先日漁港で干物定食(サバミリン)を食べながら、隣でサワラを食べていた達人に話を聞いた。
細い長身にデニムジャケットを羽織ったまだ若い達人だ。
街で実際に戦ったことってありますか?
電車で暴力事件に出会したことはあって、音がしたのでそちらを向いたらおじさんが若い男の人を殴った瞬間だった。
仕方ないなあとそっちに行った達人が殴った方のおじさんの体を「大丈夫ですか、大丈夫ですか」とぽんぽんとしたら、えっえっ、と訳がわからなくなったようで、おじさんはそのまま後じさりしてプシューと開いたドアから出て行った。
そしてプシューとドアが閉まって電車は動き出した。
「多分無意識に一番エネルギーを使わなくて解決できる法を身体がとってるんですよ。」
動きを見ただけで自分を100としたら2くらいかなと強さがわかるんだって。
何年か前に品川駅で猛スピードで角を曲がってぶつかってきたサラリーマンがいて、達人がとっさに力を「抜いた」ら、ぽーん、コロコロとその人は転がっていった。
その後そのサラリーマンはすみませんと謝ったらしいけど、きっとわけがわからず変な顔をしてたんじゃないかな。
戦いって無駄じゃないですか?と達人に聞いてみた。
「無駄です無駄です。
自分にダメージがくるだけです。
いかに戦わないですむか、です。」
「遠い力を使うんですよ。」
「心と体は同じもの。」
強いってことについて考えさせられた。
干物は美味しかったです。