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アメリカに追随…金利急上昇の韓国で悲鳴 不動産バブル崩壊か

2023-01-23 17:52:20 | 日記
アメリカに追随…金利急上昇の韓国で悲鳴 不動産バブル崩壊か

日本でも先週、金利が大きなニュースになったが、韓国では日本よりひと足早く、政策金利の大幅な引き上げに踏み切っている。

韓国の中央銀行にあたる「韓国銀行」は、政策金利を、過去最低だった0.5%から3.5%まで急速に引き上げた。

日本が-0.1%に据え置いているのとは対照的で、韓国はアメリカの利上げに追随した形だ。

しかし今、その副作用が深刻になってきている。

もともと韓国では、2022年の夏頃まで不動産価格の高騰が続いた。ソウルのマンションの平均価格はこの5年間で2倍以上に跳ね上がり、平均で1億円を超えるまさに「不動産バブル」状態だった。

ところが政策金利の引き上げに伴い、不動産価格が下がり始めたのだ。
マンション価格の変動率を見てみると、2019年から急激に上昇していたものが、2022年後半から大きく落ち込んでいる。この動きはまだ続くとみられ、「不動産バブル崩壊」の兆しと捉えられている。

“魂までかき集めて”不動産投資…無理な投資×金利上昇で住宅ローン苦深刻

かなり急激な、バブル崩壊への動き。そこには、韓国の不動産バブル特有の事情がある。

韓国では、高騰する価格に刺激され、不動産は住む場所以上に「投資の対象」となった。

「魂までかき集めて」、つまり「ギリギリまで借金をしてでも家を買おう」という言葉が流行するほど、収入に見合わない投資をした人が多く、価格が上がり続けた。

しかしあまりにも価格が上がりすぎたため、一般市民には買うことが難しくなった。さらに、利上げにより買うための借金がしづらくなったため、購買意欲が下がり、マンション価格の暴落が起きているのだ。

韓国では、住宅ローンなどの融資を受ける人の7割以上(74.2%)が「変動金利」を選んでいる。

元々、ギリギリまで資金を借り入れていたところにローンの金利が上がり、返済に困る人たちが増えている。

年収の9割を返済に充てる女性「後悔」…

平均でも6割以上が返済に
50代の女性・キムさん(仮名)は、約1年前にマンションを購入。

分譲価格は約6300万円で、貯蓄の他、家族と知人に1200万円、金融機関から1900万円を借りた。

しかし、当初2.61%だった変動金利が、4.3%まで上昇してしまった。

そのためローンの返済が苦しくなり、今は朝5時から夜10時まで、清掃のアルバイトを2つ掛け持ちせざるを得ないという。

マンションを購入した キムさん(仮名・50代):
未来に対し不安です。ずっと不安。年も取ったから(家を買ったことを)最近、後悔しました。

キムさんの収入は月30万円ほどだが、借金の返済は、知人などへの分を合わせると月々27万円。実に収入の9割を、返済に充てている状況だ。

さらに、韓国銀行のデータによると、住宅ローン利用者は、平均でも年収の6割以上を返済に充てているという。住宅ローンの金利は今後も上がる見込みで、マンション価格の下落に歯止めがかかる兆候はみられない。

状況悪化に拍車 韓国特有の賃貸制度「チョンセ」でバブル崩壊へ
そして、状況をさら悪化させている背景がある。注目すべきは、韓国特有の賃貸制度「チョンセ」だ。この「チョンセ」という制度、一体どのようなものなのか。

家の借主が毎月の家賃を払う代わりに、不動産価格の6~7割ほどのまとまった保証金を、一括で大家に預ける。そして賃貸期間が終わると、預かった保証金は借主に全額返金される。つまり、借主は「家賃ゼロ」で家に住める制度なのだ。

一方で大家は、保証金を元手に新たなマンションを買い、値上がりした時に売れば利益になる。また、その物件をさらにチョンセとして貸し出し、新たな保証金を手にすることもできる。

この方法で次々と不動産を増やした人が多く、ソウルでは、賃貸のうちチョンセが約6割を占めるとも言われているのだ。

「チョンセ」でアパート3戸購入の男性 物件価格暴落で先行き見えず
運用がうまくいけば、いいことずくめにも思える「チョンセ」。

しかし韓国では今、返済に困る大家が急増している。

この制度、不動産価格が上昇している時はうまくいくが、大きく下がれば、大家は保証金以上の負債を抱えることになるからだ。
35歳男性・ファンさん(仮名)は、1年足らずの間に、自宅とは別にアパート3戸を購入。

費用は約6350万円で、いずれも「チョンセ」の保証金を元手に物件を増やした。

しかし金利の引き上げに伴い、ローンの返済額が急増。月々の返済は約35万円で、収入の8割ほどを返済に充てている。今は副業のアルバイトに追われ、毎日4時間ほどしか寝られていないという。

ファンさんが購入した住宅の1つは3700万円だったが、そのうち3000万円は、借主から預かった「チョンセ」の保証金だ。

契約の満了に伴い全額を返金しなければいけないのに、物件価格は今2950万円まで下がり、保証金にも足りていない。新たな借主も、転売先も見つからず、まさに先が見えないまま金利を払い続けている状況だ。

このような例は少なくなく、中には保証金を借主に返せなくなる大家も多く、社会問題化している。

韓国銀行の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は18日、今後の不動産市場について「(価格の)下落により、市場に困難な状況を招く可能性が高い」と発言していて、このままいくと韓国経済全体を脅かしかねない状況だ。

状況違えど…今後の日本の参考に?
榎並大二郎 キャスター:
日本は韓国とは状況が違いますが、仮に日本で金利が上がった場合、韓国と似たような状況になる恐れはありますか?
FNN 一之瀬登 ソウル支局長:
日本では不動産バブルが起きているわけではないので、仮に利上げがあったとしても、すぐに韓国のような状況になることはないとみられます。
ただ金利の上昇幅によっては、不動産市場が冷え込むこともあり得るので、韓国の動向は今後の日本の参考になるかもしれません。

教育学者・齋藤孝 明治大学教授:

チョンセの制度がそもそもバブルを起こしやすいんじゃないか。又借りの又借りで、成立してしまう。自分が住むためじゃなくて、投資でどんどん膨らめていく。これではやはり、バブルははじけますよね。欲をかいて、適正価格より高く借り入れてしまうと大変なことになる。

榎並大二郎 キャスター:
リターンもあるかもしれませんが、それだけリスクもあるということですね。韓国の例、注意深くみておく必要がありそうです。
(「イット!」1月20日放送より)

[寄稿]反対方向に進む韓国政府の経済政策

2023-01-23 16:03:47 | 日記
[寄稿]反対方向に進む韓国政府の経済政策

1/10(火) 15:44配信

イ・ガングク|立命館大学経済学部教授

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は先日、「国家は消えても市場はなくならない」と語った。国家の役割を減らして民間主導の経済成長を推進するという基本方針を、極端に示す発言だ。実際、政府の2023年の経済政策の方向は、危機克服と経済再跳躍を目的として、民間と企業中心の経済運用を強調する。マクロ政策では、管理財政の収支赤字を国内総生産(GDP)の3%以内に抑制する健全財政方針を維持し、住宅市場の調節の解除を推進し、税制と金融インセンティブによって企業投資を促進する案を提示した。  2023年度予算案にもそのような方向が現れている。2023年度の予算総額は638兆7000億ウォン(約68兆円)で、2022年度の本予算より5.2%増加した。過去の政権と比較すると、増加率が低下し、昨年の追加予算まで含めるとむしろ減少した。特に、政府は法人税引き下げを推進し、与野党協議によって法人税の税率が1ポイントずつ低くなり、総合不動産税も引き下げられた。法人税と総合不動産税の減税による今後5年間の累積減税額は、20兆ウォン(約2兆1000億円)に達すると予測される。  問題は、高いインフレ率と深刻な景気鈍化が懸念される状況のもとで、税金を削り政府の経済的役割を減らす方向が適切なのかと思われることだ。国際通貨基金(IMF)は、2023年の世界の経済成長率を2.7%に下げた見通しを出し、全世界の国のうち3分の1は景気低迷に直面すると予測する。韓国政府は、2023年の経済成長率を1.6%と他の機関よりも低く見通しているが、これは1960年以来5番目に低い成長率だ。  押し寄せる衝撃に対応し、他の先進国は、財政拡張を通じてマクロ経済を積極的に管理して市民の暮らしを支援し、増税を推進する努力を重ねている。米国は公共投資と増税のためにインフレ抑制法を通過させたし、日本もエネルギー充足率の補助と賃金引き上げを支援するため、大規模なインフレ総合対策を導入した。ドイツは、数回にわたりエネルギー補助金を導入して電気とガスの価格上限制を実施し、昨年12月には家庭のエネルギー料金を政府が代わりに支払うことにした。フランスやイタリアなども、エネルギー価格の急騰に対応し、財政を通じて市民を支援している。特に欧州国家は、インフレと共に高い収益をあげたエネルギー企業に超過利潤税を賦課し、財源を設けている。  英国誌「エコノミスト」は、緊縮的な通貨政策と拡張的な財政政策が共に導入されるこのような現実を、マクロ経済政策のレジームチェンジ(体制変化)と呼ぶ。これは、最近大きく変化したマクロ経済学の流れを反映している。政府が消極的に対処し不況の傷が深くなれば、長期的な生産性上昇と経済成長にも悪影響を及ぼすという新しい理解に基づき、「大きい政府」が帰還したのだ。  実際、コロナ禍に対応し、先進国は平均でGDPの約17%に相当する大規模な財政支出を施行した。韓国政府はその比率が4.5%に過ぎず、今年の財政政策も緊縮的だ。景気変動による効果を統制し財政政策が拡張的なのかどうかを示す構造的財政収支は、今年はGDP比0.3%の黒字と予想される。一方、他の先進国は大幅な赤字が予想され、拡張的な財政政策を持続している。  韓国政府が財政健全化と減税を共に推進すれば、他の財政支出の抑制につながらざるをえない。2023年度予算でも福祉支出が増加したが、相当部分が高齢層の拡大などによる自然増加分であり、景気鈍化によって困難に直面する低所得層への支援は十分でないという批判が提起されている。また、社会間接資本予算は10%減少し、政府の景気対応の役割も懸念される。  世界経済の転換はマクロ経済政策だけでない。ラナ・フォルーハーが最近の著作『ホームカミング(Homecoming)』で指摘するように、今では市場万能主義の代わりに政府の役割の強化、効率性の代わりに回復、資本と利潤の代わりに労働と所得、開放とグローバル化の代わりに保護と地域化という流れが明確だ。バイデン政権の景気浮揚策である「より良い再建」(Build Back Better)計画や、岸田政権の新しい資本主義、そして、欧州諸国の財政拡張など、各国は賃金を上げて所得再分配を強化し、政府が主導し成長と分配の好循環を推進している。韓国政府だけがこれとは反対の方向に走り進んでいる。  大統領は若い頃、ミルトン・フリードマンの『選択の自由』を読み強い感銘を受けたという。実際にフリードマンの思想は、減税や民営化など、レーガンとサッチャーの保守的経済政策に大きな影響を及ぼした。しかし、それは40年前のことであり、今は2023年だ