文大統領の意向“忖度”で頭角現す金大中元大統領の三男 反日鮮明…「親日派の墓あばき」法案の発議者
室谷克実 新・悪韓論
2020.9.3
金大中元大統領金大中元大統領
韓国の絶対権力者は「時の大統領」だ。
今の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、警察や検察、裁判所、そして軍を完全に掌握し、政策部門ごとに担当官庁を制圧できる「市民団体」と名乗る半暴力組織を抱えているから、歴代大統領の中で最強だ。
韓国 文在寅大統領
そうした支配構造の中で、頭角を現そうとしたら、大統領の意向をどこまでも忖度(そんたく)して動き、あえて保守系メディアの標的になることだ。
金大中(キム・デジュン)元大統領の三男で、与党「共に民主党」の国会議員である金弘傑(キム・ホンゴル)氏の動きは、まさにそれだ。北朝鮮と中国に対する屈従姿勢、「反日」を鮮明にするだけでなく、国内の親日派を徹底的に指弾している。
韓国の国会は解散がない。
日本なら当選3回はまだ陣笠扱いだが、韓国では議員を3期12年もしたら、もう「重鎮」と呼ばれる。議長にでもならない限りは4期したら議員引退が普通だ。
そんな違いはあれ、当選1回では脚光を浴びる場所に出てこられないのは、日本も韓国も変わりはない。
ところが、金弘傑氏はまだ議員歴6カ月もないのに、自前のフォーラム(=いわば派閥)を持ち、2つの法律案の代表発議者として登壇している。
派閥は「国会東北アジア平和未来フォーラム」と名乗り、議員20人が参加している。あの「赤いタマネギ女」こと尹美香(ユン・ミヒャン)議員も、その中にいる。
「外交政策に関しては大統領の分身」とされる文正仁(ムン・ジョンイン)前大統領特別補佐官も諮問委員として参加している。
この運営費は、さまざま含めて、どれほどかかるのだろうか。
金弘傑氏が代表発議した法案の1つは「国立墓地法改正案」だ。
親日派と認定された人物の墓を、国立墓地から追放する-。つまり“親日派の墓あばき”のための法案だ。保守系紙は批判した。
もう1つは、「旭日旗類処罰法案」。
旭日旗そのものだけではなく、旭日旗を連想させる小物類まで取り締まりの対象とし、配布した者、着用・所持した者に刑事罰を科す内容だ。
保守系紙は「連想させる小物類」の取り締まりが「表現の自由」を侵すと批判した。
国会議員になって6カ月に至らない人物としては、信じられない活躍だが、彼は一方で金銭スキャンダルも抱えている。
金大中氏の息子3人がそろって汚職で逮捕されたのは、依然として“有名な話”だが、そうした前歴のある人物を比例候補4位に据えた文在寅与党とは、すごい度胸だ。
運動費が回ったのだろうか。
今は金大中氏の次男と遺産相続で係争中だ(=長男は昨年死去)。
遺産の中には、ノーベル平和賞の賞金も含まれている。
賞金の一部は寄付されたが、残り8割ほどは金弘傑氏が持ち出して「行方不明」だという。
20億ウォン(約1億7800万円)とされる旧金大中邸も、次男の了解のないまま金弘傑氏が20歳の息子に譲渡してしまったとされる。
しかし、韓国での最近の裁判を見れば、金弘傑氏は何の心配もしていないだろう。
「新権力層」の一員となった裁判所は、大統領の覚えめでたい人物に対しては「曲学阿世」ならぬ“曲法阿文”(=法を曲げて文在寅氏に阿=おもね=る)の判決を下すからだ。
旧悪の追放者が、いっそう悪辣(あくらつ)な新悪になる-朝鮮半島の歴史は、今も繰り返されている。
■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。主な著書に『悪韓論』(新潮新書)、『反日種族の常識』(飛鳥新社)、『呆韓論』(産経新聞出版)、『韓国のデマ戦法』(同)など多数。
室谷克実 新・悪韓論
2020.9.3
金大中元大統領金大中元大統領
韓国の絶対権力者は「時の大統領」だ。
今の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、警察や検察、裁判所、そして軍を完全に掌握し、政策部門ごとに担当官庁を制圧できる「市民団体」と名乗る半暴力組織を抱えているから、歴代大統領の中で最強だ。
韓国 文在寅大統領
そうした支配構造の中で、頭角を現そうとしたら、大統領の意向をどこまでも忖度(そんたく)して動き、あえて保守系メディアの標的になることだ。
金大中(キム・デジュン)元大統領の三男で、与党「共に民主党」の国会議員である金弘傑(キム・ホンゴル)氏の動きは、まさにそれだ。北朝鮮と中国に対する屈従姿勢、「反日」を鮮明にするだけでなく、国内の親日派を徹底的に指弾している。
韓国の国会は解散がない。
日本なら当選3回はまだ陣笠扱いだが、韓国では議員を3期12年もしたら、もう「重鎮」と呼ばれる。議長にでもならない限りは4期したら議員引退が普通だ。
そんな違いはあれ、当選1回では脚光を浴びる場所に出てこられないのは、日本も韓国も変わりはない。
ところが、金弘傑氏はまだ議員歴6カ月もないのに、自前のフォーラム(=いわば派閥)を持ち、2つの法律案の代表発議者として登壇している。
派閥は「国会東北アジア平和未来フォーラム」と名乗り、議員20人が参加している。あの「赤いタマネギ女」こと尹美香(ユン・ミヒャン)議員も、その中にいる。
「外交政策に関しては大統領の分身」とされる文正仁(ムン・ジョンイン)前大統領特別補佐官も諮問委員として参加している。
この運営費は、さまざま含めて、どれほどかかるのだろうか。
金弘傑氏が代表発議した法案の1つは「国立墓地法改正案」だ。
親日派と認定された人物の墓を、国立墓地から追放する-。つまり“親日派の墓あばき”のための法案だ。保守系紙は批判した。
もう1つは、「旭日旗類処罰法案」。
旭日旗そのものだけではなく、旭日旗を連想させる小物類まで取り締まりの対象とし、配布した者、着用・所持した者に刑事罰を科す内容だ。
保守系紙は「連想させる小物類」の取り締まりが「表現の自由」を侵すと批判した。
国会議員になって6カ月に至らない人物としては、信じられない活躍だが、彼は一方で金銭スキャンダルも抱えている。
金大中氏の息子3人がそろって汚職で逮捕されたのは、依然として“有名な話”だが、そうした前歴のある人物を比例候補4位に据えた文在寅与党とは、すごい度胸だ。
運動費が回ったのだろうか。
今は金大中氏の次男と遺産相続で係争中だ(=長男は昨年死去)。
遺産の中には、ノーベル平和賞の賞金も含まれている。
賞金の一部は寄付されたが、残り8割ほどは金弘傑氏が持ち出して「行方不明」だという。
20億ウォン(約1億7800万円)とされる旧金大中邸も、次男の了解のないまま金弘傑氏が20歳の息子に譲渡してしまったとされる。
しかし、韓国での最近の裁判を見れば、金弘傑氏は何の心配もしていないだろう。
「新権力層」の一員となった裁判所は、大統領の覚えめでたい人物に対しては「曲学阿世」ならぬ“曲法阿文”(=法を曲げて文在寅氏に阿=おもね=る)の判決を下すからだ。
旧悪の追放者が、いっそう悪辣(あくらつ)な新悪になる-朝鮮半島の歴史は、今も繰り返されている。
■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。主な著書に『悪韓論』(新潮新書)、『反日種族の常識』(飛鳥新社)、『呆韓論』(産経新聞出版)、『韓国のデマ戦法』(同)など多数。