かねてから興味のあったイッカククワガタを買いました。
イッカククワガタの仲間は
ヨーロッパ、シベリア、中国、北アメリカに分布しており
今回入手したのは中国のイッカククワガタ野外個体1ペアです。
ウンナンイッカククワガタ
Sinodendron yunnanense Kra'ⅼ,1994
分布:中国(四川省・雲南省等)
体長:12~17mm前後
生態:鈴木智之著.「世界のクワガタ・カブトムシ飼育大図鑑:51.」によると
標高1800〜3800mほどの高地帯の立ち枯れや倒木から発見され
四川省木里県の標高3100mで本種の見つかった環境は
「林の中は極めて湿度が高く、樹の幹にはびっしりと苔が生え
サルオガセなどの着生植物が生えている。
5月の朝夕の気温は6℃で冬には雪の多い地域である。」とあり
当地での個体数は少なくないようです。
↓ ウンナンイッカククワガタ 体表はアバタ状で強靭に見えた
また、永幡嘉之,2002.「黄昏の森で〜ヨーロッパブナの森で出会ったクワガタムシ〜」では
チェコの西部で6月に観察されたイッカククワガタは
夕方になると朽ち木の穿孔痕らしき穴から出て
飛び交うなど活動をはじめたそうです。
どのイッカクもクワガタムシとしては特殊な形態をしているため
ウンナンイッカククワガタもまた
大方似たような暮らしをしているのではないかと想像します。
↓ ウンナンイッカククワガタも飛ぶのか? 左:メス 右:オス
↓ 符節欠けが目立つ(5月材採) オス
↓ シルエットは、糞虫とかサイカブトのようだ!
↓ 雌雄ともに大アゴは小さい 自力での朽ち木穿孔は困難?
↓ メスの頭にもツノはある
↓ オス 頭角と胸に小さな角がある
↓ オスの腹面
↓ オスの頭角内側にはオレンジの微毛
飼育開始
ウンナンイッカククワガタの飼育は、観察がしやすいように少し縦長の梅酒容器を準備し
そこに加水したマット「産卵一番」とコナラの産卵木を入れました。
管理温度に関しては他種との関係で23度前後とし
低温には強くこだわらない飼育となります。
↓ オスはややくたびれ気味か?
↓ メスの動きは良好のようだ
↓ 観察しやすいよう朽ち木を露出させた
これら雌雄は、5月に材割採集されたもので
既に成熟しているのか或いは未成熟なのか? 本来の状態は不明です。
オスの符節飛びと不活発は気になるところですが
あわよくばこの環境で
ウンナンイッカククワガタの暮らしぶりをうかがい知りたく思います。
参考・引用文献
永幡嘉之,2002.黄昏の森で
〜ヨーロッパブナの森で出会ったクワガタムシ〜 .月刊むし(378).むし社.
鈴木知之,2005.クワガタ・カブトムシ飼育大図鑑.株式会社世界文化社.
藤田宏,2010.世界のクワガタムシ大図鑑・6.むし社.
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