策で流動性を供給しても生産活動・株式市場に投資されるより、不動産市場に多くの資金が流れるという指摘だ。
さらに不動産を保有する者と保有しない者の資産不平等も深める。
韓国ほど日本も低成長期を経験しているが、日本の国家資産配分構造は韓国よりバランスが良い。
筋肉より脂肪の比率が高い選手がマラソンでは不利になるように、韓国が経済体質を改善できなければ韓日間の「経済戦争」が長引くほど日本が有利になるという結論が出る理由だ。
西江大経済学科のホ・ジョン教授は
「結局、国富が不動産に偏る理由は、生産活動よりも不動産に投資する方が高収益をもたらすため」とし
「長期的に見ると、こうした形で国民貸借対照表が出るようにするのはよくない」と指摘した。
続いて「不動産価格を低めようと人為的に価格に介入する政策は副作用を拡大するため、国富が自然に生産資産に流れるように高付加価値産業の拡大に向けた規制緩和が求められる」と述べた。
仁川大貿易学科のオク・ドンソク教授は
「他国より不動産への偏りが激しいというのは、経済活動はせずビルのオーナーを夢見る人が増えるということ」とし「住宅政策を『所有』から『居住』中心に転換してこうした偏りを管理してこそ、不動産の暴落が韓国経済の『時限爆弾』となる状況も防ぐことができる」と強調した。
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2019.08.15 09:01
韓日の経済力に2、3倍の差がある理由…韓国は不動産の比重が問題
日本の輸出規制措置に韓国政府も「対抗」し、2国間の「貿易戦争」が全面戦争の様相を帯びている。
両国は以前に比べてはるかに難しい手続きで貿易をするしかない。
韓国は2730億ウォン(約238億円)規模の補正予算も編成し、日本に依存してきた核心技術・素材開発に着手するなど貿易戦争が長期化する可能性も念頭に置いている。
『孫子兵法』には「敵と対等なら対戦するものの(敵則能戦之)、劣勢ならば避けるべき(不若則能避之)」とある。対等か劣勢かを判断するには「敵を知り己を知る(知彼知己)」という前提も必要だ。
春秋戦国時代に使われた孫子兵法を現代の「貿易戦争」にそのまま適用するのは難しい。
また今回の貿易戦争は避ける間もなく日本が先に始めた。
韓国は自国と日本の経済力を緻密に比較・分析した後、日本を越える「克日の条件」を探すのが急務だった。これを中央日報が14日、両国の国民貸借対照表を通じて分析した。
国民貸借対照表は一国が保有する全体財産(国富、国民純資産)が記録された会計帳簿をいう。
一人が持つ財産を見ると今後どれほど裕福に暮らせるかが分かるように、国家が持つ財産も国家の経済成長能力を評価する必須資料となる。
韓国では韓国銀行(韓銀)と統計庁が作成する。
戦争が勃発すれば参戦国別の兵力と軍艦・戦闘機・タンクなど軍保有資産目録を比較するように、国家間の経済力もこの帳簿を通じて比較できる。
国際連合など国際機関が共同で設定した国際基準(2008 SNA)に基づき、国が異なっても同じ統計処理方式で作成されるからだ。
まず両国の家計・政府・企業などすべての経済主体の保有資産をすべて合わせた国富(国民純資産)は日本が韓国の2.44倍だ。昨年の韓国の国富は1京5511兆6600億ウォンだったが、日本は3京7832兆270億ウォン(2017年基準、3367兆3666億円)にのぼる。
財産の「量」は日本が韓国に比べて圧倒的に多い。
運送装備・機械・知識財産生産物など生産活動に投入して付加価値を生み出す生産資産も日本がはるかに多い。
韓国の総生産資産は6775兆5569億ウォンだったが、日本は3.07倍多い2京781兆4147億ウォン(1849兆7196億円)分を保有する。
分かりやすく言えば、日本は韓国よりも工場が3倍も多いということだ。
もちろん工場が多いからといって無条件に生産能力が高くなるわけではない。
工場で生産する商品が市場で売れないほど品質が良くなかったり不況で工場が稼働しなかったりすれば、工場の数が多くても経済に役立たないこともある。
「生産手段」の量だけでなく、少ない生産手段で多くの生産物を作り出す生産効率性も重要だ。
しかし生産効率性の側面でも韓国は日本より劣る。
すべての土地・建物・機械・知識財産など国富(国民純資産)を活用していかに多くの国内総生産(GDP)を達成したかを表す、純資産に対するGDP比率は韓国が12.2%だが、日本は16.2%だ。
1000億ウォンの工場・土地・機械を活用しても韓国は年間122億ウォン分を生産する半面、日本は162億ウォン分を生産しているということだ。
韓国が日本より生産効率性が落ちる理由は何か。
専門家は韓国は付加価値を創出する生産資産よりも、土地・建物など不動産への資産の偏りが大きいと指摘する。
韓国は国富全体の85.5%が不動産であり、日本(77.4%)よりもその比率が高い。
半面、国富を純金融資産と非金融資産(非生産資産・生産資産)に区分すると、韓国の生産資産が占める比率は43.7%と、日本(54.9%)より低い。
生産資産を筋肉、不動産を脂肪に例える場合、筋肉量の側面で日本は韓国よりもバランスがとれた体質ということだ。
韓日の経済力に2、3倍の差がある理由…韓国は不動産の比重が問題
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
2019.08.15 09:01
韓国の不動産の比重は世界最高水準だ。
昨年の韓国の不動産資産は国内総生産(GDP)の約7倍だった。
韓国が生産活動で得た富を一銭も使わず7年間貯めてこそ、韓国の全国土の不動産を購入できるという意味だ。
GDP比の不動産倍率は日本が4.8倍、米国が2.4倍、カナダが3.9倍、英国が4.4倍、フランスが5.5倍、オーストラリアが5.8倍。
韓国は他国に比べて相対的に多くのお金が不動産に縛られているということだ。
韓国の国富で不動産が占める比率が高い理由は急激な地価上昇のためだ。
韓国の土地資産が非金融資産(現金・預金・証券など金融資産でない資産)に占める比率は、2013年の53.1%で底点となった後、昨年まで54.6%に上昇した。
非金融資産のうち建物の比率も2015年の底点(20.7%)から上昇して昨年は21.4%となった。
さらに収益を創出する「営業用不動産」より居住目的の住宅資産が増えるという特徴もある。
金洛年(キム・ナクニョン)東国大経済学科教授は「韓国は面積が狭く人口が大都市に集まるため、不動産選好現象が他国より強く表れる」とし「一般家計が保有する不動産資産の場合、住宅は増える一方、田・畑・山林など営業用不動産は相対的に減る特徴もみられる」と説明した。
専門家らは「不動産への資産の集中は企業には土地と建物の確保など生産活動に入る固定費用を増やす結果につながる」と指摘する。
韓国人の国民所得が3万ドルまで高まるなど人件費水準が高まった状況で不動産購入費用まで増えれば、工場を海外に移転するケースが増えるしかないという分析だ。
自営業者も賃貸料上昇の負担を抱えることになる。急激な最低賃金上昇と同時に急激な賃貸料増加は自営業の委縮の原因となる。
さらに需要の軸となる家系も住宅担保貸出の償還、家賃の増加など住居費用の増加で可処分所得(家計収入のうち自由に使える金額)が減れば、内需不振につながると、専門家らは主張する。
現在のように不動産に国富が偏った構造を放置した状態では、拡張財政や通貨政策で流動性を供給しても生産活動・株式市場に投資されるより、不動産市場に多くの資金が流れるという指摘だ。
さらに不動産を保有する者と保有しない者の資産不平等も深める。
韓国ほど日本も低成長期を経験しているが、日本の国家資産配分構造は韓国よりバランスが良い。
筋肉より脂肪の比率が高い選手がマラソンでは不利になるように、韓国が経済体質を改善できなければ韓日間の「経済戦争」が長引くほど日本が有利になるという結論が出る理由だ。
西江大経済学科のホ・ジョン教授は
「結局、国富が不動産に偏る理由は、生産活動よりも不動産に投資する方が高収益をもたらすため」とし
「長期的に見ると、こうした形で国民貸借対照表が出るようにするのはよくない」と指摘した。
続いて「不動産価格を低めようと人為的に価格に介入する政策は副作用を拡大するため、国富が自然に生産資産に流れるように高付加価値産業の拡大に向けた規制緩和が求められる」と述べた。
仁川大貿易学科のオク・ドンソク教授は
「他国より不動産への偏りが激しいというのは、経済活動はせずビルのオーナーを夢見る人が増えるということ」とし「住宅政策を『所有』から『居住』中心に転換してこうした偏りを管理してこそ、不動産の暴落が韓国経済の『時限爆弾』となる状況も防ぐことができる」と強調した。