「カーボンニュートラルCN・TCFDとトランジション・ファイナンス」シリーズ㉑
7月に開催した環境経営士対象フォローアップセミナーのテーマは「カーボンニュートラル
CNに向けた日本の政策」副題として2050CN実現に向けた金融施策-TCFD-トランジション・
ファイナンスでした。講師は国の政策立案者の講演からです。
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トランジション(移行)概念の重要性
⚫ EUでは、ファイナンスに係る「タクソノミー」(分類体系)を策定し、環境的に持続可能な
経済活動(いわゆる「グリーン」)を定義。事業会社に対し売上におけるグリーン比率の開示を、
金融機関に対し自らの貸出債権等の金融資産のグリーン比率の開示等を義務づけ。気候変動の緩和・
適応に係る目的のものは2022年1月1日から適用。
⚫ 一方で、全ての産業が一足飛びに脱炭素化できないのも現実。我が国は、脱炭素化に向けてのトラン
ジション(移行)の概念を提案し、世界に先駆けて具体的な制度整備を進めている。
クライメート・トランジション・ファイナンスの重要性と政策の全体像
⚫ パリ協定実現のためには再エネを中心とする「グリーン」のみならず、省エネやエネルギー転換など
着実な低炭素化を実現する「移行(トランジション)」が重要。
⚫ トランジション市場は未だ黎明期であり、民間での資金供給に向けた環境整備が必要。
⚫ トランジションの概念形成、ファイナンス促進のために、2021年5月に基本指針を策定。トランジションの
適格性を判断するためのロードマップの策定とモデル事業を実施。
(1)基本指針の策定
✓ トランジションへの資金供給・調達を確立を目指し、国際原則と整合的な国内向
けの指針を策定(経産省、金融庁、環境省)。
(2)ロードマップの策定
✓ トランジションの適格性を判断
するための参考として、経済産業省において有識者等による検討会を設置し、CO2多排出産業向けの分野別
ロードマップを策定。
✓ 2050年カーボンニュートラルを前提に、現時点で実用可能な最良技術から将来技術まで、我が国の政策、
国際的な動向、パリ協定との整合を踏まえ策定。
✓ 2021年度は鉄鋼、化学、電力、ガス、石油、紙パルプ、セメントの7分野を策定。2022年度は自動車分野を
策定予定。
(3)モデル事業
✓ トランジション・ファイナンスの普及のため、好事例の蓄積、発信を行うためモデル事業を実施。
✓ モデル選定案件はトランジションの適格性を判断する外部評価機関に要するコストの最大9割支援。
✓ 2021年度は12件のモデル事例を選定、調達金額(予定を含む)は約3,000億円。
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