GWの長い連休も終わり、職場である塾へ出勤した。
教室へ入ると生徒の姿は見えずにシーンと静まり返っている。
教室長に聞くと中三生が修学旅行に行っているからとのことである。
この塾は個別指導といって一人の講師が三人の生徒を担当する
システムである。今日は修学旅行と関係のない高校生一人を受け持つ
ことになった。
いつもは英語の授業なのだが、学校の課題の小論文をやってもいいですか
と聞かれたので、いいよ、数学と物理以外ならなんでもOKさ、と答える。
生徒ひとりだけなのでこちらもヒマだから許可することにしたのである。
課題だというプリントを見ると加藤周一の評論が抜粋されていて
問題が二問ある。一問目はこの文を要約せよというものであるが既に書き
終えているようだった。二問目は文中の下線を引いた箇所についてあなたなら
どう思うかという問題である。
半分まで書いたところで読ませてもらう。基本ができていない。原稿用紙の
書き方である。さらには「です」「ます」調と「である」「~だ」調がごちゃまぜに
なっている。などなどを注意すると仕方なさそうに消して訂正し始めた。
さらに半分進んだところで読ませてもう。
文中に「すごいです」とか「超いい」などの話言葉が頻繁に使用されている。
いまどき中学生でもこんな文章は書かないぞ、と言って注意する。
文章、特に論文などを書く場合は話言葉と書き言葉はしっかり区別して
書かなければならないのである。
この生徒は来年の大学受験を目指している。
これで大丈夫なのだろうか。今から心配である。