勝又壽良のワールドビュー
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中国、「近隣国へムチ」日韓へのビザ発給停止、米国ヘは航空便正常化「差別外交は逆効果」
2023年01月12日
- 中国経済ニュース時評韓国経済ニュース時評
中国のコロナ感染が猛威を振るっていることから、日韓をはじめ16ヶ国が中国人入国に際し検疫を行なっている。
これに対し中国は、報復措置として日韓両国だけにあらゆる「ビザ発給停止」措置を取った。他国に対しては、目下のところ「報復なし」だ。
それどころか、米国には航空便正常化の作業を行なうという差別外交を行なっている。
こうした日韓への「戦狼外交」は、今後の中国にとって極めて不利に作用するであろう。
対中国への国民感情をさらに悪化させるからだ。それだけでない。
安全保障面で、中国への警戒感を強めて米の同盟国として結束させるであろう。
中国は、近隣国を「懲らしめる」という古代中国外交の素顔を見せており、近代外交とはほど遠い動きである。
『中央日報』(1月12日付)は、「中国、韓日にビザ発給停止 米国には航空便正常化『ラブコール』」と題する記事を掲載した。
中国が韓国と日本の国民の中国訪問ビザ発給を停止した中、米国に対しては新型コロナ局面で長期間中断している航空便運航の正常化に向けて積極的な動きを見せている。
(1)「12日の中国新聞網によると、中国民用航空局運輸司の梁楠司長は10日、共産党対外連絡部が外国商工界の関係者を招請して開いた懇談会で、「民航局は8日から中国と外国の航空会社の運航再開申請を受けているが、ここに中国と米国を行き来する航空路線運営再開に対する両国航空会社の申請も含まれている」と伝えた」
中国が、近隣国の日韓へはムチを当て、米国へはひざまずくという、相反する外交戦術を取った。
これは、中国経済の危機を裏返したもので、米国へ半導体輸出禁止措置の緩和を求めたいジェスチャであろう。
中国は、追込まれているのだ。同時に、国内向けに日韓へビザ発給停止措置で、中国が日韓よりも上位にあることを示すポーズを取っている。
(2)「中国が、コロナ局面で3年近く維持してきた入国者隔離と到着後の新型コロナPCR検査を廃止して国境を開いた日、米国に対して航空便正常化の「ラブコール」を送ったのだ。
梁司長は「民航局は現在、手続きを基づいて(航空便運航再開に対する)審査および承認作業を急いでいる」とし「中国と米国の航空会社が協定と市場の需要に合わせて両国間航空便を運営することを歓迎する」と述べた。
続いて「民航局は航空便の運航再開過程で米国民航主管部門との意思疎通を強化し、中米間の航空便の順調な運航再開を推進する」と強調した」
中国は、ともかく米国へ留学生を送って科学研究成果を窃取したいという強い衝動に駆られている。
これまで、中国人留学生を使って、米国技術の持出しを行なってきたからだ。
米国はこの点を全て把握している。FBI(連邦捜査局)は、その手口を大学や研究所へ周知徹底化させているほど。中国からの研究費贈呈にたいしても、FBIは目を光らせている。米国研究者で無申告の場合、逮捕されるのだ。
(3)「米国に対するこうした措置は、中国が最近、韓国国民の短期訪中ビザと日本国民の中国行き「一般ビザ」の発給を暫定停止すると明らかにした中で取られたという点で注目される。
中国発入国者に対する防疫を強化した国は、韓日だけでなく米国など15カ国を超える。
特に米国は中国発入国者に対して航空便搭乗2日以内に実施したコロナ検査の陰性確認書の提出を義務づけるなど防疫を強化した。
しかし中国は「差別的措置の実際の状況に立脚した対等な措置」とし、韓国・日本に対してのみビザ関連の報復措置を断行した」
香港『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』(SCMP)によると、朝鮮半島専門家である中国人民大学国際関係学科の時殷弘教授は10日、インタビューで「中国は他国との二国間関係の流れの中で相互措置を取る」とし、「韓国が真っ先に報復措置のターゲットになったのは先月、韓国国会議員の台湾訪問のためなのかもしれない」と明らかにした。
同時に、他国には「ビザ発行中断」など韓国水準の措置を取らない可能性が大きいとし、韓国がこれに対応して中国に取る措置が多くないという点が韓国の弱点の一つだと分析した。
さらに、「中国の寛容は(同じ行動でも)国によって差が大きい」とし、「他の西側諸国には報復してもその度合いは韓国よりさらに弱い可能性がある」と話した。
中国は、米国は自国に対して非常に敵対的な措置を取る時に限って報復するが、韓国は比較的に弱い措置を取っても強硬な対応をとるということだ。以上は、『中央日報』から引用した。