最大手サムスン電子の動向を見つめる半導体業界…「減産しなければ共倒れ」
2022/12/31(土) 10:21配信
サムスン電子、SKハイニックス、マイクロン、キオクシアなどメモリー業界大手が今年第4四半期(10-12月)にNAND型フラッシュメモリー事業で一斉に赤字を計上するとの見方が示された。
世界的な消費低迷でNAND型フラッシュメモリーに続き、DRAMの収益性も悪化すれば、来年上半期にはサムスン電子を含む大半のメモリーメーカーで赤字が拡大しそうだ。
メモリーは供給過剰ぎみで、第3四半期に人為的な減産はないと否定したサムスン電子が方針を転換するかどうかに市場の関心が集まっている。
■マイクロン、46.6%の減収予想 半導体業界と海外メディアによると、マイクロンは今年第4四半期の売上高が前年同期比で46.6%減少し、営業利益は赤字転換する見通しだという。
問題は赤字幅がどれほど深刻な水準になるか不透明なことだ。
一部海外メディアは過去最高の赤字を予想している。
SKハイニックスも子会社のソリダイム(旧インテンNAND事業部)の損失を合算すると、赤字幅が1兆ウォンをはるかに超えると予想されている。
サムスン電子も第4四半期の実績が予想を下回る可能性が示されている。
FNガイドによると、第4四半期のサムスン電子半導体部門の営業利益は2兆-3兆ウォン(約2070億-3100億円)にとどまると予想される。
前四半期に記録した5兆1200億ウォンに比べると約半分だ。
前年同期の8兆8400億ウォンと比べると3分の1にすぎない。
一部には主力の半導体事業が低迷し、第4四半期の営業利益が6兆9420億ウォンにとどまるとの見方も出ている。
特にNAND型フラッシュメモリー事業は、早ければ第4四半期から赤字に転落する懸念も示されている。
サムスン電子はライバル企業に比べ優れたコスト削減技術と高付加価値NAND分野での支配力によって、収益性では比較優位にあったが、価格の下落幅が拡大し、結局損失を避けられなくなった。
市場調査会社トレンドフォースによると、第3四半期のNAND価格は第2四半期に比べ18%以上下落し、第4四半期には最大25%下落した。サムスンが予想した下落幅よりも深刻だ。
半導体業界ではSKハイニックス、マイクロン、キオクシアなど主要メモリー企業の実績を左右する要素として、サムスン電子が第4四半期に「減産」に踏み切るかどうかを挙げている。
それはライバル企業だけでなく、サムスン電子自身の業績にも影響を与えると予想される。
タオル投資証券は最近のリポートで「サムスン電子の減産決定がなければ、他社だけでなくサムスン電子のメモリー事業部も来年第2四半期に赤字転落が避けられない」と予想した。
■最大手サムスンに注がれる視線
証券街にはサムスン電子がライバル企業が減産に入ったすきを狙い、供給量を増やしてシェアを拡大するとの見方もあった。
来年下半期から需要が回復し、シェア拡大効果が狙えるとの指摘だ。
しかし、メモリー事業部が赤字転落する事態にまでは発展しないというのが専門家の共通意見だ。
メモリー事業が赤字転落した場合、経営陣に対する圧力が強まるためだ。
サムスンに詳しい関係者は「権五鉉(クォン・オヒョン)前会長の時代から固めてきた弾力的なポートフォリオ調節能力は、これまでサムスンが不利な市場環境でも一定の収益規模を維持できる基礎体力になった」とした上で、「最近の市況はパンデミックや戦争、インフレに地政学的な不確定要素など一寸先も見通せない状況であるほか、サムスンメモリー事業部の赤字転落は李在鎔(イ・ジェヨン)会長をはじめとする経営陣に負担にならざるを得ず、赤字覚悟で現在の供給量に固執するとは思えない」と指摘した。
市場調査機関ガートナーによると、来年のメモリー半導体(DRAM、NAND型フラッシュメモリー)の市場規模は1336億ドルで、今年(1593億ドル)に比べ16.1%のマイナス成長が見込まれる。
また、別の市場調査機関WSTSは、来年のメモリー半導体の成長率をマイナス17.0%と予想し、半導体市場全体(マイナス4.1%)はるかに上回る減速を予想した。
台湾の市場調査会社トレンドフォースは「四半期ベースの下落幅は2008年の世界的金融危機当時に次ぐ過去2番目だ」とし、「家電など完成品の需要低迷が続く中、サーバー用DRAMの出荷量まで鈍化した」と分析した。