韓国の独り相撲ようやく終わり「元徴用工」問題〝公式〟幕引きも…〝ご褒美〟要求に日本は毅然と対応を 依然として中国にメロメロである点を見落とすな
いわゆる「元徴用工」問題が、公式の幕を下ろそうとしている。
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)前政権が自らつくり出した〝虚構の問題〟の解決策を、現在の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権がつくった。
韓国の独り相撲が終わるわけだ。尹政権の努力は評価できる。
しかし、尹政権が「グランドバーゲン」と称して〝ご褒美ちょうだい〟という態度で出てきたら、日本は「それはそれ、これはこれ」の強い姿勢で対応すべきだ。
振り返れば、朴正煕(パク・チョンヒ)元政権も、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元政権も、一部の「対日被害者」に慰労金を支給した。
1965年の日韓請求権協定により、当時のカネで5億ドルを一括受領した韓国政府は、その責任があることを自覚していたのだ。
慰労金支給を続けていたら、「元徴用工」問題は起こらなかった。
しかし、文政権は「韓国は依然として65年体制であり、韓日経済協定に風穴を開けなければならない」という左翼・反日イデオロギーの下で、最高裁判事を入れ替え、故意に問題をつくり上げた。
「反日」を盛り上げることが、外交・内政のさまざまな〝ほころび〟を押し隠し、政権の浮揚力アップにつながった。
ソウルの住宅価格1つとっても、文政権の5年間で2倍に高騰した。だが、政権は統計庁長を更迭し、2割しか上がっていないことにして、「反日」を煽った。
韓国が直面する不動産バブルの崩壊は、本来の価格への回帰過程とも言える。その尻拭いに当たらなければならない尹政権は大変に「気の毒」だ。
だからといって、「元徴用工」問題が、左翼・反日イデオロギーにより捏造(ねつぞう)された虚構の問題であることには変わりはない。
苦労して、事実上「韓国内だけで完結」する解決策をつくったからといって、日本が褒美を出すような筋ではない。改めて謝罪することでもない。
ジャパンマネー5億ドルのおかげで大企業に発展した鉄鋼大手「ポスコ」などが出捐(しゅつえん=金品を出すこと)することこそ、歴史的に見て筋が通った解決方法なのだ。
出捐金を集めた財団が被害者と称する人々に「賠償金」名目でカネを支払っても、彼らは「戦犯企業の謝罪がない」などとして受け取りを拒否するだろう。
財団は供託する。すると「供託無効」の訴訟…延々と続くだろう。
しかし、公式の幕を下ろしてしまえば、後は完全に「韓国内だけの政治的法廷闘争」に過ぎなくなる。
早ければ2月に日韓首脳会談が開かれるだろう。
その時、尹大統領は「元徴用工」問題の解決策のほかに、
1.文政権が定めた「対日交戦指針」の廃止
2.日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の正常化などの手土産をたくさん持ってくるだろう。
だから、「グランドバーゲンをして、貿易上の優遇措置を適用する『グループA(ホワイト国から改称)』に戻してください。そうでないと、国民に説明がつかない」と。
だが、1は、そもそも運用されていない指針だ②は韓国が勝手につくり出した「いつでも終了できる権利」を自ら清算するだけのことで、どちらも日本に実利があるものではない。
もっとも、グループAに戻したところで、現実の運用と変わりが生じるわけでもない。いざ、経済制裁をしようと決断したら、他の手段はたくさんある。
ただし、尹政権が中国に対しては、依然としてメロメロである点を見落としてはならない。米国主導の半導体同盟「チップ4」問題との関連を十二分に考慮しなくてはならないだろう。 (室谷克実)