悪口を言う自分を聞いて
その小ささとばかばかしさと
それでも別にかまわないことと
矛盾するような細かな感じを
広げたピクニックシートにぱらぱらとばらまいたような
それをそのまま受け取って持ち帰った
悪口を言う自分を聞いて
その小ささとばかばかしさと
それでも別にかまわないことと
矛盾するような細かな感じを
広げたピクニックシートにぱらぱらとばらまいたような
それをそのまま受け取って持ち帰った
初めてその人に会ったのはスクリーン越しだった。
確かまだ蒸し暑い梅雨の頃。
16分割なのにひとつだけくっきりとした窓、なんてかわいい人なんだろう。
季節が変わる頃その場所にやってきた。
海を見下ろす天空の鳥の巣。
窓の下の畑で砂浴びする雀たち。
小さい手を骨に当てられた時、どこか身体の奥から「なんでわかった」という声がした気がした。
その人が用意した舟でゆらゆらと深い水底に浮かぶ。
寝てはいなかったけど
どこにいたんだろう。
時間も空間も私もないところ。
乗り換え駅でトイレに寄った。
個室の棚にはストロングなんとかの空き缶。
ドアの裏には注射針を捨てないようにという注意書き。
乗り込んだ電車の向かいの席では足が少し細すぎる女性が割り箸でコンビニパックのもずくを食べている。
足下には食べ終わった容器が三つ。
これから食べるであろうプラスチック容器が開いたバッグからのぞいている。
なんらかの摂食障害なのは間違いない。
こっそりと見えないところで滑り落ちていく人たち。
見えない軟酥を彼らに乗せて気のせいのような魔法をかける。
せめて今夜はゆっくりお休み。
ダメージについてのストレスフルな話の直後、脈絡もなく娘が聞く。
「おかあさん食べもので好きなものはなに?」
頭が熱いまま、よく考えもせず「カニ」と答える。
もうずいぶん食べてはいないけど。
「生?ゆでたの?」
「ゆでたの」
(やりとりが変)
「ほかには?」
「パシフィックドライブインのガーリックシュリンププレートも食べたい。」
食べたことない。
閉店することがあったら悔やむ気がする。
「ちょっと待って、メモしてるから」と娘が言う。
「あとは?」
「タカノのフルーツバイキング」
素早く検索した息子が値段を言って「これなら出してあげるよ」と言う。
お店の人みたいになった二人が蜂のように私の周りを飛んでオーダーを取る。
Emergency 対応ウエイター&ウエイトレス。