日本と世界

世界の中の日本

韓国、膨らむ政府債務と家計負債、募る国民の不満(前) 国際

2023-01-08 17:21:53 | 日記
韓国、膨らむ政府債務と家計負債、募る国民の不満(前)
国際

2021年7月26日 



日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
 
韓国政府が、コロナ禍で景気を刺激するために取った浮揚策の資金は不動産や株式市場に向かい、政府の価格抑制政策にも関わらず、不動産は高騰を続けている。

しかし、自営業者などを始め、資産をあまり持っていない一般人の家計は負債のみが膨らみ、将来の不安を募らせている。今回は、韓国政府の政策と国民の募る不満を取り上げる。

韓国の新型コロナウイルスの最新動向

 韓国では新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからず、今月7日から17日連続で毎日1,000名以上の新規感染者が発生している(23日時点)。

インドで確認された変異ウイルスのデルタ株が猛威を振るい、感染拡大が衰える気配はない。

 23日の感染者は全国で1,630人となり、ピークであった21日の1,842人よりは減少したが、依然として感染数は高止まりである。

韓国の累積感染者は18万5,733人となった。

感染拡大を何とか抑えるため、韓国の防疫当局は首都圏の規制レベル4段階として、午後6時以降の3名以上の会合禁止を、26日から2週間延長することを決めた。

 韓国政府・中央防疫対策本部の関係者は、昨年末の3次流行当時の平均感染者数は1日あたり約660人であったが、今回の4次流行の平均感染者数は1日あたり1,410人のため、2倍以上に規模が拡大したと強調した。

とくに、現在は夏の休暇時期であるため、感染拡大が強く懸念されている。ちなみに、韓国でのワクチンの1次接種率は32.6%、2次接種率は13.2%となっている。

 感染拡大が続いているなか、政府の厳しい政策はやむを得ないとしながらも、一部では政府の防疫対策に対する不満も噴出している。

規制レベル4段階が実施された後、賑わっていた食堂や居酒屋などは客足が途絶え、閑散としているためだ。

しかし、感染拡大が止まらず規制が2週間延長されれば、店側は1カ月間休業したことと実質的に同じ状況となる。

政府に対する不信感の増加

 政府は不動産価格を抑制するため、諸々の政策発表をしているが、不動産価格はそれをあざ笑うように高騰を続け、庶民の政府に対する鬱憤は溜まっている。

ソウル市内のほとんどのマンションは10億ウォン(約9,595万円)を上回り、若年層は親からの支援なしに家を買うことは、ほぼ絶望的となっている。

 若年層は職を見つけるのも難しく、仮想通貨への投資に傾倒している。

しかし、韓国政府は仮想通貨の政策にも右往左往し、規制することしか念頭になく、仮想通貨にかけようという若年層の最後の夢まで奪おうとしているため、若年層は政府に対して裏切られたような思いを抱いている。

 防疫においても、韓国政府の功績を認めつつも、一部ではこれほど厳しい規制で経済を疲弊させていることに対する疑問の声も上がっている。

「防疫」を言い訳にして、一切の集会を禁じることが実は政府の狙いではないかと、うがった見方をする向きもある。

 幸いにして、新型コロナウイルスの致死率は低いため、規制レベルを下げて、正常な経済活動を営みながら、そのなかで感染した人は自身で対応するのが正しいのではないかという意見まで出始めている。

 国民の不満の矛先は、防疫や不動産政策のみではなく、対外関係にも向けられている。

それは、韓国政府は北朝鮮に同調し、中国に味方することによって、長年築いてきた米国との信頼関係を損ない、大事な隣国である日本との関係においても軋轢を生じさせており、何1つうまく行っていないという不満である。

 現在、「世界半導体戦争」のさなかで、米中は半導体の覇権をめぐって激突しているが、サムスングループの司令塔が刑務所に服役しており、この状況が続くのは好ましくないというのが、世論の主流である。
与党の政策に対して韓国経済を壊すような悪い意図があるのではないか、と疑問を投げかける傾向が一部で強くみられる。
(つづく)

韓国、膨らむ政府債務と家計負債、募る国民の不満(後)
国際

2021年7月27日 06:00

日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

 韓国政府が、コロナ禍で景気を刺激するために取った浮揚策の資金は不動産や株式市場に向かい、政府の価格抑制政策にも関わらず、不動産は高騰を続けている。

しかし、自営業者などを始め、資産をあまり持っていない一般人の家計は負債のみが膨らみ、将来の不安を募らせている。

今回は、韓国政府の政策と国民の募る不満を取り上げる。

時限爆弾になりかねない負債増加の状況

 政府は国民から税金を徴収し、公務員の給与、庶民への支援、道路など社会インフラの整備などをそのお金で行い、国家運営をする。

収入に比べて支出が多くなると、国は国債を発行して借金をするが、国も借金が多くなると首が回らなくなる。

国の借金が適切であるかを見極める指標が国内総生産(GDP)と政府の債務の対比である。

韓国のGDP対比一般政府債務比率は2020年が48.7%、21年が53.2%、26年には69.7%と増加することが予想されている。

 一般論でいうと、発展途上国は債務比率が高い。

開発などのために外国から資金を借りることが多いためだ。


しかし、債務比率に気を取られて借金を少なくすると、債務比率は低くなるが、発展が遅くなる傾向があるため、全体のバランスが大事である。

 従来、韓国はどちらかというと、債務比率は低い方だった。

ところが、文在寅大統領が就任して以降、国家債務が急激に膨らみつつあるようだ。

加えて、家計負債も急激に増えており、専門家は警鐘を鳴らしている。

韓国の家計負債の残高は昨年末に1,726兆1,000億ウォン(約165兆5,000億円)となり、初めて1,700兆ウォンを上回るようになった。

 第3四半期と比べて44兆2,000億ウォン(約4兆2,000億円)の増加と、史上3番目の大幅な増加になるという。

不動産が高騰したことにより、不動産を買うために銀行借り入れを増やしたためだ。今は利子率が低いため問題ないが、もし利上げが実施されたら、莫大な家計負債は韓国経済の「時限爆弾」になりかねない。

負債増加の原因とは?

 上記のように、不動産の高騰と教育費の負担により、韓国の家計負債は膨らんでいる。

国土が狭く、天然資源に恵まれない韓国では、土地に対する執着心が強く、また教育への投資しか成功への道がないと考えられていた。それが不動産の高騰と異常な教育熱を引き起こしている。

 低い出生率と高齢化社会の進展も今後、家計負債の増加につながるだろう。少子化が進んでおり、韓国の合計特殊出生率は、なんと0.84人を記録した。

これは生産人口が減少することを意味しており、社会が衰退に向かうことになる。

 加えて、高齢化の進展は社会福祉費の増加を招き、家計に負担をかけることになる。

韓国ではこのような要因が重なり、負債が増加している。

すべての負債の増加が悪いことではないが、負債が「爆発」しないよう注意が必要であることはいうまでもない。


増える孤独死の悲劇…「マンションはお墓のよう」=韓国(1)

2023-01-08 16:46:44 | 日記
増える孤独死の悲劇…「マンションはお墓のよう」=韓国(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2023.01.

「ここの雰囲気はまるでお墓のようです。

マンションで多くみられる騒音トラブルも、遊び場で飛び回る子どもたちもいないですから。

住民のほとんどが1人暮らしですが、隣にだれが住んでいるのかは関心もないです。みんな死ぬ日だけを待つ感じです」。

ソウル・江西区(カンソグ)にある賃貸マンション団地に居住するチャンさん(76)は自身が住むマンションを「お墓」と描写した。

高齢者が集まって住むこの賃貸マンションは60代以上の1人世帯の割合が高い所のひとつだ。

チャンさんは「1~2カ月に1回は1人暮らしでだれにも知られずに死んだという話を聞く。私もやはりそんな日だけを待って生きているようだ」と打ち明けた。

ここで5年間警備の仕事をしてきたという70代の警備員は「隣から悪臭がするという苦情から、うわさをたよりに家族を捜してドアを開けてみたら人が死んでいたというのを数多く見てきた。

住民同士の交流もなく、家族もあまり行き来しないため孤独に死を迎えるのを見ると同年代として心が痛い」と伝えた。

◇中高年男性、孤独死予防サービスが至急

だれにも知られず静かに死んでいく人が毎年増えている。

保健福祉部は先月14日に初めて孤独死の公式統計を発表した。

これによると、昨年孤独死した死亡者は3378人で、5年前の2017年に比べ40%増加した。

この数は韓国の全死亡者31万7680人の1%で、死亡者の100人に1人はだれにも知られず1人で死を迎えているということを意味する。

世代別には50~60代が孤独死の58.6%を占めており、女性より男性が4倍多かった。

保健福祉部関係者は「50~60代の男性は健康管理と家事労働に慣れておらず、失業や離婚などで人生の満足度が急激に下落するという特徴がある」として中高年男性に対する孤独死予防サービスの必要性を強調した。

新林総合社会福祉館のファン・ホジン氏は「中高年層の男性は離婚や失業などを体験し失敗者のレッテルを貼られかねないとの考えから本人の問題を外に示すことに大きな拒否感がある。

他人との交流も敬遠し、隣人との交流も避けたため、手が付けられなくなるほど状況が深刻化してから明るみに出るケースが多い」と伝えた。

だがさらに大きな問題は、彼らの孤独死を防ぐために安否を尋ねる人の数は毎年変わらない点だ。

保健福祉部は昨年11月に生活苦から極端な選択をした水原(スウォン)の母娘3人の事件のような悲劇の繰り返しを防ぐとして「福祉死角地帯発掘・支援体系改善対策」を発表した。

危機世帯の把握に向け収集する情報を今年下半期に44種類まで増やし、危機が疑われる世帯がある場合、ドアを強制的に開けるような方策を発表した。

だが自治体の福祉人材補充に対しては「実態調査を通じて合理的な運用案をまとめたい」という言及にとどまった。

韓国社会保障情報院のチェ・ジョンウン副研究委員は「社会的孤立の有無を確認する変数は多角化しているが、これを管理、担当する人材の数はそのままで業務負担が大きい。

福祉死角地帯対象者が増える状況で人材問題を解決せずに政策だけ拡大するのは実効性が少ない」と話す。

各自治体は孤独死を防ぐため死角地帯に置かれた危機世帯を管理する福祉センターなどを新設しているが、実際の業務を遂行する人数はそのままかむしろ減った。

昨年基本所得党の竜慧仁(ヨン・ヘイン)議員室がソウル市内25区から提出させた資料によると、9月に社会的弱者層の緊急相談と支援に向けた福祉相談センターが新設されてから人材が増えた区は10区にすぎなかった。

15区は既存の人材が追加業務を一手に引き受けて処理しているという意味だ。

3倍ほどに増えた福祉死角地帯対象者を発掘し支援するのもすべて彼らの役割だ。

保健福祉部によると、巡回型保健福祉チームの公務員1人当たりの危機世帯調査件数は2018年の45.2件から2021年には113.4件に増えた。

竜議員は「人材は拡充もせず危機世帯発掘計画ばかり冗長に発表する卓上行政は孤独死が絶えない原因のひとつ。
悲劇を防ぐためには福祉の隙間を埋める人材補充とともに危機世帯の悲劇を予防する所得保障政策を積極的に用意しなければならない」と話した。 

増える孤独死の悲劇…「マンションはお墓のよう」=韓国(2)

労働力難に苦しめられる自治体は代案として高齢者公共雇用や公務職職員を活用して危機世帯管理に出ている。

ソウル市と各区で孤独死予防に向け最も多くの予算を投じている「わが町見守り団」の場合、中高年層のやりがい雇用事業で運営される。

だがこの事業もまた、直接危機世帯を訪ねて点検するよりは電話モニタリングを中心に進める。

ファン氏は「社会的に孤立した人たちは生活半径そのものが狭いため、訪ねて行って手伝いをすべきだが、人材問題のため困難な場合が多い。

住民や民間団体と力を合わせても実務者の数が絶対的に不足した状況」と話す。

ソウル市関係者は「政策上、公務員が危機世帯モニタリングを担当しているが、人材が不足しており民間のサポートを受けている。人材増員要請が根強く入ってきているが他の事業との公平性からむやみに人材を増やすことはできない状況」と答えた。

社会的孤立に陥っている人たちとどうにかつながるとしても彼らを家の外に連れ出すのはもっと難しい。

孤独死予防事業の大部分が危機世帯を「発掘」することにだけ集中し、交流を続けさせたり、社会的再起を助けたりするのは不可能に近いためだ。

ソウル・江西区にある社会福祉館で働く社会福祉士のイさんは「住民センターの福祉プランナーや社会専従公務員が1人当たり200~300人の危機世帯をモニタリングする状況では直接訪ねて行くどころか電話で安否確認するのも難しい。

社会的交流が絶えた人たちとは3~6カ月以上かけて親密さを形成しなくてはならないが、単純に生死だけ確認する管理政策は対象者も拒否感を感じるほかない」と吐露した。

◇英国や日本は部署新設して積極的に対処 

高齢化と1人世帯増加傾向が続く状況では孤独死危険群はさらに増えるほかない。

政府が人材を投じて彼らを綿密に管理できないならば、結局地域の社会構成員が自発的に安否を尋ね、着実に関係を続けさせることが重要だ。

仁川(インチョン)大学社会福祉学科のチョン・ヨンホ教授は

「孤独死危険世帯を発掘し安否を確認する程度にとどまってはならない。英国や日本のように部署を新設して国民のさびしさと孤独に積極的に対処し、彼らが社会的関係を結べるよう助けを提供しなければならない」と主張した。

全北(チョンブク)大学社会福祉学科のキム・ユンヨン教授も「孤独死危険世帯を発掘しても彼らを支援する公的・民間支援はわずかな状況。地域別で偏差が大きい支援サービスを補完しなければならない」と話した。

65歳以上の高齢者にだけ集中した孤独死予防政策のパラダイムにも変化が必要だ。

昨年のソウル福祉財団の研究によると韓国の孤独死危険群発掘事業は高齢者と障害者などに焦点が合わされており、孤独死の割合が最も高い50~60代の中高年層の男性は政策の死角地帯に置かれていると確認された

チョン教授は「危険群の割合を考慮し政策対象と方向を設定し直し、彼らが再び社会に出てこられるよう助けることが重要だ」と付け加えた。