あのね、あんまり知られてないけどこの浜は稚貝の多さでは日本で三指に入るんだよ。
そう教えてあげたら留学生さんは砂浜を探し始め、数分後に嬉しそうにちびっちゃい巻貝を掲げた。
知らなかったら気がつかなかった、どこにしまおうかな。一日乗車券の袋があった、とそおっとお財布にしまった。
「あなたがパンデミックの期間に学んだことはなんですか」
静かに丁寧に問いかける様子から、その人のすばらしさが伝わってきた。
広い空の下、靴も靴下も脱いで、しばらく海を見ながら話をした。
遅いお昼のお蕎麦を食べてもう一度海に出たら、ちょうど数分夕焼けが燃え上がるところだった。
よしもう二度と会わないとしても、その優しい人もオレンジピンクの空も、私/私の世界を編み上げるひと筋の糸。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます