2022.03.09
韓国・文在寅、「最悪」で「最低」だった男の悲しい末路
さらば、文在寅金
愛ジャーナリスト
プロフィール
最後まで「何もしなかった」文在寅
「大統領府から出て、光化門大統領時代を開く」と宣言した文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、韓国の政治改革を主張したが、任期終了まで結局は何もなかった。
2017年5月大統領当選後、就任直前に文在寅大統領は、三権分立が毀損されている韓国の大統領府の権力集中現象に対して批判し、これを打破すると国民の前で約束した。
「権威的な大統領文化の清算」と「大統領の帝王的権力の分割」を公約としたが、集中している大統領の権限を分散するという、文在寅大統領の約束は守られなかった。
文在寅大統領は、この5年間、政治、経済、司法、権力をすべて独占し、好き勝手な空前絶後の独裁によって、韓国社会をひとつ残らず分裂させた。
何もしなかった
これは「帝王的大統領制(imperial presidency)」と呼ばれ、韓国政治の慢性的な問題点であり、悲劇とまで言われている。
米国の歴史学者アーサー・シュレジンジャーが、ニクソン行政府を分析したときに、広く知れ渡った言葉だ。
行政府の権限が立法府と司法府を圧倒して、三権分立がまともに機能しない状況であり、強大な権限を持っている大統領を皮肉ったのだ。
この単語は、今の韓国にぴったり当てはまる。
独裁を批判して、みずから「帝王」になった
韓国の歴代大統領は、与党内の反対派に背を向け、反論した。
政府与党の党首が、立法と行政府を同時に掌握し、垂直的に、党・政府・大統領官邸関係を掌握する。
そんな1人による政治独裁体制を批判したのは、文在寅大統領だった。
しかし、文在寅大統領は、自ら帝王になった。
親中、新北朝鮮を貫いた
中国や北朝鮮に劣らない独裁体制、独裁政治であるという非難が、多方面からあふれた。
必ず解決しなければならない歴史的な課題を提示し、1987年の「大統領直選制」と「5年単任制」という憲法の限界を打破し、「4年重任制改憲」を誓っておきながら、何の努力もしなかった。
任期の間、いろいろな不正疑惑が持ち上がったが、「検察改革」という名目で、捜査権を持つ検察と司法府を親しい与党人事で固め、不正疑惑から抜け出すことに成功した。
現在の韓国の保守野党圏で、文在寅大統領に突き付けた「ゲート級の不正」は、月星原子力発電所経済性評価操作、ライム・オプティマス資産運用事件、チョ・グク前法務長官一家不正疑惑、柳在洙(ユ・ジェス)監察もみ消し事件、などがある。
「検察」と「メディア」が怖かった
親文派の人事が多数含まれた該当裁判は、文在寅一派が掌握した検察庁と裁判所によって、起訴、捜査および裁判が、正しく遂行されていない。
文在寅一派人員がいたるところに配置され、捜査や監察をうやむやにさせているからだ。明らかに法治主義の崩壊である。
検察の手と足を縛った文在寅政府は、「メディア改革」をするとし、「メディアの自由完全剥奪」こと、虚偽事実報道には懲罰的な損害賠償をし、報道機関の運営を停止させるという内容の「メディア仲裁法」を、改正しようとした。
政府の権力を監視して、腐敗した権力を捜査する、民主主義社会の必須要素である「検察」と「メディア」を、自分の手中に収めて支配下に置くつもりだった。
すべてを支配したかった
これに加えて、民生経済と外交関係は、ほとんど破綻してしまった。
息子と娘関連の政府特典支援の数々の不正疑惑が炸裂したし、妻の金正淑(キム・ジョンスク)氏は、大統領府の影の権力者として、「金正淑ライン」という言葉が横行するほどだ。
最近では、金正淑氏の衣装費だけで、韓国人の税金数億ウォンが使われたという疑惑が起こった。
韓国国民は落胆し、大統領府の嘘と虚栄に、怒りを禁じることができなかった。
製造業を壊した
文在寅大統領は、数十回の不動産規制政策を出し、貸出を防いで、住宅価格をつり上げ、庶民のマイホームの夢を失わせた。
急激な最低賃金引き上げとともに、「週52時間制施行」によって、自営業者、中小企業、零細企業の経営活動を妨害した。
彼らのほとんどは跳ね上がった人件費に耐え兼ね、勤務時間制限もあり、円滑な企業活動に大きな支障を来たすことになった。
そんな文在寅政権は、北朝鮮に頭を下げ「平和外交」を行うとしたが、核実験とICBM再稼働を宣言した北朝鮮との関係は、前保守政権時より、さらに悪化してしまった。
金正恩にも嫌われた
脱原発政策こそ不正の温床なのに、これに伴うエネルギー価格急騰で、輸出中心の製造業国家である韓国産業の中枢的な役割を果たす、素材、部品、装備生産産業に、生産コスト増加のリスクが高まった。
太陽光、風力発電事業は、政府主導によるいろいろな不正疑惑が発生している。
李明博(イ・ミョンバク)政権の4大河川事業に支払われたお金が約22兆ウォンなのに対し、文在寅政権が指定した「公共部門働き口創出」事業は、その4倍にも達する予算で、臨時職、契約職など、ほとんど詐欺まがいの緩い働き口を作るのに使われた。
さらに一部では、文一派による左傾事業カルテルを作るのに、該当予算が注ぎ込まれたという指摘も、一度や二度ではない。
同じことの繰り返しじゃないか
コロナ騒動の当初は、K防疫だと自画自賛したが、未熟な対応と、日々変わる紛らわしい防疫政策のため、自営業者は道端に居座るようになったし、廃業の危機に陥った。
ワクチンパスなどの導入で、半強制的に接種させたコロナワクチンだが、その副作用について検討することもなく、原因不明で亡くなった国民がいるのにもかかわらず、文政権は知らない素振りをした。
コロナワクチン接種率は92%に達するが、オミクロン変異株による感染者は200万人を越え、毎日10万人余りの新規感染者が続出している。
コロナ防疫も失敗した
この渦中に、文在寅の後につづく李在明(イ・ジェミョン)「共に民主党」大統領候補は、「権限が分散した大統領任期4年重任制」改憲を前面に出した。同時に、国会の国務総理推薦、総理の閣僚推薦権保障、監査院の国会移転を約束した。
5年前の文在寅政権とそっくりだ。
李候補は、現在も前科4犯で、「実兄強制入院疑惑」、「兄嫁悪口ファイル」および「女優スキャンダル」、「組織暴力関与説」など、自治体長としても駄目な人物という評価が大半の意見だった。
それでも「基本所得」、「無料手当て」などの買票行為に、反民主主義的な共産主義左傾ポピュリズム扇動スローガンで、大衆の人気を得た。
「最悪」の大統領
大統領選挙活動中にも、「大壮洞ゲート」や「配偶者京畿道庁法人カード私的有用疑惑」などが、絶えず溢れ出ている。
今回の大統領選挙は、「最悪」ではない「最悪の次に悪い」人間を選ぶ大統領選挙とも言われている。
さらば文在寅
果たして有権者は、検証済みの「最悪」の候補者に票を入れるのだろうか。
文在寅政権シーズン2が到来しないことを、また、帝王的大統領を越えた独裁者大統領が登場することがないよう、ただ祈るだけだ。