はじめに
ここでいうアスタコイデスとは台湾・韓国済州島・中国等に分布する
Prosopocoilus astacoides blanchardi として整理されている個体群を指します。
所謂「フタテンアカ」というやつです。
↓ 済州島産飼育個体50㎜
済州島のアスタコイデスについては
日本国内において飼育個体が僅かに流通しているものの
現地の情報等はほとんどありません。
また、BE・KUWA No.10には済州島産の図示はありますが、特に解説されているわけでもなく
今一つつかみどころのない個体群というイメージがありました。
今回は、アスタコイデス済州島個体群について
韓国の友人(熱心な愛好家)に問い合わせ、教えて頂いたことを大筋でまとめてみました。
分布:韓国済州島(火山島)分布の理由は不明
体長:韓国国内においてもよくわかっていないが、友人が確認した最大個体は64㎜
個体数:以前は韓国の絶滅危惧種Ⅰに指定されていたが
済州島都心部の明かりにもたびたび飛来するため
指定当時の認識ほど少なくはないとして、現在は絶滅危惧種Ⅱに降格されている
その他:以前は飼育禁止であったが、現在は許可が得られればオスに限って飼育が可能
済州島個体群の体色は、台湾個体群と比べ明るい黄褐色の傾向にあり
頭部前方にある一対の突起は、台湾個体群より上向きになるとされている
↓ 済州島は火山の噴火によって誕生した島 出典:Google
私にとってフタテンアカ(アスタコイデス)といえば台湾のイメージが強く
過去2回の台湾採集では、毎夜毎夜街灯にたくさんの個体が飛んできていました。
↓ 胸部側縁に一対の点がある赤いクワガタ「フタテンアカ」台湾桃園県復興郷産
↓ 頭部にある一対の突起(済州島産)
下に、済州島と台湾の blanchardiオスの気になる部分を載せますが
飼育個体(生体)と野外個体(標本)の比較であること
体長が異なるということをご理解ください。
*比較に用いたオスは、済州島産飼育個体50㎜と台湾桃園県復興郷産野外個体59㎜・60㎜
↓ 済州島産50㎜・台湾産59㎜
↓ 済州島産・台湾産
↓ 済州島産50㎜・台湾産60㎜
↓ 頭部周辺 済州島産・台湾産59㎜
↓ 頭部前方の突起 済州島産・台湾産
↓ 済州島産
↓ 休眠後に繁殖開始
blanchardiの体色は、部分的・全体的含め、暗いものから明るいものまで存在するようですが
韓国の友人の話によると、画像(飼育個体)のような鮮やかな色彩の個体は野外でも珍しくなく
頭部の突起形状も含め、済州島には済州島の顔があるそうです。
最後になりましたが
済州島のアスタコイデスについてご教授頂いた韓国の友人にお礼申し上げます。
ありがとうございました。
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