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社会保障 負担増の議論~変わる将来の働き方

2023-01-29 17:22:32 | 日記
社会保障 負担増の議論~変わる将来の働き方

2022年11月10日 (木)

牛田 正史  解説委員

この秋、年金や介護などの社会保障制度で、負担の引き上げを巡る議論が相次いで始まりました。

制度を維持するために、高齢者の負担を増やせないかというのが大きな論点です。

これは老後の生活、そして「いつまで働き続けなければならないのか」といった、将来の働き方にも大きな影響を与える、極めて重要な議論です。

社会保障の負担増の検討。

私たちはこれをどう受け止め、何を考えていくべきなのかを、見ていきたいと思います。

年金・介護・医療。この私たちの生活に欠かせない社会保障制度で、この秋、負担の引き上げを検討する、国の議論が始まりました。

中心となっているのは、高齢の人たちの負担の見直しです。


まずはその具体的な内容を見ていきます。

《年金》
最初は年金です。国民年金の保険料の納付期間を、延長するかどうかが検討されます。

現在は原則、20歳から60歳になるまでの40年間となっていますが、これを65歳になるまで、5年延長するかどうかが焦点です。

仮に延長された場合、どんな人に影響が出るのか。

自営業者や非正規労働者など、国民年金だけに加入している人、それに、もともと会社に勤めて厚生年金に入っていたものの、60歳までに仕事を辞めた人などは、納付期間が5年延びることになります。

《介護》

次に介護です。

こちらは介護サービスを利用した時の負担割合について議論されます。
介護の費用負担は原則1割ですが、一定以上の所得がある人は2割、現役並みの人は3割となっています。

この2割と3割負担の人を拡大するかどうかです。

現在は、例えば2割負担の場合、単身では年収が280万円以上などとされていますが、こうした基準を見直すかどうかが話し合われます。

また65歳以上の人が支払う介護保険料も、一定以上の所得がある人は引き上げ、所得が一定以下の人は引き下げる方向で、検討が進められます。

《医療》
そして医療です。

すでに10月から、病院の窓口で支払う医療費の負担割合、これが、75歳以上の一部の人で、従来の1割から2割に引き上げられました。

また、自営業者や非正規労働者などが加入する国民健康保険。

その保険料の上限額を年間で2万円引き上げる方向で検討が進められます。

今回の議論では、負担以外にも、厚生年金の加入要件など制度の見直しが話し合われますが、今、お伝えした負担増の検討に、特に大きな注目が集まっています。

ではなぜ今、こうした議論が加速するのでしょうか。

それは今後、社会保障の財政が急激に厳しくなる恐れがあるからです。

ことしから団塊の世代が75歳に到達し始め、後期高齢者は今後さらに増加していくことが予想されています。

一方、生まれた子どもの数・出生数は、新型コロナの影響もあって、去年81万人あまりと、従来の予測(2017年に実施した推計では86万9000人)を大きく下回りました。

これによって将来、社会保障を支える現役世代が、想定以上に減り続ける可能性が出てきています。

こうした中で、高齢者の負担を可能な範囲で増やせないか議論することは、制度を維持していくために、もはや避けて通れない状況だと言えます。

ただ、どこまでの人に負担の引き上げを求めるのか。また、いつ負担を引き上げるのか。

この対象範囲や時期については慎重な議論が求められます。

負担の引き上げは、あくまで、対応が可能な人を前提とするべきです。

負担が重く、必要な医療や介護の利用を控えざるをえない、そんな人が出てきてはなりません。

特に今は、物価が上がっています。

経済、そして社会情勢を十分に考慮しながら、どこまでの負担増なら可能なのか、丁寧に検討を進めてもらいたいと思います。

《将来の働き方にも影響が》

ここまで、負担の引き上げを巡る議論について見てきましたが、ここからはもう1つ、重要なポイントについて考えていきたいと思います。

それは、社会保障制度の見直しが、私たちの将来の働き方にも、大きく影響してくるという点です。

これはどういうことなのか。

例えば、今回議論される国民年金の保険料の納付期間が、もし65歳まで延長した場合。

希望すれば少なくとも65歳までは働き続けられる法律は出来ましたが、それでも、60歳を機に、早めに仕事を辞めようと思っている人がいたとします。
そんな人が、保険料の負担が生じたため、仕事を続けることにした。

あるいは、介護サービスなどの負担割合が仮に増えた場合。

年金だけに頼らず、出来るだけ長く働いて収入を増やそうとする。

このように、社会保障の負担が増えれば、それだけ長く働き続けなければならないと考える人も、増えてくることが予想されます。

だからこそ、国は負担増の議論とともに、高齢者雇用の充実や、セカンドキャリアの支援強化も同時に進めていかなければなりません。
これらの対策の強化は、自治体や企業にも言えることです。

しかし、この点について私はまだ課題が多いと感じています。
高齢者雇用に詳しい、民間のシンクタンク・定年後研究所の池口武志所長は、「定年後の働き方は、40代・50代の頃の準備が大きく左右するケースが多い」と指摘します。
つまり、高齢者雇用の充実を図るには、40代・50代の時のキャリア支援が何より重要だというのです。

しかし現状は決して十分ではありません。

例えば企業です。シンクタンクが2年前に行った調査では、「モチベーションアップや自己発見のための研修」を行っている企業は半数近くありましたが、50歳以上の社員を対象に実施しているのは、わずか6%に留まりました。
「キャリア設計のための個別相談や研修」でも、16%でした。
こうした中高年層のキャリア支援は早急に拡充していくべきです。
また経験を広げるという意味で「副業」の促進なども、進めてもらいたいと思います。
一方で、特に中小企業では、社員のキャリア支援にまで、人や時間を割けないという所も少なくないと思います。
そこは国や自治体が企業に代わって、定年後を見据えたキャリア相談、それに学び直しの場を設けていく必要があります。
今、自治体や大学などは定年を迎えた60代を対象に、セカンドキャリアのセミナーや研修を相次いで開いていますが、これを40代・50代にも広げていくべきです。

そして私たち自身も、60代、場合によってはその先の働き方を、早い段階から考えていく必要があります。
ただ、何から始めればよいか分からないという人もいると思います。
シンクタンクの池口所長は「自分の強みは何かを考えることが、まず大きな一歩だ」と指摘します。
これは、技術や知識だけでなく、真面目さや面倒見の良さ、さらにはコミュニケーション能力の高さといった人間性も含みます。実はこの人間性の方が大事という人もいます。
このどこかに自分の強みを見つけ、それが生きる仕事を考える所から、始めてみるのも良いかもしれません。
もちろん、働きたくても働けないという方もいます。そうした人たちの老後の生活を社会が支えていくことも忘れてはなりなせん。
社会保障の負担増の議論は、今の高齢者だけでなく、現役世代の今後のキャリア設計にも大きな影響を与えます。
少子高齢化が続く以上、社会保障制度は今後も変わり続ける可能性があります。
私たちはその制度の変化にあわせて、老後の生活、そして将来の働き方を考えていかなければならない時に来ています。
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牛田 正史  解説委員


2022年11月10日 (木)

牛田 正史  解説委員


この秋、年金や介護などの社会保障制度で、負担の引き上げを巡る議論が相次いで始まりました。制度を維持するために、高齢者の負担を増やせないかというのが大きな論点です。
これは老後の生活、そして「いつまで働き続けなければならないのか」といった、将来の働き方にも大きな影響を与える、極めて重要な議論です。
社会保障の負担増の検討。
私たちはこれをどう受け止め、何を考えていくべきなのかを、見ていきたいと思います。

年金・介護・医療。この私たちの生活に欠かせない社会保障制度で、この秋、負担の引き上げを検討する、国の議論が始まりました。
中心となっているのは、高齢の人たちの負担の見直しです。
まずはその具体的な内容を見ていきます。

《年金》
最初は年金です。国民年金の保険料の納付期間を、延長するかどうかが検討されます。
現在は原則、20歳から60歳になるまでの40年間となっていますが、これを65歳になるまで、5年延長するかどうかが焦点です。
仮に延長された場合、どんな人に影響が出るのか。
自営業者や非正規労働者など、国民年金だけに加入している人、それに、もともと会社に勤めて厚生年金に入っていたものの、60歳までに仕事を辞めた人などは、納付期間が5年延びることになります。

《介護》
次に介護です。
こちらは介護サービスを利用した時の負担割合について議論されます。
介護の費用負担は原則1割ですが、一定以上の所得がある人は2割、現役並みの人は3割となっています。この2割と3割負担の人を拡大するかどうかです。
現在は、例えば2割負担の場合、単身では年収が280万円以上などとされていますが、こうした基準を見直すかどうかが話し合われます。
また65歳以上の人が支払う介護保険料も、一定以上の所得がある人は引き上げ、所得が一定以下の人は引き下げる方向で、検討が進められます。
《医療》
そして医療です。
すでに10月から、病院の窓口で支払う医療費の負担割合、これが、75歳以上の一部の人で、従来の1割から2割に引き上げられました。
また、自営業者や非正規労働者などが加入する国民健康保険。
その保険料の上限額を年間で2万円引き上げる方向で検討が進められます。
今回の議論では、負担以外にも、厚生年金の加入要件など制度の見直しが話し合われますが、今、お伝えした負担増の検討に、特に大きな注目が集まっています。
ではなぜ今、こうした議論が加速するのでしょうか。
それは今後、社会保障の財政が急激に厳しくなる恐れがあるからです。

ことしから団塊の世代が75歳に到達し始め、後期高齢者は今後さらに増加していくことが予想されています。
一方、生まれた子どもの数・出生数は、新型コロナの影響もあって、去年81万人あまりと、従来の予測(2017年に実施した推計では86万9000人)を大きく下回りました。
これによって将来、社会保障を支える現役世代が、想定以上に減り続ける可能性が出てきています。
こうした中で、高齢者の負担を可能な範囲で増やせないか議論することは、制度を維持していくために、もはや避けて通れない状況だと言えます。
ただ、どこまでの人に負担の引き上げを求めるのか。また、いつ負担を引き上げるのか。
この対象範囲や時期については慎重な議論が求められます。
負担の引き上げは、あくまで、対応が可能な人を前提とするべきです。
負担が重く、必要な医療や介護の利用を控えざるをえない、そんな人が出てきてはなりません。
特に今は、物価が上がっています。
経済、そして社会情勢を十分に考慮しながら、どこまでの負担増なら可能なのか、丁寧に検討を進めてもらいたいと思います。
《将来の働き方にも影響が》
ここまで、負担の引き上げを巡る議論について見てきましたが、ここからはもう1つ、重要なポイントについて考えていきたいと思います。
それは、社会保障制度の見直しが、私たちの将来の働き方にも、大きく影響してくるという点です。
これはどういうことなのか。

例えば、今回議論される国民年金の保険料の納付期間が、もし65歳まで延長した場合。
希望すれば少なくとも65歳までは働き続けられる法律は出来ましたが、それでも、60歳を機に、早めに仕事を辞めようと思っている人がいたとします。
そんな人が、保険料の負担が生じたため、仕事を続けることにした。
あるいは、介護サービスなどの負担割合が仮に増えた場合。
年金だけに頼らず、出来るだけ長く働いて収入を増やそうとする。
このように、社会保障の負担が増えれば、それだけ長く働き続けなければならないと考える人も、増えてくることが予想されます。
だからこそ、国は負担増の議論とともに、高齢者雇用の充実や、セカンドキャリアの支援強化も同時に進めていかなければなりません。
これらの対策の強化は、自治体や企業にも言えることです。

しかし、この点について私はまだ課題が多いと感じています。
高齢者雇用に詳しい、民間のシンクタンク・定年後研究所の池口武志所長は、「定年後の働き方は、40代・50代の頃の準備が大きく左右するケースが多い」と指摘します。
つまり、高齢者雇用の充実を図るには、40代・50代の時のキャリア支援が何より重要だというのです。
しかし現状は決して十分ではありません。
例えば企業です。シンクタンクが2年前に行った調査では、「モチベーションアップや自己発見のための研修」を行っている企業は半数近くありましたが、50歳以上の社員を対象に実施しているのは、わずか6%に留まりました。
「キャリア設計のための個別相談や研修」でも、16%でした。
こうした中高年層のキャリア支援は早急に拡充していくべきです。
また経験を広げるという意味で「副業」の促進なども、進めてもらいたいと思います。
一方で、特に中小企業では、社員のキャリア支援にまで、人や時間を割けないという所も少なくないと思います。
そこは国や自治体が企業に代わって、定年後を見据えたキャリア相談、それに学び直しの場を設けていく必要があります。
今、自治体や大学などは定年を迎えた60代を対象に、セカンドキャリアのセミナーや研修を相次いで開いていますが、これを40代・50代にも広げていくべきです。

そして私たち自身も、60代、場合によってはその先の働き方を、早い段階から考えていく必要があります。
ただ、何から始めればよいか分からないという人もいると思います。
シンクタンクの池口所長は「自分の強みは何かを考えることが、まず大きな一歩だ」と指摘します。
これは、技術や知識だけでなく、真面目さや面倒見の良さ、さらにはコミュニケーション能力の高さといった人間性も含みます。実はこの人間性の方が大事という人もいます。
このどこかに自分の強みを見つけ、それが生きる仕事を考える所から、始めてみるのも良いかもしれません。
もちろん、働きたくても働けないという方もいます。そうした人たちの老後の生活を社会が支えていくことも忘れてはなりなせん。
社会保障の負担増の議論は、今の高齢者だけでなく、現役世代の今後のキャリア設計にも大きな影響を与えます。
少子高齢化が続く以上、社会保障制度は今後も変わり続ける可能性があります。
私たちはその制度の変化にあわせて、老後の生活、そして将来の働き方を考えていかなければならない時に来ています。
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牛田 正史  解説委員


“賃上げしろ!”労働者の怒り…日本企業の内部留保「500兆円突破」は何が問題か?

2023-01-29 16:56:13 | 日記
“賃上げしろ!”労働者の怒り…日本企業の内部留保「500兆円突破」は何が問題か?

2022/9/8(木) 11:16配信


2022年9月1日に財務省が公表した「法人企業統計調査」の結果によると、2021年度の日本企業の内部留保の額が516兆4,750億円と過去最高を記録しました(金融・保険業を除く全業種)。この調査結果についてどう考えるべきか、解説します。

内部留保とは何か


日本企業の内部留保の額が500兆円を超え、過去最高を記録したことを受けて「企業が内部留保を貯め込んでいるのが問題だ」
「賃上げなどによってもっと従業員に還元すべきだ」
などといった論調が見られます。
しかし、そのような問題意識は核心をついているといえるでしょうか。

実際にその額が貯め込まれているのではなく、あくまでも計算上蓄積された数字です。

 また、内部留保は、企業の資金調達の方法として極めて重要なものといえます。 
すなわち、企業が資金を確保する方法は、大きく分けて以下の3つしかありません。
 1. 内部留保(利益剰余金)
 2. 投資家等からの出資(新株発行等)
 3. 金融機関からの融資 このうち、
中小企業の大部分を占めるオーナー企業にとっては、外部の投資家等からの出資を受けることは困難です。 

また、金融機関からの融資も、財務状況が良好でなければ有利な条件で受けることができません。

結局は、それまでにどれほど業績を積み上げてきたかにより大きく左右されます。

内部留保はその重要な証です。

 したがって、内部留保を積み上げることは、企業が資金を確保する方法としてきわめて重要だといえるのです。

内部留保は優良企業の目安の一つ?


このようにとらえると、内部留保の金額は、主に「創業からの年数の長さ」と、
「各年度の利益の大きさ」の関係によって決まるといえます。

ただし、これに加え、外部的事情の影響を受けることがあります。

 すなわち、創業からの年数が長く、かつ、利益を順調に出し続けていれば、内部留保の額は大きくなります。

したがって、内部留保の額が大きいことは、優良企業であることの目安の一つともいえます。

専門的な言葉を使えば「自己資本比率が高い」ということになります。 

ただし、内部留保の増加は、外部的事情によっても左右されることがあります。

たとえば、新型コロナウィルス禍の下で多くの企業が国や自治体から給付金を受け取っており、全体として利益を押し上げる方向にはたらきます。

 また、昨今のような急激な円安の下では、国外に資産を保有している企業や、輸出により収益を得ている企業は、円安に振れるだけで、何もしなくても数字の上では内部留保の額が著しく増大する可能性があります。

重要なのは内部留保自体よりも資金の活用状況



以上のように、内部留保は企業が収益を上げてきた「過程」を示すものにすぎません。

重要なのはむしろ「結果」、すなわち内部留保を積み上げたあとどのように資金を有効活用したかです。

 どういうことかというと、企業は、利益が出た場合、税金等の支払いや配当を行ったあと、残ったお金を、現状維持や将来の収益を得るための資金として活用します。

必ずしも現預金として貯め込まれているとは限りません。

 また、資金の活用方法は、必ずしも、直ちに経費に計上される人件費や福利厚生費だけとは限りません。

 日常の資金繰りや、工場・機械設備等の設備投資のために使う場合もあります。

その場合、お金は有効に活用されていますが、直ちには資産の減少を伴わないので、内部留保の額は減りません。

 さらに、ここでも外部的事情の影響を考慮に入れなければなりません。

 すなわち、企業経営には予期しないアクシデントが付きものです。

たとえば、天災や大規模な自然災害や、コロナ禍、原材料費等の経費の高騰です。

そういった事態に備える必要もあります。

 そこで、企業が資金をどのように活用しているのか、あるいはしていないのか、それがどのような経営判断に基づくものか、確認する必要があります。

 たとえば、「設備投資」について見ると、「法人企業統計調査」によれば、2019年度が-10.4%、2020年度が-5.0%だったのに対し、2021年度は+9.2%と増加に転じています。

このことからすれば、一概に日本の企業が設備投資を怠っているとは言い切れません。 

なお、設備投資がマイナスとなっている業種が5つだけあります。

「食料品」「石油・石炭」「鉄鋼」「業務用機械」「電気機械」ですが、これらは原材料の価格の高騰等が影響している可能性が考えられます(図表参照)。 

経済情勢の先行きが不透明なことや原材料が高騰していることなどを理由として、現時点での賃上げや大規模な設備投資を控えるという判断も、著しく不合理とまでは言えません。

結局、内部留保の増大が意味するところは?


ここまでお伝えしてきたように、内部留保は、企業ごとの過去の利益の蓄積であり、企業が長期的に利益を上げ続ければ必然的に増加していくものです。

また、外部的事情によっても大きく左右されます。 

したがって、現時点での企業の内部留保の額が過去最大となったからといって、そのことから直ちに一概に「こうしなければならない」という指針を導き出すことには慎重であるべきです。

 特に、賃上げや設備投資の停滞といった問題については、内部留保の増大とは別の問題としてとらえ、その発生原因に着目した有効な対策を講じるべきです。

GGO編集部


ドイツと日本の大問題「若者にカネが回らない」超高齢大国

2023-01-29 16:43:48 | 日記
【敗戦国の末路】

ドイツと日本の大問題「若者にカネが回らない」超高齢大国

2018年12月02日

・ドイツと日本、超高齢大国が抱える「若者にカネが回らない」大問題 ベストな着地点は見つかるのか

 川口 :マーン 惠美

・「福祉国家ドイツ」の闇

ガブレエレ・Dは1960年代のはじめ、次女として生まれたが、母親の手ですぐに施設に預けられた。

母親は、長女と三女を里子に、長男を養子に出し、四女は手元で育てた。

つまり、5人の子供のうちの4人はいずこかの家庭で育ったが、ガブリエレだけが家庭はおろか、母親もろくに知らなかった。

父親はしばしば刑務所に入っていた。

ところが、それから50年以上経った2016年、突然、ガブリエレの元に、母親の老人ホーム代の請求がきた。

ドイツの法律は、子供に親の扶養を義務付けている。

自立できず、在宅でのヘルパーによる介護も機能しなくなった高齢者は老人ホームに引き取られるが、ドイツのホームは、たとえ教会など非営利団体が経営しているものでも、料金が非常に高い。

日本の「特養」のように、お金のない人にとって有難い、公的な役目を果たしている老人ホームもほとんどない。

安かろう、悪かろうという施設はあるが、それはたいてい民間経営のものだ。

いずれにしても、高齢者本人の年金は、たいていホームの支払いに追いつかない。

しかも切り崩す財産もない場合、子供がいるとわかれば、当然のように、そちらにホーム代の請求が回ってくる。

ガブリエルの母親も、月々1800ユーロ(約23.4万円)の持ち出し分を自分では払えなかった。

今年の7月のドイツの高級紙『フランクフルター・アルゲマイネ』の記事によると、目下のところ、老人ホームの入居者が支払っている月々の自己負担分の全国平均は1831ユーロだそうだ。

つまり、ガブリエルの母親の老人ホームは、平均レベルのものと言える。

そこでとりあえず福祉費が投入されたが、まもなくガブリエルを見つけ出した当局は、彼女に資産の開示を要求し、それに応じた金額として、月々785ユーロ(約10万2000円)を負担するよう命じた。

しかし、ガブリエレは支払いを拒否し、裁判に訴えた。

その間にも、彼女が支払うべき額はどんどん増え、利子も含めて1万3000ユーロ(約169万円)にもなった。

そして、ようやく今年6月、「施設で育った子供は親の生活費を負担する必要がない」という判決が出た。

ただ、州立裁判所がすぐに、この判決が妥当かどうか検討すると言い出しているので、判決はまだひっくり返る可能性もある。

司法が極めて慎重な理由は、この判決が判例になれば、全国の福祉予算に大きな影響を与える可能性があるからだ。

これまではたいてい、子供時代に親に面倒を見てもらわなかったからといって、扶養義務を拒否して裁判に持ち込んでも、子供側が負けることの方が多かった。

介護にはすでに膨大なお金がかかっているし、これから自立できない高齢者がどんどん増えることは想定済みなので、費用はなるべく公金ではなく、家族に負担させたいという自治体の方針は明らかだ。

現在、この法律を変えようという声が強まってもいるが、ただ、そうなると、その財源をどこに持っていくかという問題が起こる。

ドイツ人は、プライマリーバランスがプラスであることを誇りに思っている人たちなので、借金は嫌がる。

・医療・介護保険はどうあるべきか

ドイツと日本は、少子高齢化という、まさに同じ問題を抱えている。

現在、ドイツの要介護の高齢者は293.8万人で、日本は467.2万人。

人口比にすれば、ちょうど同じぐらいだ。

また、そのうち在宅介護が約3割というのも同じなので、日独の高齢者の構造は非常に似ているのだ。

さらに、両国にはどちらも団塊の世代があり、2025年問題が迫っている。

この状態で産業にブレーキをかけず、社会保障や福祉をつつがなく運営するのは至難の技だ。

おのずと両国の介護や医療はベストな着地点を求めて蛇行し、今も試行錯誤を続けている。

ドイツでは、出生率だけは2011年あたりから少しずつ好転しているが、それは、そのころから難民が増え始めたからだ。

イスラム圏の人たちは子供をたくさん生んでくれる。

しかも、子供を産めば、ドイツにとどまれるチャンスも増える。
連邦統計局の発表によれば、難民が爆発的に増えた2015年、新生児の母親の5人に1人が外国人だった。




ゼロコロナ失敗…中国経済はあと何年で崩壊する?

2023-01-29 16:34:09 | 日記
ゼロコロナ失敗…中国経済はあと何年で崩壊する?

外国企業の“中国離れ”と不動産バブル崩壊を経てどこへ向かうのか

栫井駿介

2022年12月20日ニュース

これまで中国経済は成長を続けてきました。
しかしその裏にあるのは、決して輝かしい経済成長とは言い切れません。

目先中国でゼロコロナ政策が行われて、一部では反対するデモが起きています。

今後、中国はどのような経済をたどるのか?

世界にどのような影響を与えるか?ということを、改めて考えてみたいと思います。

(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)

株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。


ゼロコロナ政策の失敗



2022年の頭に「ユーラシアグループ」というコンサルティンググループを主催するイアン・ブレマー。

ここが出している世界の重大リスクのトップにあがったのが、中国ゼロコロナ政策の失敗。

※参考:2022年10大リスク – ユーラシア・グループ(pdfファイル)


中国では少しずつ緩和の動きもあるのですが、公共交通機関に乗るために陰性証明が必要など、まともな経済状態を送れる状況ではありません。

それに対して抗議活動の声が広がっています。

単純にコロナ反対ということではなく、習近平国家主席の退陣デモという今まででは考えられないことが起きているのです。

国家主席として異例の3期目。

もはや永久皇帝化している習近平氏。

当然批判をしたら、何かしら危険な目に遭うというのは目に見えています。

そのリスクを冒してでも抗議の声が上がっています。
ゼロコロナの失敗が際立っている状況です


 戦車(tank)は第1次世界大戦中、塹壕(ざんごう)を突破するために英国が初めて開発した。

2023-01-29 16:24:14 | 日記
 2023/01/29 06:30

【萬物相】ドイツの戦車


 戦車(tank)は第1次世界大戦中、塹壕(ざんごう)を突破するために英国が初めて開発した。

新兵器開発を隠すため、給水車(tank)だとうその宣伝をして付けた名前が、本当の名前になった。

当時、戦線は鉄条網に塹壕、機関銃という「悪魔の三兄弟」で組まれていて、互いにすさまじい数の死傷者を出していた。

ソンムの戦いで初めて投入されたタンクは、鉄条網を踏みつぶし、機関銃の射撃に耐えながら敵陣を突破した。

だが、干潟のように足場の悪い戦場では機動性が落ち、故障もひんぱんだった。

 第1次大戦では戦車に恐怖したドイツは、第2次大戦において戦車を「ゲームチェンジャー」にした。

戦車に無線機を積み、集団を形成して連合突撃戦を展開した。

1939年、大規模な戦車部隊を先頭に立てたドイツ軍に、ポーランドは成すすべなく敗れた。

ノルウェー、デンマーク、ベルギー、オランダも次々と膝を屈した。

フランスが誇っていたマジノ線もあっけなく崩壊した。いわゆる「電撃戦」だ。

 ドイツ戦車の花形は「ティーガー」(Tiger)だった。

ドイツは開戦当初、破竹の勢いでモスクワの鼻先まで進撃した。

だがソ連にはT34戦車があった。

耐久性に優れるT34はドイツの戦車に立ち向かい、奮戦した。

T34に衝撃を受けたドイツは1942年、「怪物ティーガー」を開発した。

対戦車砲にもびくともせず、砲の命中率は圧倒的だった。

ティーガー1両で連合軍の戦車10両余りを撃破したこともあった。

ティーガー戦車は死神も同然だった。

こんにちサッカーのドイツ代表チームを「戦車軍団」と呼ぶくらいに、その当時の威力はすさまじかった。

 戦争には負けたが、冷戦が始まるとドイツの戦車は復活した。

ソ連の脅威に立ち向かい、「レオパルト」戦車を開発した。

数千両が作られた。

だがソ連崩壊とドイツ統一の後、戦車の必要性は減った。

ドイツはこの戦車を欧州各国に引き渡した。

そのレオパルト戦車が、ウクライナ戦争の始まった後、ロシアのT72、T80戦車に対抗できる兵器として再び脚光を浴びている。

NATO(北大西洋条約機構)陣営は声をそろえて、レオパルトをウクライナに渡すべきだとドイツを圧迫した。最終的にドイツも同意した。

 今やウクライナ戦争でぶつかることになったレオパルト2(A4型)とT72は、冷戦時代の古い戦車だ。

T72は既に、メンツがつぶれにつぶれている。

だがレオパルトも、同じ目に遭う可能性がないわけではない。

それでなくとも、ドイツ戦車軍団の名声は既に色あせた。

戦車部隊を減らしすぎて、正常に動く戦車が何両あるのか分からないほどだという。

戦車の生産性もひどい。逆に韓国のK2戦車は、最新型のレオパルトに劣らないと評価されている。

それでいて値段はずっと安い。生産性は比較にもならない。今や西側世界の戦車軍団は、むしろ韓国なのかもしれない。


朝鮮日報/朝鮮日報日本語版