韓国でいよいよ「輸出」が激減、静かに「競争力」が低下し始めていた…!
9/7(月) 7:01配信
真壁 昭夫(法政大学大学院教授)
8月まで、韓国の輸出は6カ月連続で前年同月の実績を下回った。
輸出の地域別にみると、一時増加に転じた中国向けの輸出が減少した。
それは、韓国の対中国の競争力が徐々に低下しているとも解釈できる。
品目別にみると、半導体やコンピューター関連部品の輸出が増えている一方で、自動車や石油化学製品などの輸出が減少した。
足許の中国経済はまだら模様だ。
生産活動は急ピッチで回復しているが、それは主に財政出動に支えられている。
成長の限界を迎えた中国経済の先行きは不透明だ。
また、米中の対立は一段と先鋭化している。
今のところ、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は米中対立にどう対応するか明確な方針を示していない。
今後、韓国から中国向けの半導体などの先端IT製品などが制限されることになると、韓国の中国向けの輸出はさらに厳しい状況に追い込まれるだろう。
そうなると、韓国経済の成長率はさらに下押し圧力がかかる可能性が高い。
また、韓国国内では文氏の経済運営などへの批判や不安が高まっている。
コロナショックをきっかけに世界経済の構造変化が加速化している。
文政権下の韓国企業にとって、そうした変化に対応することは一段と難しくなるだろう。
これから韓国では、所得・雇用環境の悪化懸念の高まりをはじめ、社会全体で閉塞感が高まる恐れがある。
軽視できない中国向けの輸出減少
8月の韓国の輸出は前年同月比で9.9%減少した。
特に重要なポイントは、中国向けの輸出が減少したことだ。
リーマンショック後、韓国は中国への自動車などの輸出を増やすことによって比較的短期間で景気回復を実現した。
足許の中国経済は公共事業と自動車販売補助金が支えとなって緩やかに持ち直している。
過去の景気回復パターンを考えると、韓国から中国への輸出は増加してよいはずなのだが、実際にはそうなっていない。
その背景には、中国にとっての韓国製品の重要性が低下したことがありそうだ。
7月、工作機械や自動車を中心にわが国の対中輸出は増加した。
それとは対照的に、韓国の主要輸出品目である一般機械や石油化学製品などの対中輸出は減少した。
それは韓国企業の競争力低下を意味しているともとれる。
現状、韓国が中国に対して優位性を維持している主な製品は半導体だ。
ただし、その競争力の持続性には不安な部分がある。
共産党政権は補助金政策の強化などを通して“中国製造2025”を推進し、メモリやロジック半導体、ディスプレイの開発に加え、サムスン電子が重視する半導体受託製造分野の競争力向上に取り組んでいる。
韓国にとって最大の輸出先である中国は、徐々に国際競争上の脅威に変わりつつある。
また、わが国との関係も韓国企業の競争力を低下させる要因だ。
朝鮮戦争が休戦した後、韓国はわが国からの技術移転を重視し経済成長を実現した。
経済成長の初期段階において技術移転は工業化を進めるために有効だ。
その後も韓国企業はわが国の生産要素に依存し、対日貿易赤字を抱えている。
反日政策を重視して日韓関係を過去最悪なまでに冷え込ませてしまった文大統領は、自国経済の安定感を削いでいるといえる。
韓国でいよいよ「輸出」が激減、静かに「競争力」が低下し始めていた…!
9/7(月) 7:01配信
現代ビジネス
ここへ来て不透明要素が増える韓国経済
また、韓国経済は米中対立にも直面している。
トランプ政権はファーウェイへの最先端の半導体供給を遮断している。
米国は知的財産や技術面でも、中国を国際社会から孤立させようとしている。
米国の同盟国である韓国が半導体を中心に対中輸出を増やすことは難しくなる。
本来、文政権は安全保障面での米国との関係をより強固にし、自国の方針を明示しなければならない。
しかし、文大統領は米中双方に等距離感覚で対応できると考えているようだ。
韓国とは対照的に、台湾は米国との関係強化を明確に重視し、TSMCはインテルやAMDなどの需要を取り込んでいる。
それを支えに、同社は米国や台湾で最先端の半導体製造ラインの確立にむけ設備投資を強化している。
韓国経済にとって、米中対立は重要な逆風になっている。
国際情勢への対応だけでなく、内政面でも文氏は難航している。
輸出減少によって生き残りのために人員削減を進める企業が増え、文政権の経済運営への批判は強まっているようだ。
それに加えて、新型コロナウイルスの感染者が増加し、文政権は外出の自粛を求めた。
その結果、ソウルをはじめとする首都圏を中心に中小の飲食業者などの経営環境は一段と厳しい。
文大統領は、国を一つにまとまるよりも、社会の分断を深刻化させているように見える。
その状態で文氏が構造改革を進め、既存の産業からより成長期待の高い産業にヒト・モノ・カネの経営資源を再配分し、企業の競争力向上を目指すことは難しいだろう。
財政支出に頼った景気刺激にも限界がある。韓国経済の先行きに関して、不透明要素は増加傾向にあると考える。
真壁 昭夫(法政大学大学院教授)
9/7(月) 7:01配信
真壁 昭夫(法政大学大学院教授)
8月まで、韓国の輸出は6カ月連続で前年同月の実績を下回った。
輸出の地域別にみると、一時増加に転じた中国向けの輸出が減少した。
それは、韓国の対中国の競争力が徐々に低下しているとも解釈できる。
品目別にみると、半導体やコンピューター関連部品の輸出が増えている一方で、自動車や石油化学製品などの輸出が減少した。
足許の中国経済はまだら模様だ。
生産活動は急ピッチで回復しているが、それは主に財政出動に支えられている。
成長の限界を迎えた中国経済の先行きは不透明だ。
また、米中の対立は一段と先鋭化している。
今のところ、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は米中対立にどう対応するか明確な方針を示していない。
今後、韓国から中国向けの半導体などの先端IT製品などが制限されることになると、韓国の中国向けの輸出はさらに厳しい状況に追い込まれるだろう。
そうなると、韓国経済の成長率はさらに下押し圧力がかかる可能性が高い。
また、韓国国内では文氏の経済運営などへの批判や不安が高まっている。
コロナショックをきっかけに世界経済の構造変化が加速化している。
文政権下の韓国企業にとって、そうした変化に対応することは一段と難しくなるだろう。
これから韓国では、所得・雇用環境の悪化懸念の高まりをはじめ、社会全体で閉塞感が高まる恐れがある。
軽視できない中国向けの輸出減少
8月の韓国の輸出は前年同月比で9.9%減少した。
特に重要なポイントは、中国向けの輸出が減少したことだ。
リーマンショック後、韓国は中国への自動車などの輸出を増やすことによって比較的短期間で景気回復を実現した。
足許の中国経済は公共事業と自動車販売補助金が支えとなって緩やかに持ち直している。
過去の景気回復パターンを考えると、韓国から中国への輸出は増加してよいはずなのだが、実際にはそうなっていない。
その背景には、中国にとっての韓国製品の重要性が低下したことがありそうだ。
7月、工作機械や自動車を中心にわが国の対中輸出は増加した。
それとは対照的に、韓国の主要輸出品目である一般機械や石油化学製品などの対中輸出は減少した。
それは韓国企業の競争力低下を意味しているともとれる。
現状、韓国が中国に対して優位性を維持している主な製品は半導体だ。
ただし、その競争力の持続性には不安な部分がある。
共産党政権は補助金政策の強化などを通して“中国製造2025”を推進し、メモリやロジック半導体、ディスプレイの開発に加え、サムスン電子が重視する半導体受託製造分野の競争力向上に取り組んでいる。
韓国にとって最大の輸出先である中国は、徐々に国際競争上の脅威に変わりつつある。
また、わが国との関係も韓国企業の競争力を低下させる要因だ。
朝鮮戦争が休戦した後、韓国はわが国からの技術移転を重視し経済成長を実現した。
経済成長の初期段階において技術移転は工業化を進めるために有効だ。
その後も韓国企業はわが国の生産要素に依存し、対日貿易赤字を抱えている。
反日政策を重視して日韓関係を過去最悪なまでに冷え込ませてしまった文大統領は、自国経済の安定感を削いでいるといえる。
韓国でいよいよ「輸出」が激減、静かに「競争力」が低下し始めていた…!
9/7(月) 7:01配信
現代ビジネス
ここへ来て不透明要素が増える韓国経済
また、韓国経済は米中対立にも直面している。
トランプ政権はファーウェイへの最先端の半導体供給を遮断している。
米国は知的財産や技術面でも、中国を国際社会から孤立させようとしている。
米国の同盟国である韓国が半導体を中心に対中輸出を増やすことは難しくなる。
本来、文政権は安全保障面での米国との関係をより強固にし、自国の方針を明示しなければならない。
しかし、文大統領は米中双方に等距離感覚で対応できると考えているようだ。
韓国とは対照的に、台湾は米国との関係強化を明確に重視し、TSMCはインテルやAMDなどの需要を取り込んでいる。
それを支えに、同社は米国や台湾で最先端の半導体製造ラインの確立にむけ設備投資を強化している。
韓国経済にとって、米中対立は重要な逆風になっている。
国際情勢への対応だけでなく、内政面でも文氏は難航している。
輸出減少によって生き残りのために人員削減を進める企業が増え、文政権の経済運営への批判は強まっているようだ。
それに加えて、新型コロナウイルスの感染者が増加し、文政権は外出の自粛を求めた。
その結果、ソウルをはじめとする首都圏を中心に中小の飲食業者などの経営環境は一段と厳しい。
文大統領は、国を一つにまとまるよりも、社会の分断を深刻化させているように見える。
その状態で文氏が構造改革を進め、既存の産業からより成長期待の高い産業にヒト・モノ・カネの経営資源を再配分し、企業の競争力向上を目指すことは難しいだろう。
財政支出に頼った景気刺激にも限界がある。韓国経済の先行きに関して、不透明要素は増加傾向にあると考える。
真壁 昭夫(法政大学大学院教授)