🍀いまこの瞬間を楽しむ🍀
仏教のサティ(念)に由来するマインド・フルネスという英単語があります。
日本語では、
「いまこの瞬間に全意識を傾けること」
というような意味になります。
いま自分がここにいるということ。
自分がここにいて、周囲には、
たとえば、青空が広がって、鳥が鳴いて、風が渡っている。
そういう、まさに現在のこの瞬間を認識して、
その世界全体を意識として受け止めているような状態。
それがマインド・フルネスです。
スマホを駆使してマルチタスクに仕事をするのも時には必要だけど、
気持ちの良い道を歩いているときは、
スマホの画面なんて見ないで、その気持ち良さに浸り、
「いま自分は気持ちいいんだ」
と気づくことが必要。
そういうマインド・フルネスを得ることで、
テクノロジーが進化した時代にも人間らしい生き方をしていくことができ、
テクノロジーと人間らしさを両立することができる。
マインド・フルネスを解説した『シンプル・ライフ』
(ソレン・ゴードハマー、翔泳社)
と言う本があり、
わたしが訳書を監修しているのですが、
この中に禅の大家と武道家の対話が出てきます。
自分の武術の凄さについて、さんざんしゃべった武道家が、
「あなたは禅の大家として有名だけど、何ができるのか?」
と問いかけます。
それに対して、禅の大家はこう答えるのです。
「拙僧にできることは、
ひとつだけです。
歩くときに、歩く。
食べるときに、食べる。
話すときに、話す」。
このやりとりが私はとても好きで、折に触れて思い出します。
禅の大家の答えはシンプルだけど、
これを実践している現代人は少ないのではないでしょうか。
歩くときは歩くのではなく、
歩きながらスマホを見てしまう。
食べるときに食べるじゃなく、
ついカメラで料理を撮影してSNSに投稿し、
おしゃべりに夢中になりすぎて料理を冷めるままに放置してしまう。
そうではなく、
いま、この瞬間を楽しみたいものです。
「いまこの瞬間」は、風薫る気持ちいい空の下を散歩しているときでもいいし、
料理をしているときでも、スポーツや登山など何かに熱中しているときでも、
なんでもいいのです。
どのような行為にマインド・フルネスを感じるかというのは、
人によって異なります。
ある人にとっては気持ちのいいことでも、
他の人には「めんどうごと」に感じる。
私は、エクセルで請求書を起こすのはめんどうごとにしか感じないけど、
そういうエクセルの作業に気持ち良さを感じる人もいるでしょう。
「気持ちいいこと」と「めんどうごと」は、
実は紙一重で、
人の受け止めかたによる違いでしかありません。
日常にはたくさんのことがあって、
料理が好きな人がいれば、洗濯や掃除が好きな人思います。
料理の中でも、下ごしらえに喜びを見出す人もいれば、
下ごしらえなんてめんどうだと感じる人もいる。
ほんとに人それぞれです。
「オイシックス」や「成城石井」のような新しい提案をしている企業は、
そうした、めんどうごと をできるだけとりのぞいて、
自分の好きなことだけに集中することを、うながしてくれているのだと私は感じています。
(「そして、暮らしは共同体になる。」佐々木俊尚さんより)
あなたが、楽しい💕と感じることは、なんですか?
そのことを、十分味わってくださいね。